悪質ホストクラブに注意!
いわゆるホストクラブにおいて、入店時の説明とは異なる高額な料金の請求
を行ったり、飲酒による酩酊やホストへの恋愛感情等を利用して女性客に高額な注文を行わせたりする悪質な行為や高額な請求に対し、直ちに支払ができない女性客が売掛金、立替金等の名目で多額の借金を負わされ、当該借金の返済のために売春をさせられたり、性風俗店で働かされれるといった事案が発生している。
こうした、社会経験が未熟な女性や困難な問題を抱える女性の弱い立場に付け込んだ悪質な行為が、大きな社会問題となっている。
|悪質ホストクラブ
悪質ホストクラブは、初回は安い料金を謳って女性客を来店させ、女性客のホストに対す る恋愛感情を利用したマインドコントロールにより、徐々に女性客を借金漬けにするという 営業スキームを確立している店。
女性客が不当な高額請求がなされても、請求書に内訳が書かれていない上、畏怖の念 から指摘できないという。
売掛金を禁止した店舗は多いが、実際には売掛金が「立替金」へ形を変えただけで、実態は これまでと変わらない。
|警察庁が把握するホストクラブの数
警察庁が、いわゆるホストクラブに当たるとみられる接待飲食店等営業は全国で概ね1000店舗であり都道府県別には以下の図のとおり。
|料金に関する虚偽説明
いくつかの事例を示すことにするが、いずれも料金に対する明確な説明がないものだ。その手段として恋愛感情を利用したり、正常な判断のできない状態での勝手な注文などが多い。
結局のところ、目的はホストの売上げUPであり、そのため虚言を用いることがあることを認識すべきでしょう。
① 料金の説明がない
入店する際、事前に「指名料の○万円しか料金は掛からない。」と説明された。ホストを指名した後、○万円のボトルキープを追加で頼んだ。料金の総額は○万円くらいであると思っていたが、店を出る時に伝票を確認すると、○○万円も請求された。料金の詳細な説明はなかった。
② 色・恋を手段として依存させる_その1
「幸せに出来ないから別れて欲しい。別れずに済む方法は、お金を借りてお店で使って欲しい。」等と言われた。当時私は彼のことが好きだったので、彼のために、この日の支払は、私が消費者金融から借りて残っていたお金で支払った。
③ 色・恋を手段として依存させる_その2
好きになったホストに「降格しそうだから、お酒入れて」と頼まれ、シャンパンを入れ…○○万円の借金をホストクラブにしてしまった。ホストから「俺たちは付き合っているよ。応援してくれたらうれしい。」と言われたことがうれしくて、デリヘルで1ヶ月くらい働き、稼いだお金で店に通った。
④ 女性客の承諾前に注文
相手方が働くホストクラブに行き、そこでお酒を飲み、私は酔っ払っていたので、 知らない間に相手方に勝手にシャンパンを注文された。
私は自分で頼んでいないから飲まな かったが、会計の際○○万円を請求された。私はここで払わないと売掛になったり大事になると思ったので、その金額を支払うことにした。
⑤ 酒に酔わせ、正常な判断ができない状態で高額な遊興・飲食をさせる
酔って分からないうちに高いシャンパンを2、3回入れられて、合計○○○万円請求された。
|悪質ホストクラブに係る検挙事件・検挙人員
令和5年1月~令和6年5月までの間の悪質ホストクラブに係る検挙事件数は76事件。検挙人員は172人であった。
|検挙事例
• 売掛金を回収するため、女性客の父親を脅して支払いを要求したホストクラブ経営者を恐喝未遂等で検挙。(令和5年10月、香川)
• 違法な客引きを受けた者を、客としてホストクラブ店内に立ち入らせたホス卜をぼったくり条例違反で検挙。 (令和5年11月、警視庁)
• ホストクラブにおいて、クレジットカード決済をする意図を秘して、女性客からクレジットカードを騙し取ったホストを詐欺罪で検挙。(令和5年12月、兵庫)
•女性客を性風俗店に紹介したホストのほか、同女性を勧誘した性風俗店の経営者を職業安定法違反で検挙。(令和6年1月、愛知)
• メンズコンセプトB A Rと称して無許可でホストクラブのような接待をしていたことから、風営適正化法違反で検挙。 (令和6年1月、大阪)
• 女性客に売春の客待ちをさせ、スマートフォンのGPSアプリで同女性の位置情報を監視していたホストを強要罪で検挙。 (令和6年1月、警視庁)
• 悪質なマニュアルをもとに、女性客を性風俗店に紹介したホストクラブ店長及びホストを職業安定法違反で検挙。(令和6年2月、宮城)
• 売掛金に関するトラブルの相談がなされていた店舗について、無許可でホストクラブのような接待をしていたことから、風営適正化法違反で検挙。
(令和6年2月、福岡)
• 女性客に売春をさせようとしたホストを売春防止法違反 (困惑売春未遂)で検挙。(令和6年3月、警視庁)
・18歳未満の女性に知人名義の身分証明書を渡し、客としてホストクラブ店内に立ち入らせたホストを風営適正化法違反で検挙。 (令和6年3月、警視庁)
• メンズコンセプトカフェと称して無許可でホストクラブのような接待をしたうえ、20歳未満の女性と知りながら客に酒類を提供していたことから、風営適正化法違反で検挙。 (令和6年5月、警視庁)
• 売掛金を回収するため、女性客を性風俗店に紹介したホスト及びスカウトを職業安定法違反で検挙。 (令和6年6月、警視庁)
|行政処分の事例
・ 歩行中の女性を客引きしたホストを風営適正化法違反で検挙。
当該ホストによる違法行為が、ホストクラブの営業に関して行われていたこ
とから、ホストクラブの営業者に対し、3か月間の営業停止を命じた((令和6年1月、北海道公安委員会)
• 当時ホストであった被疑者が、ホストクラブでの売掛金の返済名目で客の女性に現金を要求し、スカウトマンを介し、ソープランド従業員に紹介して売春をさせた。被疑者らを売春防止法違反、職業安定法違反等で検挙。
当該ホストによる違法行為が、ホストクラブの営業に関して行われていたことから、ホストクラブの営業者に対し、風俗営業許可の取消しを行ったもの(令和6年5月、東京都公安委員会)
なお関係法令については以下のとおり。
|警察に相談を
ホストに売春等を強要されている、追われている等の事案などの犯罪被害に関する相談は、最寄りの警察署への通報又は警察相談専用電話(「♯9110」番)に相談することができるので、一人で悩まず相談しよう。
なお、ホストクラブ等において、好意の感情を不当に利用した契約(いわゆるデート商法)など、不当な勧誘により締結された契約は、消費者契約法に規定する要件に該当すれば、消費者が意思表示することにより、後から取り消すことができるので、万が一の場合には速やかに相談するとよい。
|おわりに
最近の報道でも結構この種事案については取り上げられています。徐々に被害者が低年齢化している状況にもあるので、親、子などのコミュニケーションをしっかり確保することで早めの対応が必要です。
政府でも現在「悪質ホストクラブ対策検討会」を開催して対策を検討してきており、今後法改正等が行われ対応されると思われる。
参考資料:
ホストクラブなどにおける不当な勧誘と消費者契約法の適用についてはこちら(消費者庁のページ)
○ ホストクラブ等との契約などにおける消費者トラブルの相談
消費者ホットライン
全国共通の電話番号:188
○ 売掛金に係る契約等の取消の手続等各種法的トラブルに関する相談
日本司法支援センター(法テラス)
電話番号:0570-078374
○ 性犯罪・性暴力被害の相談
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
全国共通番号:♯8891