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【D2C決算 実況解説】ベクトル(ビタブリッドジャパン)(2023年第三四半期)

前書き

株式会社ベクトル社は、D2C企業であるビタブリッドジャパンの親会社です。親会社の決算開示に、子会社であるビタブリッドジャパンの業績が含まれるので、そちらについても今回軽くシェアいたします。

ちなみにPR会社のベクトル社は、ビタブリッドジャパン株のうち95.4%を保持しています。サントリーウエルネスの親会社がサントリーHD・・・という親子はよく分かりますが、親会社の本業と畑違いな、ベンチャー投資みたいな、明確な投資目的で作られた関係って、サイバーエージェントとその子会社のシロク(Norganic)さんくらいなのです^^ ビタブリッドの他には。

さて、ベクトル社の決算資料に占めるビタブリッドジャパンの割合は本当に少ないので、手短にさらっと解説します。

※出典は「2023年2月期第3四半期決算説明資料」より

サマリ

まず、こちらがベクトル社全体の数字です。PR事業を主体として、ベンチャー投資なども行っている投資会社、とでも言うべき業態です。

売上高411.6億円のうち、後述しますが110億円少々が、ビタブリッドジャパンを含む、ダイレクトマーケティング売上となります。

ということで各セグメントの業績です。ベクトル社メイン事業のPR/広告事業で215億円です。

そして、ダイレクトマーケティング事業が111.6億!前年同期比で128%の好業績です。「過去最高の四半期売上高・営業利益を更新」とありますね。また、その原因は今回も「ターミナリアファースト」のようです。中間決算でもそうだったような気がします。

※超重要な注意事項ですが、ベクトル社の「ダイレクトマーケティング事業」には、ダイレクトテック社の業績を含みます。ビタブリッドジャパン単体の数字ではありません。

ということで、株式会社ベクトル社において、ダイレクトマーケティング事業は、祖業のPR/広告事業の次に位置づけられる、売上100億事業に育ったわけです。先見の明や投資能力があるというのか、ビタブリッドジャパンの皆さんが頑張ったというのか、どちらなのでしょうか。両方かな?

セグメント別の利益計画においても、ダイレクトマーケティング事業は第三四半期で77.3%の進捗率です。

この先少々割愛しまして、次へ。

ダイレクトマーケティング事業

順番変えましたが、上記が2022年2月期の売上高でした。102.1億円。(※ダイレクトマーケティング事業としては、ビタブリッドジャパンの他にダイレクトテック社の売上が20億程度、別に存在するはずですが)

第二四半期までの広告投下が寄与し、過去最高の売上高・営業利益を更新!そして第四四半期については、営業利益確保に努めます、と。

同日発表の北の達人コーポレーションは、利益削ってでも新規獲得広告費を10億円積み増してきましたが、ビタブリッドジャパンは営業利益は守るようです。(※ダイレクトテック社の業績比率は異常がないものと仮定)

・・・ところで、気が付きましたでしょうか?
D2C決算を穴が空くほど見ている人じゃないと気が付かない、異変です。それが、こちらのグラフ。

ちょっと一般論的な話になりますが、D2Cの売上高と営業利益にはこのような関係があります。

  • 新規獲得の「採算が合っている」時などは、赤字でも広告費を大量に使うのがD2C業界のよくある経営戦略。(特に1Q~2Qではよくある)

  • 新規獲得広告費を大量に使うと、営業利益はマイナスになる。

ビタブリッドジャパンは大変分かりやすく、ここ2年半ほどは営業利益がマイナスの時とプラスの時が両極端です。マイナスは順調、プラスが不調と考えられます。

  • 新規獲得広告費を「絞り込む」ことで、決算前の営業利益の調整は容易である。

極端な話、1Q~3Qを全力で赤字でも、4Qで利益出せば、通期利益目標に辿り着くこともあります。その観点で見ると、ビタブリッドジャパンの新規獲得状況は下記の図のような可能性もあります。

本来、通期目標においてダイレクトマーケティング事業は、8億3,500万円の営業利益を出せば良いんです。ところが、すでに6億4,500万円の営業利益を3Qまでに出しているのです。これは、3Qの新規獲得が不調で、広告宣伝費が使い切れなかった可能性があります。

現状では、4Qはあと約2億円だけ利益を残せば良い状況です。グラフで言えば、上向きの営業利益が、4Qは「200」だけ残れば目標達成です。さて、この辺り、4Qが終わった本決算ではどうなるでしょうか。

※ダイレクトテック社の数字も含まれているんで、最終的にはビタブリッドジャパンだけの数字なのかは分かりません。

※新規獲得が順調である場合は、ファーマフーズさんや北の達人さんのように、利益目標を守らず、利益率を落としてでも4Qで広告費を使うことがあります。(経営判断)

最後に、広告宣伝費と販売個数の推移です。こちらのみ、ビタブリッドジャパンだけの数字であることが注記されています。ご覧の通り、広告宣伝費は3Qは、1Qに比べて低いレベルでした。

と言っても、2022年2月期の売上高が102億円だったビタブリッドジャパン社が、2023年2月期には、120億を超えるであろうことはほとんど間違いがありません。今後の本決算においては、前年比20%近い成長率になり、過去最高売上、過去最高利益になるかもしれませんね。

以上、株式会社ベクトル社、ダイレクトマーケティング事業の第三四半期決算実況解説でした。

今後もD2C決算を実況解説してまいります。何卒よろしくお願いいたします。

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