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国民生活センターによる裁判外紛争解決手続(ADR)とは・

国民生活センターには、紛争解決委員会という組織があり仲裁等をしてくれるというので、概要についてひもときます。


|紛争解決委員会

国民生活センターの紛争解決委員会は、重要消費者紛争、すなわち消費者と事業者との間で起こる紛争のうち、その解決が全国的に重要であるものについて、和解の仲介や仲裁を行う機関です。

|紛争解決の手続き

各地の消費生活センター等や国民生活センターへ寄せられた相談のうち、助言やあっせん等の相談処理による解決が見込めなかったときなどに、国民生活センター紛争解決委員会へ和解の仲介や仲裁を申請することができます。

手続が始まると、当事者双方との話し合いを通じて、紛争解決を目指巣ことになります。
手続終了後、国民生活センター紛争解決委員会が必要と認めるときは、結果の概要を公表することがあります。

|国民生活センター紛争解決委員会によるADRの概要

裁判外紛争解決手続は「ADR」と称します。
ADRでは、重要消費者紛争の解決を図るため、「和解の仲介」または「仲裁」の2種類の手続を行っています。その概要を以下のとおり。

1.紛争解決委員会の組織等
紛争解決委員会は、独立してその職権を行うもので15人以内の委員で組織されている。
委員は、法律や商品、役務の取引について、専門的な知識・経験を有する者のうちから選ばれ、内閣総理大臣の認可を受けて、国民生活センター理事長が任命する。

消費者紛争は幅広い分野で起こるため、それぞれの分野に応じた専門知識が要求されることから、医療、建築、自動車等、各専門分野に詳しい特別委員が任命されている。
※国民生活センター紛争解決委員会 委員・特別委員名簿PDF形式

2.重要消費者紛争
消費者紛争とは、消費生活に関し、消費者と、事業者との間に生じた民事上の紛争をいい、消費者紛争の中でも、その解決が全国的に重要であるものを「重要消費者紛争」としている。

その具体的なものとしては、次の2点。
ア 特定適格消費者団体共通義務確認の訴えを提起することができるもの。
イ 次の1~3のいずれかに当てはまり、国民生活センターの指定を満たすもの。
● 同種の被害が相当多数の者に及び、または及ぶおそれがある事件に係る消費者紛争
● 国民の生命・身体又は財産に重大な危害を及ぼし、又は及ぼすおそれがある事件に係る消費者紛争
● 1・2に掲げるもののほか、争点が多数であり、または錯そうしているなど事件が複雑であることその他の事情により紛争解決委員会が実施する解決のための手続によることが適当であると認められる消費者紛争

※上記アの定義
特定適格消費者団体
:消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律第二条第十号に規定する特定適格消費者団体をいう。
共通義務確認の訴え:消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律第二条第四号に規定する共通義務確認の訴えをいう。

出典:国民生活センターチラシより抜粋

|「和解の仲介」と「仲裁」

紛争解決委員会が行う紛争解決手続は、「和解の仲介」「仲裁」の2種類があります。

1.和解の仲介
「和解の仲介」は、仲介委員が当事者間の交渉を仲介し、和解を成立させることによって紛争解決を図るもの。

手続が開始されると
・ 複数回の話し合いが行われ、和解案が作成される。
・ 仲介委員は、申請日から3カ月以内に手続が終了するように努める。
・ 和解が成立した場合、和解契約書(和解書)が作成され、当事者双方は和解書で取り決めた合意事項をそれぞれ履行する。

2.仲裁
仲裁は、仲裁委員が判断(仲裁判断)を行い、当事者がその仲裁判断に従うことで紛争解決を図るもの。

仲裁判断は、裁判の判決と同様の効力が認められている(なお、強制執行を行うためには、別途手続が必要です)。

そのため
・ 申請に先立って、仲裁委員の判断(仲裁判断)に従う旨の両当事者の合意が必要。
・ 仲裁判断に対して、不服を申し立てることは原則できない。
・ 仲裁判断がなされると、仲裁判断に納得できなくても、対象の紛争については裁判を受けられなくなる。
などの条件があります。

申請がなされると、
・ 委員または特別委員から、当事者が合意によって選んだ者を、委員長が仲裁委員として指名する。
・ 委員の選定について、当事者の合意がない場合、委員長が、委員または特別委員から仲裁委員を指名する。
・ 申請された紛争が、仲裁委員によって重要消費者紛争に該当しないと判断されると、申請は却下される。

手続が開始されると、
・ 複数回の話し合いが行われ、最終的に、仲裁委員が仲裁判断をする。
・ 仲裁委員は申請日から3カ月以内に手続が終了するように努める。

なお、和解による決定や、仲裁判断で定められた事項が履行されない場合、当事者からの申し出があり、紛争解決委員会が相当と認めるときは、その事項を履行するよう、もう一方の当事者に勧告することができます。

出典:国民生活センターチラシより抜粋

いずれも、手続は非公開で行われるが、手続が終了した場合には、紛争解決委員会は、必要と認めるときは結果の概要を公表することができます。

出典:国民生活センターチラシより抜粋

|申請手続き等

○ 和解の仲介の申請
和解の仲介の申請は、下のページから確認を ↓

○ 仲裁の申請
国民生活センター紛争解決委員会で取り扱う紛争は「重要消費者紛争」です。

仲裁の申請は、すでにもう一方の当事者(相手方)と、交渉や話し合いを行っているが解決できない等、「紛争状態」にあることが前提です。
申請法法等はこちらで ↓

|おわりに

もしもトラブルが発生した場合には、和解の仲介、仲裁という解決手段があるようなので活用してみるのも良いかもしれませんね。

出典:国民生活センターチラシより抜粋

参考資料
国民生活センターチラシ等 https://www.kokusen.go.jp/adr/pdf/adr_lf.pdf