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運転免許証のマイナンバーカードとの一体化

マイナンバーカードと運転免許証の一体化に関する道路交通法施行令改正(案)が閣議(10/30)決定されたという。


|概要

運転免許証とマイナンバーカードを一体化させるいわゆる「マイナ免許証」の運用を来年(2025年)3月24日からスタートさせることを内容とする道路交通法施行令の一部を改正する法律(案)が閣議で決定した。

マイナ免許証への切り替えはあくまでも任意であり、運用開始後も従来の免許証は利用できる

|マイナンバー運転免許証とは

簡単に言うと
 マイナンバーカードに運転免許証としての機能を持たせること。
マイナンバーカード付いているICチップに運転免許証に記載されているような、
 免許の種類や有効期限、免許証番号などの情報
を入力するというものだ。
この情報には違反歴などは含まれていない

|作成・切り替えは任意

マイナンバー免許証、いわゆる「マイナ免許証」にするかどうかはあくまでも「任意」、つまり、免許を保有する人が
★ 従来の免許証のみでマイナンバーカードにひも付けない
★ マイナ免許証のみを使用(従来の運転免許証を廃棄・返納する)
★ 従来の免許証とマイナ免許証の両方を併用する
の3つのパターンから選択することができる。

|マイナ免許証のメリット

マイナ免許証のメリットとして考えられる点は以下のとおり。

➤ 住所・氏名変更手続きが簡単
自治体側から警察への情報提供に同意することで、市区町村に転入届でをすることで運転免許証の住所変更の手続きが完結する。つまり警察への手続きが不要になるのだ。

➤ 運転免許の手数料が安価になる
運転免許関係の手数料が変わることになる。
マイナ免許に関する手数料は以下のとおり。

筆者作成

➤ 更新時講習がオンラインで受講可能に
現在、免許更新の際には、運転免許センター等で更新時講習を受けることになる。
しかし、あらたなオンラインでの更新講習が導入されることになり、
 無事故・無違反の「優良運転者」
と、
 マイナ免許証を持つ、軽微な違反のみの「一般運転者」
が、その対象となる。

ただし、視力検査や実際の免許情報の更新作業は免許センター等で行う必要があるのだ。

以上のようなメリットがあるが、このメリットを真に必要とする人はどれほどいるだろうか、疑問である。

|デメリットは

もちろんデメリットとして指摘されていることもあるのだ。

➤ 再発行に時間を要する
 例えば運転免許証を紛失した場合、現在は、運転免許センターで手続きをした場合には即日交付される。
しかし、マイナ免許証の場合、マイナンバーカードを紛失すると、再発行に1ヶ月半程度要するのだ。

救済措置的に、従来の運転免許証の再発行手続きを行うことも可能なようだ。この場合には最短即日受け取ることも可能である。

また、このような場合には、マイナンバーカードの再発行マイナー免許証としての再発行従来の運転免許証の再交付のための手数料、つまり費用がかかることになり負担が大きい

➤ 運転免許の有効期限が表示されない
現在の運転免許証には、有効期限が表示されており免許証の失効を防止するという目的もあった。

しかしマイナ免許証には運転免許証の有効期限が表記されないことから注意を要する。
マイナンバーカードの有効期限のみの表記である。

更新時には都道府県公安委員会から、運転免許証の更新案内が郵便物として発出されるが、郵便事故等により必ずしも更新者に届くとは限らないし、配達されても更新者の目にとまるかには疑問もある。

更新時期を失しないように先ずは自分で更新時期を管理することが必要である。
警察庁では、有効期限等を読み取るためのアプリを作成中とのことだが、それならそもそも運転免許証もアプリで良いのではないかとも思う。

|道路交通法施行令の一部改正概要

マイナ免許証に関する道路交通法成施行令の改正概要は以下のとおり。

3  改正の概要
(1)  道路交通法施行令関係
ア  特定免許情報の個人番号カードへの記録等に関する規定の整備
 (ア)  特定免許情報の個人番号カードへの記録等に関する事務のうち、都道府県公安委員会が内閣府令で定める法人に委託することができないものとして、免許情報記録の更新に係る適性検査の結果の判定及び免許情報記録の更新の拒否を定める(新令第40条の3関係)。
(イ)  任意の申請に基づく免許証の交付に際して徴収する免許証交付手数料、特定免許情報の個人番号カードへの記録等に際して徴収する特定免許情報記録手数料及び免許情報記録の更新等に際して徴収する免許証等更新手数料等について、その標準を定める(新令第43条関係)。
(ウ)   国家公安委員会の権限に属する特定免許情報の個人番号カードへの記録等に関する事務のうち、警察庁長官にその権限が委任されるものとして、戸籍電子証明書又は特定署名用電子証明書記録情報の提供を受けるための措置の処理及び免許に関する事務の適正を図るための都道府県公安委員会への通報を定める(新令第43条の2関係)。
(エ)  その他所要の規定を整備する。
イ   運転免許等に関する手数料の標準の見直し 地方分権推進計画(平成10年5月閣議決定)において、「法令において定める手数料の金額の標準については、経済情勢等に鑑み適切なものとなるよう原則とし て3年ごとにその金額について見直すこととする」とされていることを踏まえ、運転免許等に関する手数料の標準について、オンライン講習の導入や昨今の物価 変動等を考慮の上、所要の見直しを行い別表のとおり改める(新令第43条関係)。
(2)  自衛隊法施行令(昭和29年政令第179号)関係 防衛出動命令正後の自衛隊法施行令第160条関係)。
(3)  情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行令(平成15年政令第27号)関係
特定免許情報の個人番号カードへの記録等に関する事務のうち、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により行うことが適当でないものを定める(改正令による改正後の情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行令別表関係)。
(4)  個人情報の保護に関する法律施行令(平成15年政令第507号)関係
個人識別符号に免許情報記録の番号を加える(改正令による改正後の個人情報の保護に関する法律施行令第1条関係)。
(5) 経過措置
改正法の施行に関し、所要の経過措置を設ける。
施行期日 施行期日を、改正法の施行の日(令和7年3月24日)とする

警察庁の資料の一部を転載

|おわりに

 運転免許証もついにマイナンバーカードとの一体化がされることになった。
実質的なメリットは少ないという感じですね。
これも政府のデジタル化推進施策の1つですよね。某大臣がむちゃくちゃに進めた施策だ。
よく言えば政府のマイナーバーカードの普及促進施策、悪く言うと一部業者の利権のための施策で地方自治体も困惑するという政府押しつけ施策の1つでしょうね。
そして全国民+免許保有者が被害に遭ったようなものかも・・・。

免許行政を司る警察庁も政府の構成機関であるが、従来の運転免許証と二本立てにするということで、マイナ化をやむなくのんだのでしょうね。
某大臣は警察庁を管理する立場の国務大臣をしていたことがあるから・・。

マイナ免許証は手数料が安くなるとはいうものの、紛失等の際の手数料負担は増額となる。
健康保険証も含め国民への負担が増えることに変わりないような気がするのだが・・・。