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戒厳令と衛戍令~ソウルの冬

「Hiver à Sokcho」は原作の方が主題がくっきりしていておもしろかった。
非常戒厳令宣布の報を聞き、心臓がきゅっと締め付けられるような思いで
オンラインのニュースLIVEから目が離せなかった。ソウルの冬。
集結した市民の後押しや、塀を乗り越え国会議事堂に参集した国会議員、ソファ等家具を集めたバリケードで議員補佐官らが兵士の突入に抗したことなどにより、戒厳令解除決議が深夜に採決された時は少しほっとした。戒厳令と聞いてすぐ思ったのは、もし、国会同意が必要ない衛戍令があの時廃止されていなかったら...だった。もし廃止されていなかったら、戒厳令、非常戒厳にブレーキをかけられただろうか、というリスクと恐怖に苛まれもした。

衛戍令が廃止された2018年当時、リアルタイムでSNS上などでも書いていた。それが2024年になって身震いするように思い出された。1950年に制定された衛戍令が68年ぶりに廃止になったきっかけは、朴槿恵政権当時、ろうそくデモ、弾劾要求集会に市民100万人以上が集まっていたころの国軍機務司令部(現防諜司令部)が作成した戒厳令を準備する文書。デモ隊を弾圧(鎮圧)する目的で陸軍特殊戦司令部等を投入するためには、衛戍令か戒厳令宣布が必要、などと書かれていたという。1960~1970年代に民主化運動に関わった人々にとっては、弾圧され連行された記憶と傷も甦る衛戍令。1964年韓日会談に抗議する市民が弾圧された時は戒厳令だったが、翌1965年8月、韓日協定批准に反対する市民を弾圧するため、政府は衛戍令でソウルに軍隊を出動させていた。1971年には朴正熙政権がソウル市一帯に衛戍令を宣布し、民主化デモに関わった学生らを逮捕した。1979年の「釜馬民主抗争 부마민주항쟁」の際も、「維新撤廃」「独裁打倒」と民主化を訴える市民を弾圧するために衛戍令が利用され(釜山市には非常戒厳令、慶尚南道馬山市には衛戍令)、軍隊が釜山、馬山に投入されていた。
(1923年の関東大震災時の関東戒厳司令部の戒厳司令官には東京衛戍司令官がなっていた)
このように市民を弾圧してきた衛戍令を含む恐ろしい計画が野党議員らにより白日のもとに曝され、結局、衛戍令は廃止された。

부마민주항쟁

権力の暴走をとめる矢、牽制する楔のひとつが2018年に打たれていたことは本当に幸いだった。当時の大統領や政治家らが、民主化運動の中にいた人たち、弾圧された側だったからこそ、気づいて衛戍令を廃止できたのだろう。
もちろん、未だ終戦していない休戦状態の半島では、戒厳令までは捨て去ることは出来ないのかもしれないが、戒厳令は国会の決議によって解除することができる(国会が掌握されなければ)。

この、権力の暴走を止める矢、法的セーフガード(安全工学的意味での安全装置)で法的ストッパーを「ハードウェア」とも呼んでみるが、法的、システム的に強大な権力の暴走を抑え食い止める「ハードウェア」があったとして、実際は「ソフトウェア」がなければ動かし、機能させることはできない。今回の「ソフトウェア」は言うまでもなく韓国民、人間の力だった。彼らの良心、独立心旺盛で自力本願な精神の瞬発力、情に厚く心のままに手足を動かし、法と秩序を守りつつ、つよく自由を求める魂。
一方で、その「ソフトウェア」をうまく起動させるスイッチも韓国にはあった、即ち歴史を忘却しない、歴史に学び忘却に抗う意識だ(歴史を記録し記憶する歴史教育がベースにあるだろう)。

SNSで随時記録してきていたが、ユン(尹錫悦)は歴史を歪曲する「ニューライト(≒右翼・極右運動)」(日本でいえば安倍らの「新しい歴史教科書をつくる会」あたりから始まった侵略加害の歴史歪曲隠蔽ウォッシュ歴史修正主義に相当)人事を連発していた。側近はもちろん、国家安保室第1次長や統一部長官キム・ヨンホ、雇用労働部長官キム・ムンス、独立記念館館長、放送通信委員会委員長などが挙げられる(日本で言ったら、壺や日本会議尽くしの内閣その他だろうか。極右過激派を擁護するような人物らを長官にも据えようとしていたトランプ人事も大概だが)。

