織部

挫折した夢をもう一度追いかけています。 基本的には小説しか上げません。 冷たい男  エブリスタ 新星ファンタジーコンテスト佳作受賞 結尾美織はみそ汁が飲めない エブリスタ大賞 最終選考 看取り人 フレンチトーストにオレンジピール エブリスタ 執筆応援キャンペーン佳作受賞

織部

挫折した夢をもう一度追いかけています。 基本的には小説しか上げません。 冷たい男  エブリスタ 新星ファンタジーコンテスト佳作受賞 結尾美織はみそ汁が飲めない エブリスタ大賞 最終選考 看取り人 フレンチトーストにオレンジピール エブリスタ 執筆応援キャンペーン佳作受賞

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    看取り人をまとめました! 随時更新しています!

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看取り人 エピソード5 失恋(1)

 可愛くなったなあ。  生徒会副会長ことオミオツケは向かいの席に座った期待と興奮に切長の右目を輝かせている少女を見てつくづくそう思った。  綺麗に編み込まれた輝く黒髪、卵形の輪郭、制服のブレザー越しにも分かる細いが女性としての成長を感じさせる身体つき、そして鋭い刃物で切られたような切長の右目に水色に花柄の眼帯に包まれた左目。  文句の付けようのない清楚な美少女。  それがオミオツケが今の彼女に抱く印象だ。  と、いうのも彼女の最初のイメージは今とはまるで違っていた。  ケバ

    • さくらゆき様が諸作 看取り人のキャラクター白髪の男を描いてくれました!

      おはようございます。 織部です。 タイトルにあるようにさくらゆき様が諸作、看取り人のキャラクター白髪の男を描いてくれました。 まさかこのキャラクターを描いてくださるとは思わなかったので驚きと感謝です。 白髪の男は、看取り人エピソード5で重要な役割を持ったキャラクターでヒロインである先輩と強い縁があります。 気になる方はぜひ読んで下さると幸いです。 よろしかったら是非、お付き合いを。 さくらゆき様ありがとうございます。 現在、新作を書いております。 12月にはお披

      • エガオが笑う時がNolaノベル編集部の注目作品に選ばれました! Nola編集部の注目作品に選ばれました! 『エガオが笑う時』 https://story.nola-novel.com/novel/N-edbd51ad-ada5-43f9-8b4b-afbf815ef1ee ずっとエガオを愛してくれる皆様ありがとうです! 現在、違う視点での続編も考えてますので少しお待ちを!

        • 看取り人 エピソード5 失恋あとがき&今後の予定

          おはようございます。 織部です。 看取り人 エピソード5  失恋はいかがだったでしょうか? 今回は先輩回です! エピソード5・・・エピソード1 で終わるはずだった看取り人が気がついたら一年以上続いてしかも先輩のメインヒロイン回・・・。 物語の縁とは不思議なモノです。 しかも別の作品からキャラが流れてきて、予期せぬ新キャラも登場で・・今度、看取り人キャラ設定集でも作ろうかな?アイとか書いたら面白そう。あと茶々丸も。プロット書かない人間なので頭の中を整理する意味でもいい

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        看取り人 エピソード5 失恋(1)

        • さくらゆき様が諸作 看取り人のキャラクター白髪の男を描いてくれました!

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        • 看取り人 エピソード5 失恋あとがき&今後の予定

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        • ジャノメ食堂へようこそ❗️
          40本

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          看取り人 エピソード5 失恋(終)

           看取り人に連れられてやってきたのは件のショッピングモールの憩いの広場だった。  憩いの広場には今日もたくさんの人が集まっている。  カードゲームに勤しむ小学生の集団、タブレットとフードコートで売っているコーヒーを片手に読書を楽しむ女子大生、囲碁で接戦する高齢者二人、そして一階のファースト店で買ってきたハンバーガーを楽しそうに頬張る親子連れ。  そして……。 「可愛いぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」  先輩の顔が豊満な胸の中に沈む。  甘い匂いと柔らかさ、そして質量の暴力に先輩は溺れそ

