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配偶者からの暴力事案等の検挙状況(R5年中)

警察庁の発表した統計データですが、ちょっと興味を引いたのがこちら!
今回はDV事案に関する統計データを読み解きます。


|概要

今回のデータを総括すると
◍ DV事案が増加
◍ 男性のDV被害相談が過去最多

  15年で1.8%→29.5%に増加
という状況が認められる。
以下統計データをもとにつづることにする。

|配偶者からの暴力事案等の相談等状況(推移)

配偶者からの暴力事案等の相談件数は、年々増加傾向にあり令和5年は88,619 件(前年比+4,123 件,+4.9%)DV防止法施行以来最多な状態となっている。下のグラフを参照してください。
相談件数は、ザックリですが平成24年の2倍になっている。


|配偶者からの暴力事案等の検挙状況

保護命令違反の検挙は令和5年は49件(前年比+3件,+6.5%)と前年より増加。

DV防止法では「保護命令」という制度上が設けられている。この制度は、
 過去に配偶者等の加害者から暴力や脅迫の被害を受けた被害者が、将来、  
 同じ加害者からの暴力による生命又は身体に対する重大な危害が発生する
 おそれが大きいと認められる場合に、裁判所が、その生命又は身体の安全
 を迅速に確保するため、被害者への接近の禁止等を加害者に命ずる
もの。

この保護命令の発令は、裁判所から、被害者の住居・居所を管轄する警察に対し、速やかに通知され(15条3項)、警察に把握される。
そして「保護命令」に従わないなど保護命令に違反する行為はそれ自体が犯罪となり、法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(29条)となっている。

|刑法犯等の検挙状況

配偶者偶者からの暴力事案等に関連する刑法犯・他の特別法犯の検挙は、令和5年は8,636件(前年比+101件,+1.2%)と増加している。

警察庁発表資料から引用

|具体的な罪種別内訳

刑法犯等の罪種別の内訳は下の表のとおりであり、暴行(5、026件)、傷害(2、640件)となっている。

警察庁発表資料から引用

|DV防止法に基づく対応

DV法に基づく対応については下表のとおりで、裁判所からの書面提出要求(1,226件)、裁判所からの保護命令通知(1,077件)などとなっている。

警察庁発表資料から引用

|警察本部長等の援助

DV対策防止法に基づき、警察では配偶者からの暴力による被害を自ら防止するため、「警察本部長等による援助に関する規則」により、相手方からの暴力による被害を自ら防止するための援助を受けることができるとされている。

警察は、援助を受けたい旨の申出があり、その申出を相当と認めるときは、国家公安委員会規則で定められた次の援助を行うことになる。
1 被害を自ら防止するための措置の教示
2 住所又は居所を知られないようにするための措置
3 被害防止交渉に関する事項についての助言
4 加害者への被害防止交渉のための必要な事項の連絡
5 被害防止交渉を行う場所としての警察施設の利用
6 その他

対応状況については下表のとおり。

警察庁発表資料から引用

|その他の対応

防犯機器の貸し出しなどの対応状況は以下のとおりである。

警察庁発表資料から引用

|配偶者からの暴力事案等の被害者・加害者の状況等」

 (※以下は全て相談等件数(88,619件)の内訳)

◍ 被害者の性別
被害者の性別を見ると、男性が29.5%と約3割を占めており、男性のDV被害相談が過去最多になっている。
男性の被害は、過去15年で1.8%から29.5%に大幅に増加しており注目すべき点であろう。
これも、男性が被害を訴えやすい社会的環境の変化が背景にある推察するところである。

◍ 被害者の年齢
被害者の年齢区分としては、30歳代(25.6%)、20歳代(23.6%)、40歳代(21.8%)となっている。

警察庁発表資料から引用

|加害者の性別

加害者の状況をみると、性別では男性が71.6%、女性が28.4%となっている。

警察庁発表資料から引用

|加害者の年齢

加害者の年齢区分では、30歳代(25.1%)、40歳代(22.4%)、20歳代(21.7%)となっている。

警察庁発表資料から引用

|被害者と加害者の関係

被害者と加害者の関係をみると、婚姻関係(元含む)が最も多く(73.1%)となっている。

警察庁発表資料から引用

|おわりに

以上のように配偶者からの暴力事案等、いわゆる「DV事案等」は大幅に増加している状況にある。
近年男性の被害者が増加していることも、とても興味を引くところである。

男女問わず、また、DVの被害者となり、または知人等でDVの被害者になっている状況が伺えるような場合には、重大な事件に発展する前の措置として、本人はもちろんだが、周りの人達も早めに相談を促すことも大切であると感じる。

(筆者撮影)


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