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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない!

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 最終話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 最終話

 一緒に飲めばいいのではないか?

 血が通わなくなってしまったのではないかと勘違いしてしまいそうなくらいぼやけたレンレンの頭にそんな考えが浮かんだ。
 アナフィラキシーショックの後遺症で酸素と点滴を繋がれて病院のベッドに横になっていた時、頭に浮かんだのはオミオツケさんのことばかりだった。
 初めて会ったの頃のイメージ通りのクールで圧の強いオミオツケさん。
 つっけんどんにしたながらもこちらに気を

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十九話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十九話

 オミオツケさんは、みそ汁を食い入るように見て、恐る恐る両手を伸ばす。
 優しい温もりのお椀を抱きしめるようにそっと両手を添える。
 その瞬間。
 みそ汁の中でワカメと豆腐と長ネギが渦を巻いて回転する。
 茶色の汁が大きく波打ち、粘土のように丸まっていくと宝玉のようになって宙に浮かび上がる。
 オミオツケさんの顔に絶望が浮かぶ。
 宝玉のようになったみそ汁は歪み、伸び、形を整えながら人形に変わって

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十八話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十八話

「こんにちは……じゃないよ……」
 オミオツケさんは、その場に膝から崩れ落ちる。
 レンレンは、慌てて椅子から立ち上がり、オミオツケさんに駆け寄る。
 オミオツケさんは、床に座り込んだままレンレンを見上げる。
「もう……こんばんはだよ」
 オミオツケさんの言葉にレンレンは驚いて食堂の窓の外を見る。
「ひょっとして……夜ですか?」
「ひょっとしなくても夜!」
 オミオツケさんは、思わず怒鳴ってしまう

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十七話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十七話

 オミオツケさんは、教室には戻らなかった。
 いや、戻れなかった。
 壊れた玩具箱から溢れるように飛び出してくる感情の波を抑えることが出来ず、そのまま女子トイレの中に飛び込み……大声で泣いた。
「なんで……なんで……」
 なんであんなに優しいの⁉︎
 あんなに酷いこと言ったのに!
 冷たい態度を取ったのに!
 自分のためにやってくれたことを全て否定したのに!
「なんで……なんで……」
 これじゃあ

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十六話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十六話

 翌週、レンレンは学校に復帰した。
 アレルギー症状自体はすぐに治ったものの久々の発作だったせいか、身体に思った以上の負担がかかり、両親と医師の薦めもあって大事をとって三日間の入院と四日間の自宅療養をした。
 その間、スマホには友達からの心配、お見舞いの連絡とSNSがひっきりなしだった。
 レンレンは、一つ一つ丁寧に読みながら返信していった。
 しかし、その中で気になることが二つあった。
 一つは

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十五話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十五話

 引きこもってしまった息子を心配した両親は少しでも気晴らしになればとレンレンを旅行に連れて行った。
 遊園地で遊び、海を泳ぎ、大好きなアニメの聖地を巡るなど、思いつく限りのレンレンの好きな所を回ったと言う。最後は予め予約しておいた乳製品と縁遠い和食のお店
に行き、食事をして帰ろうとした時、トラブルが起きた。
 店側の手違いで予約が取れていなかったのだ。
 しかも満席。
 当然、空くのを待っていたら

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十四話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十四話

「乳製品アレルギー?」
 そう呟いた瞬間、オミオツケさんはお腹の下が冷たくなるのを感じた。
「そう」
 スポーツ女子は、小さく頷き、卵焼きとハムステーキをご飯で包んだおにぎらずに齧り付く。
「結構、有名な話しだよ」
 文系女子は、眼鏡の奥の目をキュッと萎める。
 エガオが笑う時の映画を見た次の日の学校。午前の授業を全て終えたオミオツケさんはスポーツ女子と文系女子に呼ばれて屋上のベンチで昼食を食べて

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十三話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十三話

 オミオツケさんの言葉にレンレンの顔が固まる。
「ずっと気になってたんだ」
 オミオツケさんは、アップルティーの表面を見る。
「学生が普通、食堂で働くなんてあり得ないでしょう?しかも授業の中抜けまでして。うちの高校は確かに緩いけど、こんなこと繰り返してたら内申にも響いてくると思うし……」
「俺……管理栄養士目指してるんで。内申って意味じゃむしろ実績を上げてると思うんですけど……」
「だったら放課後

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十二話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十二話

 映画が終わった後、二人は目を合わせることが出来なかった。
 劇場から出た後も、映画館を出た後も、コラボカフェに向かって歩いてる最中も顔を上げることすら出来なかった。
 二人を見た周りの人達はきっと親しい人を見送った葬儀の帰りに見えたことだろう。
 オミオツケさんは、肩から下げたポシェットの紐をギュッと握る。
(なんであんなことしちゃったんだろう……)
 オミオツケさんは、何度も自問自答するも答え

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十一話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十一話

 二人は、映画館の中に入ると塩とキャラメルのハーフのポップコーンとお目当ての限定のエガオドリンクホルダーを手に入れて気分揚々に映画館の中に入り、そしてとある現実に気づいた。と、言うよりも何故気づかなかったのだろう?
 席が隣同士と言うことに。
 二人は限定ドリンクホルダーを手に入れた喜びなんて吹き飛ばして緊張に背筋を針金のように伸ばした。手に汗が溢れ、映画館の薄明かりでも分かるくらいに顔が真っ赤に

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第十話

 レンレンは、後悔していた。
 レンレンたちが住む市の中心地とも言える港町の駅前は休日であることを差し引いても賑わい混んでいた。
 見渡す限りの人人人。
 カップルから家族連れ、大道芸にストリートミュージシャン、時期ハズレの選挙活動等、人の荒波に酔いそうになる。
 レンレンは、いつもの学生服を脱ぎ捨て、母親に付き添って衣料量販店で購入した黒字のアーガイル柄のポロシャツと膝の破れたヴィンテージっぽい

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第九話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第九話

 玉子スープ。
 コンソメスープ。
 オミオツケさんは、恐々とお椀に口を付け、味を確認するとホッとして飲み干し、器をテーブルに戻した。
 そして緊張する。
 残りは二つ。
 お吸い物と……みそ汁だ。
「レンレン……ちょっと意地悪じゃない?」
 オミオツケさんは、むっと唇を突き出す。
 二つや三つで来てくれたらひょっとしたらみそ汁と気づかずに飲み干せたかもしれないのに、これでは緊張で嫌でも感覚が過敏

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第八話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第八話

 オミオツケさんは、椅子に座り、目にハチマキを巻いた。触り心地がとても薄かったのに目の部分に巻きつけると途端に闇が視界を覆い隠す。
 特訓の内容はこうだ。
 視覚を閉ざした状態でランダムにお椀の中身を飲んでいく。
 オミオツケさんは、いつ来るか分からないみそ汁に備えて気持ちを落ち着かせて、平静を保ち、舌がみそ汁を感じても動じず、現象が起きなければ成功、と言うことだ。
 まるでいつ、どこで仕掛けが動

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クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第七話

クールで知的なオミオツケさんはみそ汁が飲めない 第七話

 オミオツケさんが食堂に入ると五つのお椀がテーブルに並んでいた。
 コーンスープ、コンソメスープ、玉子スープ、お吸い物、そしてみそ汁。
 オミオツケさんが来る前に作ったのだろう、もう中身は冷めているようだった。
 レンレンは、ゴム手袋をはめた手で制服の上に身につけたエプロンを外すと和かにオミオツケさんに微笑む。
「こんにちはオミオツケさん」
 そういえば今日は会うのが初めてだったっけ?
「こんにち

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