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トランプの関税政策: アメリカファーストか、経済の自殺行為か?


トランプ前大統領が再び大統領に返り咲いた今、彼の象徴的な政策の一つである「関税」が再び注目を集めています。しかし、この政策は本当にアメリカのためになるのでしょうか?それとも、経済を破壊する危険な賭けなのでしょうか?

そもそも関税ってなーに?

一言で言うと輸入品に課される税のことを指します。国内産業の保護と市場経済の混乱の防止を主な目的として、他国から輸入されるものに対して税金がかけられており、これを「関税」と言います。

まあ、この保護というのが曲者なのですが、トランプは「アメリカのためにアメリカ国民、産業の利益のため、俺が守ってやる」ための武器として関税を使おうとしています。

トランプの関税政策:その真意と影響

トランプ氏は、すべての国からの輸入品に一律10~20%の追加関税を課すと公約しています。さらに、中国からの輸入品には60%もの高関税を掲げています。これらの政策の目的は主に以下の3つです。

  1. 国内産業の保護

  2. 交渉力の強化

  3. 財源の確保

全輸入品に10-20%、対中国で60%、対メキシコ25%(自動車は200%)と凄まじいです。

しかし、経済学者たちは、この政策が米国経済に深刻な打撃を与える可能性を指摘しています。

関税の罠:消費者が負担する隠れたコスト

関税は一見、外国企業から徴収される税金のように見えますが、実際には消費者が負担することになります。企業は関税分のコストを製品価格に転嫁して上乗せするため、結果的に米国の消費者がより高い価格を支払うことになるのです。

TDセキュリティーズの予測によると、すべての輸入品に10%の関税を課すと、米国のインフレ率は0.6~0.9%ポイント上昇するとされています。20%の関税ならその倍です。これは、すでにインフレに苦しむ米国経済にとって、さらなる打撃となるでしょう。

また英銀大手のスタンダードチャータードは、トランプ氏の追加関税が実施されれば、米国の物価が2年間で1.8%押し上げられると予想しています。いずれにせよ、米国のインフレ率の低下基調は損なわれ、米国が景気後退に陥る可能性が高まります。

ここまでなんとかやりくりをしてインフレコントロールをして「インフレ率はこの2年間で大幅に緩和した。全体として、われわれの目標である2%に大きく近づいた」と口にしたFRBのパウエル議長が、「辞任はしない」「大統領が中央銀行の人事に介入することは法的に許容されない」と珍しく不快感を露わにしていたのも心情お察しする話だと思います。

歴史から学ぶ:高関税政策の功罪

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