「愛猫とゆっくりすらしない男」
ずっと前から気づいていたけど、なかなか捨てられないクセがある。
普段、いつもと違うことをするとき、スマホのバイブレーションが鳴るみたいに「ゔっ」と声を出して、戸惑いを覚えているうちに世界はタイミングが逃げてしまうという。
そうやって変わらない世界にいた。
本当はフットワークを軽くたいと思っているのだけど、あれこれ心配ばかりをして足がすくんでしまう。
元彼女の写真は少ない。(カフェの岬で笑っていた一瞬の笑顔を撮りたいと思ったのに)撮り逃したことがあるし、よく〇〇に行きたいと思うことがあるのだけど、結局行かないまま過ごしてしまう。
だけど、今日は違った。
愛猫が日差しの差し込んでいる畳の部屋からこちらを見ていて、ふむこれは「撫でて」と無言で言っていると気づいた。
そして素直に「分かった」と手を伸ばしたのだ。
本当ならランニングに行かないといけない時間で、そういうのを崩すことはない。だけど、その日は20分ほどそのまま愛猫とぼんやり過ごした。
結果、仕事に間に合ないかもとなって、急いで出社をすることになるのだけど、夜にこうして執筆もできたし、たまにはそういった時間が必要なのだなと思ったのだ。
思い付いたことをする余白と気持ちのゆとりを持っていこう。