何かをはじめるということ。キッチン編
シェア型クラウドキッチンと名乗って始めたKitchenBASE(キッチンベース)が、ようやく50日ほどが経つ。
数千万をかけてレストランを作らずとも、シェアキッチンでリスクなくデリバリーから飲食を始められる。そんな場所を提供するサービスである。
見事なまでに一瞬で過ぎ去った月日だった。01運動が好きで、それが体験できる会社にいたこともあり、サービスが世のお披露目に立ち会うことは何回かあったけれども、今回ほど心の中でワクワクと不安を抱えての始まりはなかったように思う。そして、今もなお不安はとどまることを知らず日をおうごとに大きくなる。それに負けじと見えてくるワクワクする可能性もまた然り。
一喜一憂の毎日。
何かがよければ、次の日には何か頭を抱えるような爆弾が降ってくる。
何かが悪ければ、何事もなかったかのように解決策が顔を出す。
そんなことの繰り返しである。
「プラスとマイナスの感情が交差することが起業家の毎日だ」と、どこかの有名な起業家の方がおっしゃっていたのを思い出すが、まさにその通りだと感じる。
おそらくこの+とーのスパイラルエモーション(勝手につけました)の渦に流されないようにボートの舵をしっかり握っていられるかが、起業家の宿命であり、一番の醍醐味なのだろう。
とまぁ、起業とはみたいな胡散臭い客観的意見を述べレルほど大したことはしてないが、シンプルに言いたいことは
「ハジメルッテ、ソンナカンタンデハナカッタ」
そして、そして、これはデジタル上がりの人間からするとリアルはさらにハードルが高く、より重みを感じる。
正直なところ、今までのアプリやらウェブやらは、やることも決まっているし、アップルとグーグル様のお膝元ゆえ、ビジネスモデルも決まり切った中での戦いだった。かかるコストもほぼ人件費だけだし、トラブルシューティングもお問い合わせフォームからのものに真摯に対応しておけば大丈夫。
その一方で、リアルはどこにワニが潜んでいるかわからない。完全にゲームセンターにあるワニワニパニックのアレである。
そこにいるんかい!!いつもツッコミを入れてしまう。
「なんでリアルビジネスも飲食もビギナーなのに、始めてしまったんだー」
でももう後には引けない。
キッチンを作ってしまった。
三歩進んで、二歩下がれない。
この緊張感は頑張ってふざけても割と常に残り続ける。だからこそ、僕らは、多くの飲食店の人たちが感じている感情が、少しずつわかってきた。
お店を始める。
うまくいかない。
やめたい。
でも、やめれない。
我慢する。
うまくいかない。客が来ない。
貯金はすり減るばかり。
最後にはどうにもできない。
残された道は借金を残して潰れる。
飲食店の廃業率は開業して1年以内で30%。
結構恐ろしいすごい率である。
だからこそ、我々はその課題を解決したい。正確にはその廃業率は変えられないが、廃業した時のリスクの大きさを少なくしてあげたい。
僕らのビジネスはもともと、フードスタートアップに視点を当てていた。
始めたい人の参入障壁を下げて、もっと活発なフードスタートアップ文化に寄与できればと思っていた。それは今も変わらない。
しかし、最近思うことがある。
もう一回トライしたい人の場所であってもいいのではと。
前はダメだった。でも今回なら低リスクだしもう一回挑戦してもいいんじゃないか。そんなことを思ってもらえるような場所を作りたい。
けれども、百戦錬磨の失敗談製造キッチンを作るつもりは微塵もない。必ずや飲食のスターをだしてみたい。
だから何れをさしおいても、僕らがテナントさんと一緒に売れる場所をしっかりと作っていかなければいけない。そして、それが達成できない限りは僕ら自身が廃業数の1を足してしまうから。
ワニはまたどこからやってくるのだろう。
ちょっとだけパターンが見えてきた気がする。
負けていられない。