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[2章3項]一番大切なものは平等に分配されている

先週に続き、今日は第二章「儲ける力」の第三項について読んでいきたいと思う。

第三項 スピード実行

スピードの重要性がますます高まっている
ファーストリテイリングは直訳すると「はやい小売業」です。「お客様の求めているものをいかに素早くキャッチして、いかにはやく商品化し、いかにはやく提供するか」という、行動指針を社名に表しました。
この会社名をつけたのが一九九一年です。時代はその時よりもさらにスピードを増して変化をするようになりました。十年ひと昔という言業があるのですが、今や三年ひと昔、いや一年ひと昔の時代です。
例えば、五千万人のユーザーを獲得するのに、ラジオは三十八年かかったそうです。テレビは十三年かかりました。インターネットは四年です。アップル社が発売したiPodは三年です。そして、フェイスブックはわずか二年です。
フェイスブックは二〇〇六年九月に一般公開しましたが、すでに七億人超の登録者がいるそうです(二〇十一年五月現在)。これを人口におきかえたら、中国、インドに次ぐ、世界第三位の国の大きさになります。
この例に象徴されるように、時代が変化するスピード、ものや情報が広がるスピード、これは本当に桁違いになりました。
ですから、経営におけるスピードの重要性は、ますます高まっていきます。これは、経営者としては大きなチャンスです。世界中の人に通用する本当にいいものを、どこよりもはやく作って提供できれば、ものすごいサイズの市場を、ものすごいスピードで創ってリードすることが可能だということです。

即断即決即実行
スピードという言葉には「他に先んじるはやさ」と「仕事を素早くやる」の二つの意味があります。
今まで話をしてきたように、世の中の変化、お客様のニーズをはじめとして、状況はその都度その都度変わっていますし、変わっていきます。経営者は、そうした状況の変化を誰よりもはやくつかもうとしないといけないし、つかまないといけません。
その対応が遅れたら、会社にとっては致命的になるのではないかという危機感をいつも持って、ものごとを見るようにすることが大切です。
そこの注意力が足りないと失敗をします。変化が起きているのだけれど、それに気づかず、気がついた時には、時間的に処置ができなくて、もう遅いというのでは、商売は失敗です。
そして、もし先んじて気づいたならば先んじて実行。つまり、間違えることを恐れずに即断即決即実行です。
自分たちだけが商売をしているわけではありません。同じアイデアを考えている会社があるかもしれません。どんなにいいアイデアであっても、他よりも一歩遅れれば、お客様からすれば、もうそれは新鮮でインパクトのあるものではなくなります。
時間というタイミングがずれてしまったら、せっかくのアイデアも紙くず同然になってしまうのです。市場の変化に気づいたのに、全く儲からないということになりかねません。
だから即断即決即実行。これが大切なのです。

報告文化に注意せよ
これに反するものとして、経営者が注意を持ってあたらなくてはいけないのが、「報告文化」です。実行よりも報告書の方が多い。会議の資科が多くて、これを作るのに何時間かかったんだろうという資料が山ほど出てくる。こういう状況に連遇したら、実行力が落ちていると判断して、注意を促さないといけません。
この章の別の項で述べるように、計画や準備をすることは非常に大切なことなのですが、これを読解して、計画書を書くことが趣味みたいになる人があらわれます。そして計画にうぬぼれて、いい計画ができたと自己満足して、それで称わり。会社というのは放っておくと、意外とこういう人が増えていって、「報告文化」になっていきます。
市場の変化にスピーディーに対応できない会社は、たいがいが「報告文化」になっている会社です。
計画や準備は大切なのですが、それでも実行九、計画一くらいのイメージで時間を使っていくのが理想的です。
その逆の実行一、計画九という人はさすがにいないでしょうが、実行と計画が三対七や、四対六みたいになっている人は結構いるのではないかと思います。
こうした文化が見えたら経営者は、戦ってつぶしていく。そして、即断即決即実行。これをやっていかないと、変化にのみ込まれておしまいの会社になってしまうのです。

すぐやる、必ずやる、出来るまでやる
日本電所社長の水守重信さんからは、経営における「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」ことの大切さを本当に学びました。ファーストリティリングでも、成果が思うようにいっていない時は、会社の中を見ると、決まってこの「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という力が足りなくなっている時なのです。
考えるばかりで動かない。決めて動いたのに、最後までやりきらないで中途半端で終える。これは時間の無駄です。
問題解決も同じです。例えばお店で問題があったとします。お客様からも指摘がありました。その間題が、お客様が翌週またお店に来られた時も同じ状態のままだったら、どのように思われるでしょうか。
「何という店だ、ここは」。そう呆れられて、お客様を失うことになるでしょう。呆れたお客様は、おうちに戻られてから、いろいろな人に、そのお店の話をすることでしょう。
口には出さないけれど、実は同じ問題意識を持たれていたお客様も離れていき、そのお客様もいろいろな人に、この語をすることでしょう。お一人のお客様を失っている陰では、何十、何百、何干というお客様を失っているのです。問題解決に対するスピード実行力がないと、こうした問題も引き起こすのです。

時間を活かした人だけが成功する
町工場を世界の自動車会社に育てた、本田技研工業創業者の本田宗一郎さんもスピードを重視する経営者でした。その本田さんが、時間に関して大変意義深い言葉を残きれていますので紹介したいと思います(『ニワトリを殺すな』より)
「神様は不公平なものでね、だいたいにして人間は色々な格差を背負って生まれてくる。金持ちの家に生まれる人、貧乏な家に生まれる人、健康な人、病弱な人、顔のいい人、お世辞にもそう言えない人……数えきれないくらいだ。本人には何の責任もないのにね。しかし、どんな星の下に生まれようとも、一日が二十四時間という時間だけは、誰にだって同じだけ与えられているんだ」
「逆に言うと、時間というものは、生まれた時こそタダで貰っているが、その先はいくらお金を出しても手に人れることができない。そんな貴重な時間をうまく利用した人だけがこの世の成功者になれるんだ……。
与えられた時間が等しいのであれば、いかに時間を探くかが勝負だ。他が三日かかるものを一日でやれる会社が出てくれば、それだけの時間を稼いだ会社の勝ちだ。人より一日でも早く新しいアイデアにとりかかれば、それだけ早く市場に対応できる可能性が広がる。何ごとにもスピードがとても重要なんだ」

