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ロレアルがCES 2023で発表した新作美容ガジェット――手や腕が不自由な人向けのリップアプリケーター「HAPTA」と眉毛プリンター「Brow Magic」とは

1月5~8日に米国のラスベガスで開催された「CES 2023」は、コロナ禍以来3年ぶりの本格的なリアル開催となった。そのCESで毎年、先端技術を用いた美容ガジェットをお披露目することで知られる仏ロレアル。今回は“アクセシビリティ”に焦点を当てた新たなデバイスを発表した。

ヘルスケア企業と提携し、レベリング(水平化)技術を応用

現在、ロレアルが開発中の「HAPTA(ハプタ)」は、手や腕の運動機能に障害のある人向けに設計されたリップアプリケーターだ。口紅を塗る際の細かな動きを、コンピューター制御機能を応用してサポートするデバイスで、CESではこの試作品が発表された。

出典:ロレアル

HAPTAには、ヘルスケア企業の米ベリリー・ライフ・サイエンシズ(Verily Life Sciences)が開発したレベリングの技術プラットフォームが採用されている。この技術は「食器を安定させ、水平にする」というもので、手や腕が不自由な人の自立した食事を補助することを目的に設計されている。

同技術を応用したHAPTAには、動作のバランス調整を行うスマート・モーション・コントロールが内蔵されている。360度回転および180度屈曲が可能なマグネット式のアタッチメントを付けて使用することで、化粧品を一定の水準で塗ることができる。

好みの設定を保存する機能も備えており、3時間のフル充電で1時間(約10回以上)の連続使用が可能となっている。

ロレアルは「HAPTAはバランス感覚の喪失や硬直、震えなどの症状を引き起こすパーキンソン病やその他の疾病を患っている人たちに役立つだろう」としている。2023年中にロレアル傘下の仏ランコムで試験的に導入され、まずは口紅のアプリケーターで、将来的にはその他のメークアップ用品への展開を予定する。価格は149~199ドルとなる見込みだ。

顔の特徴に合わせて眉毛をプリント?! Brow Magic

今回のCESでロレアルは、眉毛メーク用プリンター「Brow Magic(ブロウ・マジック)」の試作品も発表している。


眉毛はメークするパーツの中でも「描くのが難しい」と、苦手に感じる人が多いようだ。Brow Magicが救世主となってくれるかも?! 出典:ロレアル

まず、スマートフォンを使って顔をスキャンすると、AI技術によって最適な眉毛の位置と形が提案される。そして、カスタマイズされたデータがプリンターとなる専用デバイスに送られると、数秒で眉毛が適した位置に描かれる。デザインも小型で洗練されており、なかなか画期的なデバイスだ。

Brow Magicの開発は、消せるタトゥープリンターを手掛けるテック企業である韓国プリンカーコリア(Prinker Korea)との提携によるものだ。発売は2023年内に予定しており、価格はHAPTAと同程度とされている。なお、HAPTAとBrow MagicはCES 2023で「イノベーションアワード」を獲得している。

本発表に際し、ロレアルのリサーチ&イノベーション/テクノロジー部門担当 副CEOのバーバラ・ラヴェルノ氏は「包摂性は、私たちのイノベーション&ビューティーテック戦略の中核を成している」とコメント。ランコムのグローバルブランド プレジデントのフランソワーズ・レマン氏もまた「美とは、誰もが平等に手に入れることができるものであるべき」と述べている。同社の思いが感じられる言葉であり、アクセシビリティおよび包摂性を念頭に置いたビューティーテック分野の発展が期待される。

文:遠竹智寿子
フリーランスライター/インプレス・サステナブルラボ 研究員

トップ画像:iPhotostock.com/fuwari
編集:タテグミ

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