そのように極右ニューライトが上から、各方面から社会をじわじわ侵食しかねない、歴史の教科書も書き換えられるかもしれず安倍日本化、歴史修正極右化が韓国でも進みかねない懸念もあったが、韓国民は自由と民主主義への弾圧に徹底的に抗うため、国会議事堂前に駆け付けた。

2023年12月、KAIST 한국과학기술원学位授与式に出席したユンに対し、研究開発費の大幅削減に抗議した卒業生が文字通り口を塞がれた事件も象徴的だったが、高校無償教育全額削減、デジタル性犯罪対応予算32%削減、学童保育予算11億ウォン削減など、国民の生活や安全、福祉などに関わる削減がほとんど(どこかの江戸幕府?)。一方で、ユンら身内が使う予算は増やそうともしていた。大統領秘書室国家安保室の特殊活動費(まさか日本のように領収書不要ではないだろうが、内閣官房機密費のような?)、検察特定業務経費、検察特別活動費、政府予備費、キム・ゴニpresents !? 検討検証が殆どされていない数千億ウォン規模の「メンタルヘルス/心の治療プロジェクト」の莫大な予算...。国民の負託を受けている国会ゆえ、公共を捨て、トップに私物化された予算案にも反対するのは当然である。医療改革と嘯く「医療民営化(もし米国のようになれば、虫垂炎の1日の入院費用百数十万円、救急車を呼ぶのにも1回十数万円かかる)」もずっと国民に反対され国会で批判されてきた。また、身内を捜査させないために不当に大統領特権の拒否権を連発(前代未聞の25回)する職権乱用も批判されて当然。それを「韓国国会は立法独裁を通じて国家の司法・行政システムを麻痺させ、自由民主主義体制の転覆を企てている」などと陰謀論で「反国家勢力」に仕立て上げ、野党国会議員らを拘束して独裁を企図したのが今回の「12.3内乱/12.3事態」だろう。本来の憲法の定めた要件「戦時、事変、またはこれに準ずる国家非常事態」とは程遠い、利己的すぎる理由の内乱。主権在民を軸にした正当な民主主義の側が、野党というだけで、極右ユーチューバーの陰謀論によって歴史修正されなくて本当によかった、と嘆息する。なお、国会予算政策処の試算によれば、KAIST等理系研究開発費を大幅削減したことにより実験は継続できなくなり、雇用も減少、生産は9兆ウォン減少した、と。

Korean citizen's power with light sticks.

親衛クーデターの危機をなんとか乗り越えた。その原動力のひとつは上記の通り、人間であり、歴史の過ちを繰り返さないという確固たる意志、良心と知性に基づく確固たる意志と、民主化以降の改革で進化した、権力の暴走を抑止し得る法などの装置だった。
いわゆるソフトパワーも見逃せない。韓国ドラマや韓国映画で数えきれないほど描かれてきた独立運動や民主化運動、不当なことは受け入れず、不正義の傍観者にはならないこと、声をあげること。韓国ドラマや映画の中で末端の悪が言うセリフ「上に言われた通りやっただけ」はアイヒマンの「上からの命令に従っただけだ」を想起もさせるが、それはフィクションの中でも徹底的に批判され糾弾される。善く生きることが選択され、正義は勝つ。時に、ろうそく集会の時のような共同と連帯のカタルシスを見せながら。悪は看過せず、不当な命令圧力は撥ね退け、悪に荷担しないことは韓国のコンテンツを通してずっと韓国人の心に染み渡り、浸透していた。そうやって自然に日々積み重ねられた延長の心の動き、発露としての瞬発力と、法的ストッパーのシナジーで今回はなんとか最悪の事態は回避できたのだろう。「抗命」もあったらしい。善く生きること、がなにより優先されたのかもしれない。とにかく今はホッとしているが。

神の一手にも匹敵するだろうか、ノーベル化学賞ハサビス氏の囲碁AI、AlphaGOと韓国のイ・セドル九段が対局し、AIを打ち負かした時の一手も想起しながら書いているが、権力の暴走を食い止めるようなストッパー、法的ハードウェア的装置は、韓国が民主化された後もそこに安堵安住せず、少しずつあちこちに多く鏤められてきていた。矢は増やされていた。今回の件でまず頭に浮かんだ衛戍令のリスク、冒頭に書いた衛戍令廃止もそのひとつだ。

