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下位チームは本当にドラフトで有利なのか?WARの合計から考える
どうも、キュプリーヌス(@cyprinus_wrc)です。
シーズン終盤になると、「Aクラスになれないのならドラフトで有利になるためにより下の順位に落ちた方がよい」と主張する人をよく見かけます。確かに、より下の順位になれば2位指名で良い選手を確保できそうですし、この主張も正しいように思えます。本noteでは、2位指名が早い順に十二~一のグループに分け、どのグループの合計WARが高いのかを確認していきたいと思います。
対象となる選手は、現行のドラフト制度となった2008年ドラフト以降の選手です。なお、入手できるデータの都合上、合計WARは2022シーズンまでのものとし、2022ドラフト以降の選手は対象外とさせていただきます。予めご了承ください。
以下、グループ名(合計WAR)という形で順位を記載していきます。
12位:二(-1.6)
12位は、グループ二となりました。このグループのWARトップ3は
高橋礼(0.9)
小沢怜史(0.7)
石井一成(0.5)
でした。グループ二は1位の球団となりますが、やはり2位指名であってもあまり良い選手は指名できていないようです。下位指名の方が有利という仮説が正しいのか?と感じさせる順位です。
11位:十二(21.6)
11位は、グループ十二となりました。このグループのWARトップ3は
三嶋一輝(5.7)
比嘉幹貴(5.2)
藤岡裕大(2.9)
でした。最も有利であるはずの、グループ十二が11位というまさかの結果となりました。最下位になったうえに、ドラフトでも結果を残せていなかったようです。今度は下位指名の方が有利という仮説は間違っているでは?と感じさせる結果となってしまいました。
10位:六(24.9)
10位は、グループ六となりました。このグループのWARトップ3は
小川泰弘(22.8)
宮國椋丞(2.6)
関谷亮太(1.4)
でした。グループ六は3位となったチームですが、そこまで芳しい結果は得られていないようです。合計WARの大部分はスワローズのエースも務めた小川が稼いだものであり、その他には目立った選手はいませんでした。
9位:五(26.3)
9位は、グループ五となりました。このグループのWARトップ3は
九里亜蓮(9.0)
神里和毅(3.8)
今村信貴(3.7)
でした。こちらもグループ六と同じく3位となったチームですが、グループ六が小川がほぼ1人でWARを稼いでいたのに対し、こちらは3位の今村も3.7となっており、それなりの選手をある程度確保できていたようです。タイガースで活躍している伊藤将司もこのグループに属しています。
8位:十(32.8)
8位は、グループ十となりました。このグループのWARトップ3は
石田健大(10.5)
東明大貴(3.7)
八木亮祐(3.5)
でした。グループ十は5位に終わったチームですが、またしてもBクラスチームが半分よりも下の順位となってしまう形になりました。下位に沈んだからといってドラフトで有利になるわけではないのでは?と思えてきました。
7位:十一(34.6)
7位は、グループ十一となりました。このグループのWARトップ3は
美馬学(19.9)
京田陽太(9.7)
加賀繫(4.8)
でした。結局、最下位チームはそれぞれ11,7位と下位に沈んだメリットを活かせていない形になっています。ただ、このあたりになってくると、2位でも10近くのWARを積み上げている選手を確保できており、しっかりと主力級とも言える選手をピックアップできているようです。
6位:三(34.7)
6位は、グループ三となりました。このグループのWARトップ3は
牧田和久(14.9)
高橋遥人(8.1)
宗佑磨(7.1)
でした。グループ十一とほぼ同じ合計WARではありますが、MLB経験もある牧田、稼働すれば最強格の投手である高橋、バファローズ3連覇に貢献した宗と錚々たる選手が並んでいます。この他では、畠世周に重信慎之介と、ジャイアンツが2年連続でそれなりの選手を確保していました。
5位:九(41.6)
5位は、グループ九となりました。このグループのWARトップ3は
菊池涼介(36.0)
堂林翔太(3.0)
梅津晃大(1.1)
でした。このグループは菊池がWARの大部分を稼いで順位を引き上げており、それなりの選手を多く確保できていたわけではなさそうです。ちなみに、カープは5位に終わった場合に属するグループである九・十では合計WARがプラスの選手しか獲得しておらず、下位に沈んだメリットを活かせていると言えそうです。
4位:四(43.3)
4位は、グループ四となりました。このグループのWARトップ3は
山川穂高(25.2)
加藤貴之(14.0)
松本剛(6.1)
でした。山川が半分以上のWARを稼いでいるものの、加藤に松本と現在の強いファイターズを支える選手もこのグループに属しています。2位でシーズンを終えたとしても、このクラスの選手を獲得できる可能性があるということになります。
3位:八(57.7)
3位は、グループ八となりました。このグループのWARトップ3は
鈴木誠也(44.9)
森唯斗(9.1)
頓宮裕真(1.5)
でした。グループ八は4位に終わったチームであり、下位に沈んだメリットを活かせているようにも思えますが、カブスの4番へと成長を遂げた鈴木誠也がWAR44.9とずば抜けた数字を残しており、その他には特別目立った選手はいませんでした。クローザーの森を引き当てたホークスはメリットを活かせていたと言えるかもしれません。バファローズも頓宮を引き当てていますが、それ以外のシーズンでは縞田拓弥にK-鈴木(鈴木康平)とWARがマイナスの選手を獲得しており、メリットを活かせていたかは微妙なところです。
2位:一(82.1)
2位は、グループ一となりました。このグループのWARトップ3は
柳田悠岐(70.1)
野上亮磨(7.0)
栗原陵矢(6.8)
でした。柳田が桁外れの数字を残して順位を引き上げている感はありますが、ともにホークス黄金期に貢献している栗原や、FA権も獲得した野上など、他にも優秀な選手を確保できていたようです。この他には島内颯太郎や山﨑伊織などがいます。
1位:七(102.4)
1位は、グループ七となりました。このグループのWARトップ3は
西川遥輝(42.1)
則本昂大(40.2)
牧秀悟(8.7)
でした。グループ七は4位に終わったチームですが、ファイターズの優勝に貢献したリードオフマンの西川、イーグルスのエースを務めた則本、そしてベイスターズの核となっている牧と素晴らしい選手たちを確保していました。他にはドラゴンズで活躍した又吉、マリーンズで活躍している佐藤都志也、そして入団拒否となったものの長野久義もこのグループに属しています。優秀な選手を多数確保していたようです。
まとめ
以上、各グループの順位を確認していきました。
順位を並べてみると、上位チームと下位チームが乱れており、この順位になればドラフトが有利になる、といった法則は見つからないようにも思えます。結局は球団のスカウティング能力に左右されるのかもしれません。
今回は2位の選手を見ていきましたが、逆に上位チームが3位で優秀な選手を確保している可能性も考えられるため、次回は3位の選手を確認していきたいと思います。
最後に、今回作成した表を載せておきます。やや見づらくなっていますが興味のある方はご確認ください。
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