高齢運転者の慣れと過信による事故?
高齢運転者の事故の実態をかいま見たような気がする事例だったのでちょっと記事にします。
|はじめに
知人の高齢女性(85歳)から「事故で怪我をした」という趣旨の連絡があった。
話を聞くと、
という。
車はすぐ後ろにあった樹木にぶつかり停まったが、ドアにぶつかり転倒して肋骨(2本)を骨折したという。
|なぜ事故は起きたのか
事故の原因について尋ねると、
ということだった。
と聞くと、おやっと思う人もいるでしょう。
この事故の原因はいうまでもないかもしれないが
・変速用のシフトレバーを操作する際目視で確認しなかったこと
・パーキングブレーキを作動させなかったこと
・エンジンを停止させなかったこと
などが複合的にからんで発生したと推察される。
|日常の運転操作・・・
彼女は高齢ではあるが、運転歴は長く今でもほぼ毎日のように車を運転しているという。
普段の運転を聞くと、どうやら普段から自宅で駐車する際に、エンジンをかけたまま荷物を降ろしたりすることがあるようだ。
さらに話を聞くと
・パーキングブレーキをあまり使用しない
・エンジンを始動したままシフトレバーを「P」レンジに入れ荷物の積卸をすることがある
・ギヤーレンジをみることなく操作することがある
などの長年の操作の癖や慣れを感じるような発言があった。
もちろん、普段はシフトレバーを「R」レンジに入れると警告音が鳴るのだが、この事故の時は聞こえなかった、いやどちらかというと鳴っていても気にしなかった(余り認識してなかった)、またパーキングブレーキは作動させていなかったという。
その結果、複合的な理由により今回の事故が起こったようだ。
|安全運転支援装置の過信
事故車両は半年ほど前に購入した新型の軽自動車。
2週間ほど前に会った際、彼女は
といっており、安全運転支援装置を過信しているように感じた。
そこで、
とちょっと警鐘を与えていたのだが・・・・どうやら基本的なミスをしたようだ。
|パーキングブレーキに関して
パーキングブレーキは、従来の手で引いたりするタイプは少なくなり、フットブレーキタイプやボタン操作による電動式タイプになってきている。
しかし電動式になってきてからパーキングブレーキという意識がやや薄れてしまい車を、駐車した際に電動式パーキングブレーキを操作しない人が増えているようだ。
安全運転支援装置が装備されるようになり、高齢者に安全な車というディラーのふれこみが、「安全のための運転操作は機械でなく「人」が行う」ものであるという意識が薄れてきているのではないだろうか。
|加齢に伴う緩慢
もう一ついえるのが、加齢に伴う認知機能の低下と動作の緩慢ということ。
この事故では一つ一つの操作が的確にできていないし、「R]レンジの際の警告音すら聞いていない。
85歳という年齢であり、身体機能が低下しており、特に認知機能の低下していると思われる。またこれまで長きにわたる運転行為や自己流の運転、過信が重なったと感じているのだが・・・・。
|おわりに
車の運転を安全に行うためには、ひとつひとつの運転操作を確実に行っていくことが必要である。
慣れや惰性での運転は大きな事故の因子になってしまうことがあるのだ。
安全運転支援装置などは日々進化しており、中期的には完全自動運転レベル5の時代がやってくるかもしれないが、全てを装置に頼るのではなく「人」が操作することを忘れてはいけない。