まさに、アイデアも、問題解決も即断即決即実行。
これを忘れた経営著は変化に対応できなくなり、会社をだめにしてしまうのです。
逆に時間を活かすことができる経営者は変化をチャンスにできるのです。

勤勉さを履き違えてはいけない

世の中の変化、お客様のニーズをはじめとして、状況はその都度その都度変わっていますし、変わっていきます。経営者は、そうした状況の変化を誰よりもはやくつかもうとしないといけないし、つかまないといけません。

役職者、それもそれなりの肩書きの人と仕事をしていて、僭越ながら「勉強不足だな」と感じることが多い。努力はしているように感じるのだけど、努力の仕方がズレているように思う。それは「これまでとこれからの働き方の違いを意識しているか否か」による違いだと考えた。

これまでの時代における勤勉とは、「指示された課題を解決するために勉強をすること」が大切だと考えられてきた。
一方で、これからは「課題を発見するための勉強をすること」が大切になるように思う。
それなりの役職になっている人と会話が噛み合わないのは、この定義の差が大きいのではないだろうか。

上述の「これからの時代で必要とされる勉強」が圧倒的に不足しているから、会話自体が成り立たないことが多い。先日あった役職者が集まる会議でも、毎日ちょっとでも専門的な情報をキャッチし続けていれば、誰でも知っているであろう技術動向についても何一つ知らなかったことに驚かされた。ちょっとした技術的の話をしても、「知らないなー」とメモをとっている。(メモを取る勤勉さはいいのだけど、僕が言いたいのは、その「勤勉さ」がズレているのではないか?ということだ)

勉強しなくてはならないことはわかっているし、危機感もある。でも「何を勉強すればいいのかわからない」という状況なのかもしれない。ただ、その会議に参加している意思決定者の中に、その技術を知っている人が皆無だったことを知った自分が一番危機感を抱いたのは間違いない。

実行が潰される原因

そして、もし先んじて気づいたならば先んじて実行。つまり、間違えることを恐れずに即断即決即実行です。

スピードという言葉には「他に先んじるはやさ」と「仕事を素早くやる」の二つの意味があります。

上述の通り、意思決定する位置にいる人が(今の時代で必要とされる)勉強をしていないと、どんなに良い提案をしても通らないことが多い。減点主義の元、キャリアを積んできた彼らに新しい仕組みを提案(課題定義し、解決策と効果の提示)したとしても、納得感のない理由で却下にされることがある。技術についても説明から始めないといけないから、スピードも著しく下がる。こちらがどんなに早く課題を定義しても、官僚主義的な情報経路の過程で潰されてしまっては、全てが無駄だ。

今話題の7payの問題も見ていて謎の既視感があった。この事件も根本にある原因は同じようなことにある気がする。見ていてとても疲れた、と言うのが正直な感想だった。そして、とても悲しくなった。

一番大切なものは平等に分配されている

逆に言うと、時間というものは、生まれた時こそタダで貰っているが、その先はいくらお金を出しても手に人れることができない。そんな貴重な時間をうまく利用した人だけがこの世の成功者になれるんだ……。

「なんで自分が」と思ってしまうようなマイナスやハンデを背負うこともある。でもこの世でもっとも大切な「時間だけは平等」。これは当たり前のことだけれど、忘れられがちな真実だ。休日、ゲームをやったり、一日中寝て過ごすのもいい。でもその時間を努力にあてると言う選択肢は誰にでも与えられている。

ちょうど、こんなツイートを見つけた。

何かを成し遂げるには「やり抜く力」が不可欠だ。上述の通り「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」をどれだけ全うできるか。

僕はこのデータから強制の重要さよりも、「平等に与えられた時間をコントロールし、やり抜ける人の少なさ」を見た。これはつまり、自分のような才能のない人間にとっては希望になるデータだと思う。

才能云々の前にコントロールできることをコントロールしきれているか、を自問自答することが重要なのだと思う。

今日は疲れているのか、少しネガティブな内容になってしまったように思う。仕事で感じた憤りのようなものを、どうしても書きたくなってしまった。これは自分の弱さでしかないと思う。今日も自分の小ささを知ったし、その現実と理想とのギャップの大きさに辟易してしまいそうになりながら、必死に前を向こうとしている。

色々あるけれど、腐らずに前を向く。時間は平等だ。どんな状況だろうと、今気づけたのであれば、挽回するために今気持ちを切り替え、何度だって挑戦すればいい。

今週も頑張ろう。


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この本は経営者の方だけでなく、サラリーマンや個人事業主の方、NPOやボランティアなど様々な組織で働いている人にとって、とても学びの多い良書だと思います。内容はnoteでも紹介していきますが、一部のみのピックアップとなりますので、内容に興味を持たれた方は是非ご購入いただき、自分だけのノートに仕上げていただければと思います。

また本には振り返りのためのセルフワークシートも含まれています。日々の振り返りを行いたい、自戒することを習慣化したいと考えている方にも、とても価値のある内容だと思います。

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この「経営者になるためのnote」は毎週日曜日に書いています。過去に書いたものは全てマガジンに纏めているので、宜しければそちらもご覧ください。



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