「おもてなし」と「お客様は神様」と
スマホでニュース記事を探していたら、面白いニュースを見つけた。
この記事を読んだ時に真っ先に思い浮かんだのが、「なぜそこまで丁寧に対応する必要があるのだろう?」という疑問だ。
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日本には「おもてなし」という言葉がある。
オリンピックが近づくにつれて、日本に来日する外国人観光客を、いかに「もてなすか」という話題が多くなってきた。
先日も、“外国人のタクシー運転手を採用して、外国人観光客を「おもてなし」する”という話題がNHKで取り上げられていたばかりだ。
とあるラーメンチェーンが、ムスリム向けの、豚を全く使用しない豚骨ラーメン店の開店に向けて動き出したのも、「おもてなし」の一環だろう。
日本に来たからには、日本で素晴らしい体験をしてほしい。
また来たいと思ってほしい。
その考え方は素晴らしいし、大いに賛同できるものだ。
ここで、「お客様は神様」という言葉を考えてみる。
「お客様は神様」。
声に出すと、改めて不思議な言葉だなと認識させられる。
なぜか「お客様を大切にしろ」「お客様を敬え」「お客様は絶対だ」という言葉よりも、強い意志を感じる。
「おもてなし」と「お客様は神様」と。
上のニュース記事を読むと、全然違う言葉のはずなのに、意識的には同じ意味なのではないかという気がしてくる。
いや、「おもてなし」という言葉の背景に「お客様は神様」という精神があるのかもしれない。
「おもてなす」ということは、実は「あなたは神様ですよ」と言っているようなものなのかもしれない。
「お客様は神様」という言葉に対しては、年々ネガティヴなイメージが強くなっているのに、大して意味が変わらないであろう「おもてなし」は、どんどんイメージが良くなっている。
こういうズレも、そこはかとなく感じる気持ち悪さの一因かもしれない。
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冒頭のラーメンの話に戻る。
“「なぜそこまで丁寧に対応する必要があるのだろう?」という疑問が思い浮かんだ”と書いたが、
それは来日する外国人は「自分をおもてなしてくれ!」と全員が思っている訳ではないということだ。
現に、イギリスに旅行したとき、地元の小さなお店の対応はそっけなかったし、
ほかのヨーロッパの国でも「もてなされた」という感覚はなく、普通にご飯を食べただけである。
もしかしたら、そのお店で日常的にご飯を食べる現地人は、そのくらいの庶民のお店に「おもてなし」は期待していないのかもしれない。
(実際、すごいホスピタリティを期待するのであればそれ相応のお店に行くだろうし、だからこそ★によるランク付けが行われているではないかだろうか)
だとしたら、ニュース記事にある「外国人からの質問に丁寧に答えられなかった」という後悔は「お客様は神様」精神が染み付いたものではないだろうか。
同じような質問を、シェパーズパイやフィッシュ&チップスについてイギリスのバルで尋ねても「そんなの知らねぇよ」とあしらわれるだけな気がする。
つけ麺の汁が溢れてしまった話も、店員がキレていいはずだ。
それも、英語じゃなくて日本語で。
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このニュースは、外国人観光客にまつわるオモシロトラブルを書いただけのものかもしれないが、
自分には、実は日本人に染み付いた接客精神に対して、一石を投じられているのではないか、とすら感じるのである。
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