上位チームの方がドラフトで有利なのか?3位指名選手の合計WARから考える
どうも、キュプリーヌス(@cyprinus_wrc)です。
先週、下位チームがドラフトで有利なのか?というnoteを書きました。多くの野球ファンがこのような考えになるのは2位指名が早いために良い選手を確保しやすいというイメージがあるからだと思われますが、逆に3位指名は遅くなってしまうため、3位で良い選手を確保しづらくなっている可能性があります。3位指名のことも考えると、上位チームの方がドラフトで有利になることも考えられます。
というわけで、本noteは先週のnoteの3位バージョンとなります。
3位指名が早い順に一~十二のグループに分け、どのグループの合計WARが高いのかを確認していきたいと思います。
対象となる選手は、現行のドラフト制度となった2008年ドラフト以降の選手です。なお、入手できるデータの都合上、合計WARは2022シーズンまでのものとし、2022ドラフト以降の選手は対象外とさせていただきます。予めご了承ください。
先週のnoteはこちら↓
以下、グループ名(合計WAR)という形で順位を記載していきます。
12位:六(-1.4)
12位は、グループ六となりました。このグループのWARトップ3は
山崎剛(2.2)
赤星優志(0.2)
田川賢吾(0.2)
でした。グループ六は3位の球団となりますが、あまり優秀な選手は確保できていなかったようです。2位指名における順位も10位だったため、ちょうど折り返しあたりになることもあって2位指名・3位指名でともに恩恵を受けられていないのかもしれません。
11位:二(0.9)
11位は、グループ二となりました。このグループのWARトップ3は
高木勇人(2.4)
武藤祐太(0.7)
増田珠(0.3)
でした。指名が2番目に早いグループですが、優秀な選手は確保できていなかったようです。2位指名でも最も有利なはずのグループ十二が11位となっていたため、やはり指名の早さはあまり関係ないことがこの段階で分かりつつあります。
10位:十一(10.5)
10位は、グループ十一となりました。このグループのWARトップ3は
秋吉亮(5.0)
木浪聖也(3.5)
伏見寅威(3.1)
でした。グループ十一は指名が遅いため、この順位になるのも納得です。ただ、秋吉・木浪・伏見とある程度知名度のある選手がトップ3を占め、他にもベイスターズの柴田やスワローズの内山といったそれなりの選手の確保に成功しています。
9位:十(13.9)
9位は、グループ十となりました。このグループのWARトップ3は
中村悠平(10.6)
小島和哉(4.7)
田中和基(3.2)
でした。こちらも指名順は遅いため、この順位でも仕方ない部分はあります。それでも、スワローズの正捕手である中村や、マリーンズのローテーションを支える小島といった優秀な選手の確保に成功しています。この他ではバファローズの若月もこのグループに属しており、セパの優勝チームの正捕手を確保しているグループとなっています。
8位:四(14.9)
8位は、グループ四となりました。このグループのWARトップ3は
上本博紀(10.4)
伊勢大夢(4.0)
中谷将大(2.0)
でした。このグループでは、タイガースが上本・中谷・江越(0.9)・桐敷(0.3)とWARがプラスの選手を4人確保しています。指名順が早いため、スカウト陣がある程度目をつけていた選手の確保に成功していたのかもしれません。
7位:七(21.7)
7位は、グループ七となりました。このグループのWARトップ3は
大貫晋一(7.4)
大城卓三(6.0)
高部瑛斗(2.9)
でした。指名順通りの順位となりましたが、WARトップの大貫に加え、マリーンズの岩下(2.6)やタイガースの才木(2.0)など優秀な投手を多数確保できています。
6位:五(34.4)
6位は、グループ五となりました。このグループのWARトップ3は
田中広輔(24.3)
一岡竜司(4.7)
浅間大基(4.1)
でした。ここにきて、飛び抜けた数字を残す選手が現れました。不動の1番SSとして3連覇を支えた田中広輔を3位で確保したカープは、この年の1位で大瀬良、2位で九里を獲得した大当たりドラフトとなっていました。また、ジャイアンツに指名された一岡も、人的補償で移籍して3連覇に貢献しました。
5位:九(36.5)
5位は、グループ九となりました。このグループのWARトップ3は
外崎修汰(19.5)
田村龍弘(7.8)
木下拓哉(6.8)
でした。指名順が遅い方のグループではありますが、球界最高峰のユーティリティーである外崎に、それぞれチームの正捕手も務めた田村に木下と優秀な選手を確保していました。
4位:八(40.3)
4位は、グループ八となりました。このグループのWARトップ3は
源田壮亮(23.7)
福田周平(8.3)
佐藤達也(4.6)
でした。グループ九のトップである外崎とともに、強力な二遊間を築く源田がここではトップとなっています。ライオンズが3位指名で非常に優秀な選手を確保できていることが分かります。
3位:一(76.5)
3位は、グループ一となりました。このグループのWARトップ3は
浅村英斗(50.2)
田口麗斗(11.2)
床田寛樹(5.5)
でした。またしても、ライオンズに指名された選手がトップとなっています。ライオンズは、2位指名でも山川を確保しており、ドラ1でなくとも非常に優秀な野手を確保できる傾向があるようです。やはり、指名順の早さではなく、そのチームのスカウティング能力が重要になってくるのではないでしょうか。
2位:十二(77.4)
2位は、グループ十二となりました。このグループのWARトップ3は
鈴木大地(30.7)
茂木栄五郎(21.9)
井納翔一(13.4)
でした。最も不利であるはずのグループ十二が2位となりました。鈴木、茂木、井納とかなりインパクトがあるわけではないものの、確実にWARを積み重ねた優秀な選手を多数確保できています。ほぼ4位指名に近い指名順でも、このレベルの選手が確保できるということでもあります。
1位:三(85.1)
1位は、グループ三となりました。このグループのWARトップ3は
秋山翔吾(51.8)
西勇輝(31.7)
津森宥紀(1.4)
でした。秋山と西の2人が飛び抜けた数字を残しており、この2人に引っ張られる形で1位になったという部分もあります。またしてもライオンズに指名された選手がトップとなっており、ライオンズスカウト陣の能力の高さを証明したランキングにもなりました。このグループには金子侑司も属しており、ライオンズの連覇は3位指名に支えられていたと言っても過言ではないかもしれません。
まとめ
以上、各グループの順位を確認していきました。
結果としては、2位指名の時と同じく下位と上位が入り乱れており、やはり指名順の早さはドラフトの有利不利には関係ないと結論付けてもよさそうです。とにかくライオンズが非常に優秀な選手を確保しており、3位指名ともなるとスカウティング能力の差がかなり出てくる可能性も考えられます。
前回・今回とWARの合計で順位付けをしていきましたが、WARは出場機会の多い選手がマイナスとなり、一軍出場のない選手よりも低い評価となってしまう欠点もあるため、次回は全くチームに貢献できていない選手=一軍未出場選手がどれだけいるかも確認していきたいと思います。
最後に、前回と同じく今回作成した表を載せておきます。やや見づらくなっていますが興味のある方はご確認ください。
画像引用
データ参照