児童虐待事案への対応状況
全てのこどもは、「児童の権利に関する条約」の精神にのっとり、適切な養育を受け、健やかな成長・発達や自立が図られることなどを保障される権利がある。
こどもの健やかな成長に影響を及ぼす児童虐待の防止は社会全体で取り組むべき重要な課題であるとされている。
がしかし・・児童虐待事案のニュースが後を絶たない。
警察庁が「令和5年中の児童虐待事案への対応状況」に関する統計を発表したので読み解くことにする。
|児童虐待の定義
児童虐待は、以下の4種類に分類される。(児童虐待の防止等に関する法律 第2条)
| 通告児童数
令和5年中の児童虐待事案への対応状況をみてみる。
児童虐待防止法では 「虐待を受けたと思われる児童を発見 した者は、速やかに、 児童相談所等に通告しなければならな い。」と規定されている。
そして警察が、虐待を受けたと思われる児童を発見した場合に その内容を児童相談所等に「連絡」することになるが、全国警察が児童相談所に通告した数を「通告児童数」として集計している。
通告児童数は増加傾向であり、令和5年は12万2,806人(前年比+7,044人,+6.1%)と過去最多である。
|児童虐待事件の検挙状況
児童虐待事件の検挙件数は増加傾向であり、令和5年は2,385件(前年比+204件,+9.4%)と過去最多であった。
|罪種別内訳
児童虐待事件を検挙した罪種別にみると下表のとおりである。
なお、身体的虐待が多いことから、暴行(911件)が最も多く、次いで傷害(906件)となっている。
殺人及び殺人未遂の合計は39件と、令和元年以降最も少なくなっている。
また、「不同意性交等」および「不同意わいせつ」の合計数は333件であり、令和元年以降最多となっている。
|児童虐待事件の被害児童・加害者の状況
(※以下は全て児童虐待事件の内訳)
① 被害児童の数
児童虐待事件の被害児童数は高い水準で推移し、令和5年は2,415人(前年比+201人,+9.1%)と過去最多であった。
一方、死亡児童数は、令和5年が28人と過去最少で、無理心中及び出産直後のものを除いた死亡児童数は17人となっている。
②被害児童の性別
被害児童を性別にみると、男児が52.3%と女児47.7%をわずかに上回ってる。
③被害児童の年齢
被害児童を年齢別にみると、13歳が240人で全体の9.9%を占めており最多となっている。
なお、令和元年以降各年被害者の年齢としては13歳が最多である。
④被害児童と加害者の関係
最も多いのが父親等で1,718人、71.0%となっており、その内訳では「実父」(44.2%)、「養・継父」(16.1%)となっている。
一方母親等は29.0%であり、実母が26.9%となっている。
実父及び実母が加害者なっている合計は1,718人と71.0%を占めている。
|児童虐待防止のための主な取組
○ 189(いちはやく)
児童虐待かも・・・と思ったら、すぐに連絡を。通告は警察だけじゃなく国民の義務である。
1本の電話で救われるこどもがいるのだ!
「189」をダイヤルすると地域の児童相談所につながる。
もちろん、通告・相談は匿名がOK。
通告・相談をした人やその内容に関する秘密は守られる。
○ 親子のための相談LINE
「親子のための相談LINE」は子育てや親子関係について悩んだときに、こども(18歳未満)とその保護者の方などが相談できる窓口。
匿名(LINE上のアイコンとニックネーム)でも相談OK。
ひとりで悩まずに相談すると良い。
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