先見の明があり、国民主権をより明確に確固たる現実にするために少しずつ手は打たれ、矢が用意されてきていた。まずは廬武鉉政権時代からの悲願、70年かかってやっと実現したのは、検察に集中し肥大化した権力を是正する検察改革。数年前に別のところでも書いていたが、捜査権と起訴権が分離されておらず、欧米や日本と比べ検察が強大な権力を握って来たいびつさは2022年ついに解消された。検察出身のユンを、身内の検察がゆるく捜査する可能性を懸念する国民は少なくないだろう。だが、過去の検察改革により、現在では警察も捜査権を行使できる。あまつさえ、ニュースによれば、警察は法的独立性が保障されているので、内乱罪捜査は警察が、という警察庁の話もある。(韓国ドラマや映画を見ればわかるが、検察が捜査権を握っていたので警察の捜査の初動が遅れがちは過去のパターン)

他にも矢はある。大統領、国務総理、国会議員、大法院長など高位公職者の不正腐敗摘発専門独立機関である公捜処(高位公職者犯罪捜査処)が前政権で設置され、2021年1月頃から本格的に稼働している。検察と離れ、公捜処が首魁を捜査する線もある。

司法では最高裁判所トップ「大法院長」候補のイ・ギュンヨンはニューライト人事だったが、国会人事聴聞会を経て否決され、同ポストはニューライトから離れた人物に。一方、弾劾を審判する憲法裁判所は9人が定員のところ、現在3人欠員。その3人は今後与野党推薦人事の国会聴聞会を経て決まるようだが、最終的には保守・中道が過半数を占める構成になる見込み。

このように、韓国では権力者の暴走を止める矢、「ハードウェア」は、民主化後も先見の明で、ある程度セーフガードとして準備されてきていたといえる。ただ、司法にも独裁防止への備えは必要だろうとあらためて確信した。
米国ではトランプ政権時、保守派3人の判事が新しく指名され連邦最高裁判事は保守系6人、リベラル3人という歪な構成になってしまった。その延長線上にあるのが、女性のリプロダクティブ・ライツを奪い制限する2022年の判決。人口中絶する権利を認めていた「ロー対ウェイド」判決を50年ぶりに覆してしまった。また、2020年の大統領選の結果をひっくり返そうとして起訴されたトランプの刑事責任が部分的に免責されるという判断も連邦最高裁が今年下し、トランプが「法の上の王」になってしまったという惨事も。
日本も他人事ではない。東京高等検察庁検事長の勤務延長が閣議決定されたり、最高裁判所の判事人事にも閣議決定で安倍政権が「司法人事介入」していたらしい。国民の反対も押し切り安倍政権が成立させた特定秘密保護法、安全保障関連法、共謀罪法もある。恣意的な運用は冤罪や人権侵害のリスクも高く、国会無視で非民主的、反民主的手続きの閣議決定が乱発されれば、野党議員が看破した通り「行政独裁」状態。

参考:立憲民主党ホームページ【参院本会議】杉尾議員、経済安保2法案の代表質問「岸田総理には国会軽視と行政独裁の姿勢を改め」るよう求める

今回と同じ非常戒厳は過去に12回あった。最後の非常戒厳令は、1979年10月27日から1981年1月24日までの間。映画『ソウルの春 서울의 봄』でも描かれたように、その戒厳令の間の1979年12月12日に全斗煥やハナ会による粛軍クーデター(12.12軍事叛乱)が起こった。ユンによる「12.3内乱/12.3事態」では陸軍特殊戦司令部下第707特殊任務団、第1空挺特戦旅団、首都防衛司令部第35特殊任務大隊、防諜司令部などが国会や中央選挙管理委員会前に動員され加担したという。1979年12月12日には現防諜司令部の保安司令部、機務司令部、現首都防衛司令部の首都警備司令部、空挺特戦旅団(第1、第3、第5空挺特戦旅団)、第2機甲旅団などが加担。このあたりの比較や詳細はこれからさらに明らかになるものと思われる。

