「踊れない夜の嘘つき」が書き上がるまで
どうもこんばんは。
ダダ・センプチータという劇団で脚本を担当しております、吉田有希と申します。
今回は、今年の5月頭に上演するダダ・センプチータ「踊れない夜の嘘つき」の脚本が書き上がるまでのお話を書きたいと思います。
(実際まだ完本してなくて8割くらいの出来なのでそこまでのお話となります)
元は「踊れない夜の嘘つき」というタイトルを思いついたところから脚本書きが始まりました。
タイトルは仕事の帰り道に酒を飲みながら歩いていた時にふと頭に降ってきたものでした。
「なかなかいいタイトルなんちゃう?」と思っていたので、当時、Xの投票機能で、タイトルとあらすじを載せて、タイマン方式で戦わせ、生き残った作品の種を脚本化しようという試みをやっていたのですが、それで戦わせてみました。
すると最終決戦まで生き残ったので、いつか脚本化しようと温めていました。
発案当初は、部屋の地下に男の死体が隠されていて、その男を殺した女達の会話劇にするイメージだったのですが、本格的にあらすじを考えだした時期に、能登半島地震や日航機事故を目の当たりにして、そういうシリアスな作品よりも、もう少しゆるめのコメディチックな感じの作品にしたいなと思い、雰囲気を変えることにしました。
それで考えたお話は、昔からの友人男女5人のかわいい恋物語といった感じになりました。
そしてちょっぴり切なかったり、エモーショナルなシーンが散見される作品にもなると思います。
この脚本のプロット(脚本の設計図)を書いている時期は、僕が実家の長崎に帰省から東京に帰ろうとしていたタイミングだったのですが、先述した日航機事故の影響で飛行機が飛ばず、2日間くらい地元の九州で足止めを食らっていた状況でした。
その時は実家に戻ることもできず、2日間ホテル住まいをしていました。
村上春樹の「街とその不確かな壁」という小説を読んだり「踊れない夜の嘘つき」のプロットを考えたりしていたのですが、なんか心がモヤモヤしてて読書もプロット作りも難航して、とても苦しい時間を過ごしていた覚えがあります。
おそらく地震と事故でメンタルがやられていたのでしょう。
あとは孤独なホテル住まいも精神に影響を及ぼしていたのかもしれません。
その時はなんだか疲れ果ててしまっていました。
でもそんな中、絞り出すように物語を編み出し、なんとかプロットを仕上げることが出来ました。
しかしそのプロットをもとに脚本化してみると上演時間が予定の半分にも満たないという事態も発生しました。
しょうがないのでプロットをさらに肉付けし、新たにプロットを作り直すことにしました。
こんな作り方初めてでしたが、無理やり捻り出すと、意外にプロットの中で語られてないエピソードが沢山出てきました。
そのことを発見できたのは個人的にいい時間だったなと感じております。
どこまで書いても書ききれないものなんですね、脚本って。
なんだかとっても勉強になる脚本の書き方でした。
またラストシーンは当初、若干鬱屈としたものだったんですが、その他は割と全体的にバカバカしい話だったので、「ラストもバカバカしい終わりの方がいいんじゃないか」というご意見を出演者の方から頂き、カラッとしたラストを書き加えることにしました。
個人的には気に入ったラストになって満足しています。
あと個人的にセリフに関して、短いセリフに美を感じ始めたという経緯があり、今までよりも一人一人のセリフが短く、ぽんぽん進む感じになりました。
それは明らかに90年台の宮沢章夫さんの影響で、そのようなセリフにかっこよさを感じているのがあります。
「え?」とか「ああ」とかそういったセリフで構成された脚本ですね。
僕20代前半に宮沢章夫さんの追っかけをしてまして、宮沢さんのお芝居を観に行ったり、トークイベントやワークショップに通ったり、著作を読み漁っていたので元々大ファンだったんです。
都会的なセンスの笑いが好きでハマってました。
あとセリフを書くのが前に比べて上手くなったなーと自負しております。
セリフ回しを先述したように固定したことと、無理のない自然なセリフを意識して書くようになったからかもしれません。
それでもまだまだ至らないところはありますが。
とにかく、窓辺に飾っておきたい一輪挿しのような、かわいい手触りの作品が出来そうです。
素敵な作品になると思うのでぜひ観にきてください。
公演のお知らせもさせてください。
詳細は以下の通りです。
宜しくお願い致します。
ダダ・センプチータ
「踊れない夜の嘘つき」
日時
2024年5月
4日(土)15:00/19:00
5日(日)15:00/19:00
6日(月)13:30/17:00
会場
カフェムリウイ
(世田谷区祖師谷4-1-22-3F)
チケットご予約フォーム
https://www.quartet-online.net/ticket/yiopgqv
作・演出
吉田有希
(ダダ・センプチータ)
出演
サトモリサトル
梁瀬えみ
(演劇ユニット マグネットホテル)
(以上、ダダ・センプチータ)
尾形悟
(演劇ユニット マグネットホテル)
宇都有里紗
大村早紀
制作協力・当日運営
木村優希
(演劇ユニット「クロ・クロ」)
音響・照明
小林和葉
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