心を繋げることからスタート〜①宝箱をもってきてもらう
こんにちは。青砥美穂です。
今日は「心を繋げることからスタート」というテーマで現場での試行錯誤をご紹介させてください。
日々の教育現場や家庭では、子どもたちや学生たちに何かを学んでもらったり、新しいことに挑戦してもらったり、やって欲しいことがたくさんありますよね。
それをその子が心から求めている場合はあまり問題はないかもしれませんが、むしろ逆ということも多いのではないでしょうか。
本来、その子の内側から湧きでるモチベーションで何かに取り組んでもらうことができたらずっとうまくいくし、そんな学びこそ楽しんで深めていける可能性が高いのですが、現場ではそのすり合わせが難しいというお話しをよくききます。しかも、そもそもその子が何を求めているかがわからないし、それをどう聞き出せるのかもわからないというご相談も受けます。
今日は、それに関連したお話です。
新しく子どもや学生に出会うことができたら、一緒にやろうとしていることがなんであれ、まず私は下地づくりから始めさせてもらいます。
その下地づくりとは、「心を繋げる」という試みです。
これから一緒に何をするにせよ、下地をつくらないことには始まらない。これは私がこれまで約25年、現場で真剣に子どもたちと向き合わせてもらう中で子どもたちに教えてもらってきたことです。
これからあなたと
一緒に楽しみたい
一緒に学びたい
一緒に悩みたい
一緒に乗り越えたい
一緒に色んな感情を分かち合いたい
一緒に。。。 (果てしなくあります)
そう思ったら、
まずあなたのことをよく知って
どんなことでも安心して話せる、
話したくなるような信頼関係をつくりたい
それが私の「心を繋げる」という試みです。今よく言われている「心理的安全」の醸成の一環かもしれないです。この試みの過程で、お互い会うのが楽しみになるような、この場所でならこの人とならなんでも心地良いと思えるような下地ができたら本当にいいなあ、少なくとも私は全力でそう願っているよ、と自分と対話しています(笑。
とはいえ、初めて会う人に心を開いてもらい、心を繋げ、心理的安全をつくるって全然簡単じゃないですよね。もちろん個人差もあって、あっという間に心を開いてくれる子もいれば、ものすごい時間をかけてじっくり少しずつ心を開いてくれる子もいます。
また、一旦心が繋がったように思えても、何かをきっかけに繋がりが薄れてしまうということもあるかもしれません。
本当に難しくて、本当に大切な「心の繋がり」
終わらない試行錯誤が続いていますが、これまで子どもたちと一緒に創ってきた一つのパターン例をご紹介させてください。
以下の5つのステップでおこないます。
持ち物の連絡(宝箱をもってきてもらう)
マインドを整える(対面前の感謝の儀式)
全身全霊その子との出会いを楽しみその子を享受させてもらう時間(プレシャスタイム)
確認、約束の時間(その子との秘密保持契約(笑)と幸せな宿題づくり)
保護者の方への報告(ワクワクレポートタイム)
* 2〜5 を繰り返す
以下、それぞれについて説明をさせてもらいたいのですが、今回のブログでは 1 についてお話しさせてもらい、2〜5に関しては次回以降でお話しさせてください。
①持ち物の連絡(宝箱をもってきてもらう)
初めて会う時に、その子の今好きなこと、興味のあるものなんでもいい&いくつでもいいので、できるだけたくさん(もちろん少なくても、なくてもOK)カバンと頭の中に詰めてきてもらえるよう保護者の方に子どもへの伝言をお願いしています。
その子の好きなもの、興味のあるもの、大事なもの
それは、その子のユニークさに関わる大切な情報、つまり、宝物がいっぱい詰まった宝箱です。
ドラえもんがポケットからアイテムを取り出すように、カバンの中から自分の好きなことやものを出すときの子どもの目の輝きは、みているこっちがワクワクします。
漫画本、タブレット、任天堂スイッチ、カードゲーム、アクセサリー、お手紙、おやつ、ぬいぐるみ、石、貝殻、シール、秘密のメモノート、楽器、コマ、廃材でつくったものなどなどなどなど、何が飛び出してくるかわかりません。しかも、一つ一つのアイテムに、またたくさんの興味深い裏話があるんです!
ある小学2年生の女の子は、「宝物をみせてあげるね!」と、嬉しそうにカバンの中からガラスの破片を出してみせてくれました。公園に落ちていたそうで、キラキラ光る三日月みたいで気に入ったので、洗ってハンカチにつつんで隠し持っているとのことでした。彼女はニコニコしながら言いました。「ねえ、これキレイでしょう?でもね、これを持っていること、パパやママには絶対言わないでね!パパとママは私のことが大事だから、ケガしないように捨てなさいって言うから!」
この時間の中で、その子の大切なものに始まり、コミュニケーションのとり方や周りの人との関係など色々な情報が伝わってきます。例えば、発言からこの子がちゃんとご両親の愛をちゃんと感じていること、でも、秘密にしてまでも持っておきたいほどこのガラスに魅了されていること、もしかしたら秘密を楽しんでいるかもしれないことなどなど、様々なインフォメーションや仮説が浮かび上がってきます。
また、ある中学生の男の子は、タクシーのレシートを見せてくれました。自分のお小遣いで初めてタクシーに一人で乗った記念のレシート!とのことでした。「ずっと乗ってみたいと思っていて、ついに叶えられた!大人の階段をのぼった気がした!」と嬉しそうに話してくれました。そうか、そんなことをしたいって思っていたのね!行動力があるのね。大人になりたいのかなあ、など、これまた色んな情報や仮説、次の会話に繋がる新しい疑問が沸き出てきます。
例をあげればきりがないですが、これまで本当に多くのユニークな宝物とそれにまつわるユニークなお話をみせてもらい、きかせてもらいました。最初からありったけ見せてくれる子、少しずつ見せてくれる子、色々です。私にとって、この宝箱をもってきてもらうこと、そしてそれをみせてもらい話をきかせてもらうのは、その子やその子のユニークネスの一部を理解したり、家庭のこと、友達のことを垣間見せてもらったり、その時間を通じて心を通わせたりする大切な大切な時間です。そして、こちらにとってはその時間こそが宝物になります。
その子のユニークネスが詰まった宝箱を持ってきてもらうこと
あの子は、この子は、何をもってきてくれるんだろう?どれだけ持ってきてくれるんだろう?
毎回ワクワクが止まりません。
これを読んでくださっているあなたなら、あなたのお子さんなら、生徒さんなら、何をもってきてくれますか?
もし興味をお持ちになったら是非やってみてください!
次回は、その宝箱を持ってきてくれる子どもと向き合う際、大切にしているマインドセットとそれを整える儀式について共有させていただけるのを楽しみにしています。
読んでくださってありがとうございました。
「心を繋げる」をテーマに、DAE代表・青砥瑞人による音声コメントはこちら↓↓↓ お聞きいただければ嬉しいです!
(※この記事は2022年に書かれたものです)