映画感想「SAND LAND」(Filmarksより)
この夏の話題作、として夏は終わったが観てきた。
砂漠の国、サンドランド。ある街で保安官を務めるラオが、水不足に喘ぐ住民を救うべく「幻の泉」を求めて旅に出る。ラオは文武両道の凄腕である元軍人だが、一人では心許なく、人々に水を届けてくれたという魔物に同行を申し出る…。
鳥山明カラー全開の冒険ものでありながら、ベテランの老兵が主人公であるという点がどことなく洋画的。ドラゴンボールが世界中で人気なのが間接的に腑に落ちるような「アクション映画」のノリがあった。DBは完全にバトル物になったが、そちらとは違うミリタリーアクションや、ロードムービーの面白さが詰まっていた。
悪魔より人間の方が悪辣である、というのはよく擦られる設定ではあるが、定番の「悪魔の方が純粋」ではなく「長く生きている悪魔は世を知り尽くしている」な部分が良かった。おそらく悪魔たちには、利に聡い人間が滑稽に見えているのだろう。そんな悪魔の信頼を得られる人間がいるとすれば、それはもうラオの様な人格者以外にいない。納得のキャラ作りである。
そしてアレ将軍。彼も実に良いキャラで最初は小悪党にしか見えなかったがラオと縁があり、直接対決で格の違いを見せつけられてからは協力者となる。真面目で純粋な人間ほど組織の毒に侵されやすいという不条理を表しているようで胸に残る。ポピュラーな役どころだが、彼の物語こそドラマだと感じた。
ベルゼの能力や強さ、ゼウ大将軍の徹底した下衆っぷり、スイマーズの美味しい仕事人ぶり、キャラの持ち味が存分に発揮されて、真っ直ぐ綺麗に走り切る快作だった。
某アニメを彷彿とさせる戦車バトルも見応え充分。こちらは美少女はおらず男ばかりだが、女子しか出てこないアニメが多い中でこういう作品があっても良い。
アラレちゃんとドラゴンボールしか知らなかったが、鳥山先生の素晴らしい作品を一つ、知ることが出来たのが良かった。
悟空は歳を取らないが、シバの様に年を重ねていった姿も見てみたいと思えた。
いや、姿が老けても喋り方はそのままかもしれないが(笑)。