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弾劾要求集会では、あるものが親世代と子世代を繋いでいた。音楽とその文化と光の粒と束を通して、中高年とMZ世代が疎通し互いを包摂しているのを見て胸がいっぱいになる。約10年前、米国同様に深まった親世代子世代間の対立や分断について指摘していたが、民主主義の危機を前に、今はそれぞれが歩み寄り疎通し連帯している。韓国らしいユーモアとソフトパワーを通して。そんな瞬発的創造力も、肩ひじ張らない素顔の、素顔の韓国のコンテンツ力なのかもしれない。빛은 어둠을 뚫고 나가 as Post tenebras lux*

私は朝鮮の藝術よりも、より親しげな美しさを持つ作品を、他に知る場合がない。それは情の美しさが産んだ藝術である。
「親しさ」Intimacy そのものが、その美の本質だと私は想う

柳宗悦「朝鮮の友に贈る書」

未来が過去を助けるSFは古今東西多くつくられてきている。未来から過去にやってきたヒーロー、あるいは自分自身(タイムマシーンに乗って過去へ、あるいは転生したり)が世界を救う。未来ならではの知識と知恵を携え、洞察力を備えたソリューションで、問題解決能力が高そうではある。しかし、今回ほど過去が未来を助けたパワフルで切実な事例はあまりないのではないか(もちろん、予断を許さない状況ではあるが)。そして、未来は現在と過去の延長線上にあるもの、と実感もする。SFの中の、未来からやってきた「自分」も、過去に学んだ現在を経て、知恵や洞察力を増していた。昨年視聴した「財閥家の末息子 재벌집 막내아들」もそんな姿がうかがえた。過去の過ちや挫折、現在の後悔を経て学び成長し、アップデートし、パワーを得た姿が未来だった。

今回も過去が、学んだ歴史が、ひとりひとりが素手でも即使える最も大きな矢のように、すぐ背中にあって取り出せて、自由と民主主義を守った。11月下旬から12月上旬にかけては、ちょうど20世紀の歴史もあらためてつよく召喚されるタイミングでもあった。2023年に大ヒットし約1,300万人の観客を動員、韓国民の4人に1人が観たという映画『ソウルの春 서울의 봄』がちょうど4日ほど前11月29日に第45回青龍映画賞で最優秀作品賞を受賞していた。独裁とクーデターの記憶、歴史の記憶がまた甦った。そして光州。ノーベル文学賞を受賞した「少年が来る 소년이 온다」のハン・ガン作家は週末の7日にはストックホルム現地で記念講演。歴史を記憶する、歴史的視点で現在を視る機会は、社会の動きからもまた促され、あらためてリアルに念押しされた。今回もし韓国人がいつもの行動力瞬発力を正しく熱く発揮しなければダメだったかもしれない、自由は奪われていたかもしれない...紙一重の危機にゾッとしながらも、歴史に学んだことが現在と未来を助けてくれたのだ、と実感した。

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今後はもう一つの矢、リスクヘッジとして、国会で戒厳令解除が決議されたら国民投票などに問えるフロー、直接選挙で大統領を選んだのだから、内乱罪など国を揺るがし不安定にし、国民と民主主義を傷つけた大統領を直接罷免、直接解雇も出来るように進むとよいのだが...政治的空白等国益を考慮すると、ある程度白黒はっきりしているケースでは国民主権を念頭に、迅速な措置が取れる方向に進めば...新たな矢、備えになる、と有権者として考えたりも。

「誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる 아무도 없는 숲속에서」という韓国ドラマを今年視たことを思い出す。過去の韓国ドラマや韓国映画でも多く描かれてきた主題との共通点、それは、繰り返し多様なナラティブで描かれることで心に刻まれていく。ドラマで最初に傷つけられるのは小さき者、社会で最もか弱い存在であったことを思い出し、戒厳令の恐怖をあらためて噛みしめてもいる。今回の非常戒厳を手話でも知らせる放送局は当初一社だけだった。国会で戒厳解除が決議されたからよかったようなものの、もしそうならなかったら...
実際、1980年の光州で、軍が何を言っているのか聴き取れず、耳が不自由な人が殺されてしまったという。独裁や戒厳令、弾圧に傷つきトラウマがある人たちの痛みやトラウマを抉るようなことをした首魁が心底許せない。そして、何が起こっているかわからず、疎外されながらもっと激しい恐怖と不安に襲われた人たちがいたこと、言葉がわからない在住外国人らも同じだろう、と胸に刻む。関東大震災では朝鮮人中国人だけでなく、東北訛のある人や吃音のある人も虐殺された。社会から疎外されている、弱い者から順番に殺していく暴力。そんな暴力から生命と安全を守る矢も必要なのだと考えさせられた。
ドラマのタイトルはアイルランドの哲学者ジョージ・バークリーの問い
「誰もいない森で木が倒れたとき、音はするか?」から来ている。その答えは「音はしない」。「Esse percipi est/存在することは知覚されること」という観念論に基づけばそうだろう。だが、疎外される人を日々大量生産するような資本主義、新自由主義経済に抗い、より人間らしく進化するなら、そして独裁に備えるなら、音もなく木が倒れる、倒されることがないよう備え、
すべての人、すべての生命をもっと包摂しなければと考えたりもする。

ところで、独裁は突然の戒厳令のように軍靴と戦車とヘリコプターの音と共にやってくるのだろうか。いつもそうではないだろう。極右ユーチューバーと遜色ないニューライト人事で周辺を固めてきたユンだが、国民は警戒し続け果敢に反対し続けてきた。米国は前述の通り、保守寄りになった連邦最高裁がトランプの刑事責任を部分的に免責されると判断してしまった。2020年の米大統領選にまつわる不正選挙陰謀論は結局この4年おさまることはなく、「選挙は盗まれた」「アメリカを救え」「議事堂へ行こう」などの惹句、犬笛ひとつで米合衆国議会議事堂を支持者に襲わせたのが2021年1月6日の「米連邦議会議事堂襲撃事件」。トランプは選挙に不正はなかったと知りながら虚偽の不正を主張したとして刑事訴追されたが、担当特別検察官は先月の大統領選後に辞任。「不正選挙」と延々唱え続けていたトランプは不正選挙の証拠を一度も出したことがないにも拘らず、当選したことで、大統領特権で犬笛の責任は何も取らされず。さらに就任後は議会襲撃事件で有罪の1000人近くを恩赦する、とも言っているらしい。「法と秩序」を謳い口癖のトランプとユン、どちらも法を守らない、「Law and Order」にはほど遠く、陰謀論との親和性という共通点。トランプ、ユンの煽り、惹句はナチ党が1930年代に「国家の危急を救える」と喧伝したのとも似て、独裁、ファシズムの予感に震撼もした。

Korean citizen's power with light sticks.

韓国映画『タクシー運転手 택시운전사』公開時に、<わたしたちは民主主義の乗客riderではなく運転手driverだ>と看破し拙レビューに書いていた。今回、もしもに備えて、と本屋にかけこみ購入したのはジーン・シャープ Gene Sharpの「独裁体制から民主主義へ From Dictatorship to Democracy」。40年以上非暴力闘争や独裁体制を研究してきたシャープの「非暴力的行動198の方法」というTipsには「歌を歌う」もあった。韓国の民主化運動は21世紀の海外でも参照され、少女時代の「Into The New World 다시 만난 세계」はタイの民主化運動でも歌われ、香港民主化運動では「임을 위한 행진곡」が歌われていたが、今また「Into The New World」を歌っている韓国市民、独裁に抗うために。本を読みながら、ほかにも出来ることを探し、あらためて学ばなくては、と切実に考えている。シャープの理論で、特に日本に当てはまると思ったのは...独裁政権は、意識的であれ無意識的であれ、人々の従順さ、独裁・全体主義への降伏、協力や支持に支えられている、という洞察。権威主義で、権威に従うのがお行儀良いのが正解=「道徳的義務(~通俗道徳?)」と信奉する臣民は独裁を結局支えることになってしまう。
ならば、路上に出よう、ろうそくやペンライトを持って。
And, Nobody's Free Until Everybody's Free.

K-PopのMVで知る韓国現代史
約10年前、ソテジ서태지とIU아이유の「소격동 昭格洞」は緑化事業を描き
SPEED스피드「슬픈약속 悲しい約束(That's my fault)」は光州民主化運動のワンシーンを描いていた(2013年)

*ラテン語で"Light After Darkness" (第4外国語がLatinだった)

They tried to bury us, they didn't know we were seeds. FREE PALESTINE!

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