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#58 履きつぶした16センチの上履きを卒業できない4歳児の心境

4歳と0歳の息子たちをもつ父親です。息子たちの成長の様子をしたためることで将来の息子たちへのプレゼント(酒の肴)になればと筆を執っています。

さて。4歳児のキミへ。最近キミのところへ幼稚園の新しい上履きが届いた。室内で履くやつね。真っ白なシューズでマジックテープを二か所止める。園児でも使いやすいような構造だね。今まで履いていた上履きがもうボロボロになってしまったからお母さんが新しいのを注文したみたいだね。

お母さんは使い古したキミの上履きをキミのところに持ってきて、「もうボロボロだからありがとうして捨てようね」と。キミは何だかこれまで一緒に頑張ってきた友達を失うみたいに神妙な顔つきをしていたけど、「わかったー」と言って、ありがとうを上履きに伝えていたよ。

暫くすると、キミは自分が処分した上履きのところへ行き、じわじわと寂しさが募ってきたようだね。顔がくちゃくちゃになって、涙を流すサインだ。「ふわん、、、ふわん、、、ふわー----ん」とキミは大きな声で泣き出した。大粒の涙を流して。お父さんは0歳児のキミの弟をだっこしていたけど、「おいで、おいでー」とキミを右に弟を左に抱き抱えると、「そうかー寂しかったか(笑)」とキミの涙の理由を理解して「そうだよなー」と共感した。

上靴は両足とも外側の足首のところがほつれていて、ボロボロになっている。入園したときから一年半使っていたからそうなるね。小さい小さい16センチ。横幅が少し膨らんだようにも見えて、この一年半のキミの足の形を物語っている。キミにとっては何より入園式から始まり、この靴で授業を受け、室内運動をして、友達と遊び、お弁当を食べ、というあらゆる行動を共にしたパートナーだね。だから急にお別れとなると、とても寂しい。

キミの気持ちはとてもよくわかる。お父さんも小さいころ全く同じ心境だったよ。お父さんのお母さん(キミのおばあちゃん)がいつも乗っていた自転車があって、お父さんがちょうどキミと同じくらいの年齢のときには、その自転車の後ろの子供用座席に座らせてもらって、色んなところに連れて行ってもらった。もうあまりに昔過ぎてだんだん記憶が薄れていくけど、お父さんはおばあちゃんの背中にくっついてこれ以上にない安心感で本当に色んなところへ行った。お父さんが小学生のあるとき、もう古いしその自転車も買い替えなきゃ、となったときに、お父さんは「まだ使えるじゃん」と何回も心の中で繰り返したのを覚えている。粗大ごみ置き場の自転車を何度も見に行って、自転車のサドルとかハンドルとかを触って、寂しさを募らせていた記憶があるよ。

「わかった。もう少し使おうね」と結局ただの先送りなのだけど(笑)、まだ使えるしもうちょっと使おう。キミにとっては突然の別れが唐突すぎたので、少し助走期間を設けよう。

物を大事にすることは、とても良いことだよ。
その心をずっと忘れずにね。
キミの足を守ってくれて、キミの大好きな運動をするのを助けてくれて、そしてキミの成長を見守ってくれたパートナーに感謝する時間を作って、新しいパートナーを迎えよう。

次は18センチだ。これから宜しくね。

これから羽ばたくキミへ。16センチのパートナーは全力で過ごした1年半の思い出と共にキミの成長を喜んでいるよ。

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