          看取り人 エピソード5 失恋(終)

          看取り人 エピソード5 失恋(10)

           放課後。  昨夜の突然の雨などなかったかのような快晴の中、先輩は一人ベンチに座って桜の木で作られたバインダーを膝に置いたままじっと植林された森を見ていた。  芝生を転げ回る子ども達、嬉しそうに吠え、戯れ合う犬達、愛を語らい合うカップル、中良さそうにジョギングをする夫婦らしき男女。  様々な喧騒が飛び交う中、先輩はただ一人、裏返しにしたバインダーの上に手を置いて、冷たい温もりを感じながらじっと植林された森を見ていた。 「先輩」  抑揚のない声が先輩の耳に入る。  先輩は、声の

          看取り人 エピソード5 失恋(10)

          看取り人 エピソード5 失恋(9)

           白髪の男の窪んだ目が大きく見開く。 「何故……そう思うんだい?」 「先輩の話しから繋げました」  看取り人は、抑揚のない声で淡々と答える。  救急車で白髪の男が運ばれるの時、先輩は泣きながら話しかけた。 "お手紙渡すんでしょ?" "お子さんに会うんでしょ?" "おじさんは悪くない!自分を責めないで!"  矢継ぎ早に飛び出す言葉。  一つ一つは千切れて、飛んでまるで意味をなさないが、それらをパズルのように繋ぎ合わせた結果。一つの仮説が生まれた。  そして……。 「これです」

          看取り人 エピソード5 失恋(9)

          看取り人 エピソード5 失恋(8)

           雨の音が静寂の空間にゆっくりと走る。  部屋は電灯が付いているのにどこか薄暗く、酸素を送る機械の小さな音とパソコンのキーボードを打つだけが響く。 「あの子の話しの通りだね」  白髪の男は、ベッドに横たわったまま力のない笑みを浮かべて少し離れたパイプ椅子に座って膝に置いたノートパソコンを打つ看取り人を見る。  看取り人は、キーボードを打つ手を止めて白髪の男に三白眼を向ける。 「目が覚めましたか」 「お陰様でね」  白髪の男は、目だけを動かして部屋の中を見回す。 「まさか、また

          看取り人 エピソード5 失恋(8)

          看取り人 エピソード5 失恋(7)

           白髪の男の姿を見つけると先輩はまた泣きそうになった。  彼は、いつものベンチに座り、いつものようにバインダーに向き合い、先輩が来たことが分かるといつものように優しい笑みを浮かべて手を振った。  先輩は、涙を押し込め、笑みを浮かべて小さく手を振る。 「今日も時間通りだね」 「おじさんも」  先輩は、何も言わずに白髪の男の左隣りに座る。  そこで先輩は白髪の男の顔が昨日よりも白いことに気づいた。目も窪んでおり、唇もカサついており、呼吸も昨日より浅いような気がする。 「おじさん…

          看取り人 エピソード5 失恋(7)

          諸作 ジャノメ食堂へようこそ!がスピラ編集部の注目作品に選ばれました!ありがとうございます! そろそろ続き書かないと・・ comicスピラ編集部の注目作品に選ばれました! 『ジャノメ食堂へようこそ!』 https://story.nola-novel.com/novel/N-ef54ac54-6b0b-4f44-9a6b-4cd3282dcfe6

          諸作 ジャノメ食堂へようこそ!がスピラ編集部の注目作品に選ばれました!ありがとうございます! そろそろ続き書かないと・・ comicスピラ編集部の注目作品に選ばれました! 『ジャノメ食堂へようこそ!』 https://story.nola-novel.com/novel/N-ef54ac54-6b0b-4f44-9a6b-4cd3282dcfe6

          看取り人 エピソード5 失恋(6)

          「先輩」  放課後、校門を出ようとした先輩の背中に抑揚のない声が投げつけられる。  先輩は、ビクッと肩を震わせて、恐る恐る振り返ると三白眼の少年……看取り人がこちらを見ていた。  彼の顔を見た瞬間、先輩は胸が締め付けられた。  彼と最後に顔を合わせて話したのはいつだったろうか?商業施設での出来事が衝撃的過ぎてそれより前のことなんてすっかり忘れてしまったが、そんなに時間は経っていない。経っていないのに彼の顔を見た瞬間、懐かしさと痛み、そして愛おしさに涙が出そうになる。 (泣いち

          看取り人 エピソード5 失恋(6)

          看取り人 エピソード5 失恋(5)

           先輩が書き終えるといつの間にか空が赤く焼けていた。  先輩は、痛くなった指先からペンを離す。 「お疲れ様」  白髪の男は、にこっと微笑んで先輩を労うといつの間、購入してきたのか小さなアップルジュースのペットボトルが握られていた。 「喉が渇いたろう?ずっと集中して書いてたから」 「……ありがとうございます」  先輩は、遠慮しながらもペットボトルを受け取ると、ビニールのラベルにが描かれた可愛らしいリンゴのマスコットをじっと見る。 「今の若い子の好きな物がイマイチ分からなかったん

          看取り人 エピソード5 失恋(5)

          看取り人 エピソード5 失恋(4)

           翌日の放課後、オミオツケに捕まらないよう、そして彼に会わないように校舎を出た先輩はショッピングモールの文具屋で水色地に右下に小さな白い花の描かれた便箋と薄緑の封筒を買ってから公園に向かった。  少しバスが遅れたので待ち合わせの時間を過ぎてしまうのではないかと焦ったが、なんとか間に合い、白髪の男の待つベンチへと着いた。 「いらっしゃい」  白髪の男は、笑顔で迎える。 「こんにちは」  先輩は、小さく頭を下げ、笑みを浮かべる。  自分でもよく分からないが白髪の男に会えるのを少し

          看取り人 エピソード5 失恋(4)

          看取り人 エピソード5 失恋(3)

           翌日、登校すると真っ先にオミオツケが駆けつけてきた。 「あんた大丈夫?」  その顔は、ひどく青ざめていて、和的で綺麗な冷めた目の下には大きな隈が出来ていた。  昨晩は気づかなかったが、朝起きてスマホを見るとオミオツケからの着信が何十件と入っており彼女がどれだけ心配していたかを物語っていた。 「大丈夫だよ。オミオツケちゃん。ありがとう」  先輩は、小さく笑みを浮かべて答える。 「でも……」 「本当に大丈夫だよ」  それは強がりでなく本心だった。  公園のベンチで白髪の男と話し

          看取り人 エピソード5 失恋(3)

          看取り人 エピソード5 失恋(2)

           日が沈む。  先輩は、公園のベンチに座り、切長の右目でその光景をぼおっと眺めていた。  見覚えのある公園。先輩と叔母さんの住む家の近くにある近隣で一番大きな森林公園。  遊具はなく、小山になった広大な芝生と植林されて鬱蒼と茂る木々に囲まれ、春は桜、秋は紅葉と市内でも人気の高い公園だ。 (私……どうやってここまで来たんだろう?)  自分がどうやってここまで来たのかまるで覚えていない。  ショッピングモールの憩いの広場で衝撃を通り越した痛みを伴う場面を見て……茫然自失になってい

          看取り人 エピソード5 失恋(2)

          おはようございます。 織部です。 皆様、前作より大分ご無沙汰しました。 明日より看取り人の新作を公開していきます。 今回のメインは看取り人ではなくあのキャラクターが務めます。 タイトルは・・失恋 どうぞお楽しみにしていてください

          おはようございます。 織部です。 皆様、前作より大分ご無沙汰しました。 明日より看取り人の新作を公開していきます。 今回のメインは看取り人ではなくあのキャラクターが務めます。 タイトルは・・失恋 どうぞお楽しみにしていてください