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交番等でお金が借りられる?

お金をなくして電車賃もないなど、困ったときに警察署や交番でお金を借りることができることを知っていますか?ちょっと説明します。


|公衆接遇弁償費とは

公衆接遇弁償費とは、財布を落としたり盗難にあった場合などに、警察や交番からお金を借りられる制度です。

帰宅に必要な交通費や事故にあった人を救済するためにかかるお金などを借りることができます。ただし、都道府県警察によって取扱の有無などに違いがあります。

|公衆接遇弁済費を使用する要件

例えば警視庁の場合には、公衆に対する利便供与又は応急的な措置に要する経費として、次に掲げる場合に弁償費を支出することができる。
○ 外出先で所持金を盗まれ、又は遺失した者に対する交通費
○ 行方不明者等の保護にあたり、応急的な措置に要する経費
○ 行路病人の保護又は交通事故等による負傷者の救護にあたり、一時的応急措置に要する経費
○ その他公衆接遇の適正を期するため必要とする経費

すなわち
• 財布を盗まれてしまった
• 財布を落としてしまった
• 倒れている人を助けたいけどお金がない
• そのほか財布の盗難や紛失などといったトラブルに遭い、帰宅に必要なお金がなくて今まさに困っている人がいるなどの場合に、警察の公衆接遇弁償費からお金を借りることができます。

|借りられる金額は

警視庁の場合、公衆接遇弁償費から借りられる金額の上限は原則として1,000円です。

ただし、やむえない事情により貸出額が1,000 円を超える場合には、交番の警察官等が警察署の責任者の承認を得て貸し出すことができることとされています。

|手続き

警察からお金を借りる場合の手続きとしては、公衆接遇弁償費借受願書兼借受書(以下「借受願書」)という書類を書くことになります。

これは、いわゆる「借用書」にあたるもので、お金を借りる本人の氏名や住所などを記載して提出します。
住所や名前などの利用者の属性や、誰がいくら借りたのか記録するとともに、現金の貸し借りには、実際に公費からお金を貸した(借りた)ことを証明するために必要になります。
借受願書に記載する事項は以下のとおりです。

氏名
年齢
住所
電話番号
職業
押印または指印 など

|注意すべきこと

公衆接遇弁償費を利用しようとするときには次の点に注意しましょう。

 正しく申告すること
行政機関の公衆接遇弁済費を借りることができる制度なのですが、虚偽の申告すると詐欺罪になるリスクがあります。そのことを認識した上で正しく申告し書類を作成しましょう。

刑法
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

実際に、公衆接遇弁償費を騙して借りたとして逮捕された事例もあります。

➤ 「電車代を貸して」などと交番に駆け込み、財布をなくした人などに貸し出す「公衆接遇弁償費」をだまし取ったとして、警視庁碑文谷署は6日、詐欺などの疑いで、東京都の男性を逮捕した。
参照元: 産経ニュース2012_09-06

➤ 「財布をなくした。町田駅まで帰るまでの電車賃を貸して欲しい」などとうそをいい警察から現金を借りられる制度を悪用し、警察から現金610円をだまし取ったとして、警視庁久松署は無職の男を詐欺の疑いで逮捕した。朝日新聞 2023_11_2

➤ 交番の警察官に、「財布を落とした」とうそをつき、現金をだまし取ろうとしたとして、愛知県警は、住所不定、無職の男(55)を詐欺未遂容疑で逮捕した。2015年4月27日 読売新聞 2015_4_27

② 必ず返すこと
公衆接遇弁償費は、あくまでも警察という行政機関から一時的にお金を借りることができる制度です。
後日返済ができるようになったら、借りた行政機関に返さなくてはいけません
また、利息や延滞金などはありません。

③ 未成年の場合は親に連絡される
公衆接遇弁償費は、未成年でもお金を借りることができます。

未成年者(現在は民法改正で18歳未満)が「財布を失くした」などの理由で交番で、公衆接遇弁償費の制度を利用をする時には、必ず親に連絡されます。

その理由は、民法の規定では「未成年者は親の同意がなければお金を借りられない(第5条)」とされているからです。

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

③ お金が借りられない場合もある
公衆接遇弁償費は、条件を満たしていれば絶対にお金を借りられるというわけではありません。

そもそも条件を満たしていない人は借りられませし、身内が迎えに来てくれる可能性のある場合や公衆接遇弁償費自体が底をついている場合などには借ることができません。

公衆接遇弁償費は行政機関に配布されるが、予算で金額が決まっており利用者が多いと残額が不足する場合があります。。

⑤ 公衆接遇弁償費のない県警もある
すべての都道府県警察で、公衆接遇弁償費の制度を導入しているわけではないため、必ず借りられるということではないです。
公衆接遇弁償費の有無の確認を含めて、交番等に相談してみるとよいでしょう。

|返済の方法

警察が貸してくれたお金を返す方法は、借りた交番に現金と返済書を持っていくだけです。

ただし、出張先など遠隔地の場合には、必ずしも借りた交番とは別の施設で返済することも可能です。

支出した弁償費の返済については、支出した警察署等又は交番等に返済させることを原則とするが、借受者の居住地が遠隔の場合等においては、その利便を考慮し、当庁管内の警察署等、交番等及び警ら用無線自動車に返済させることができる。ただし、地域安全センターへの返済については、同所の開所時間等を示達するなど、返済者の利便に配意すること。

引用元:公衆接遇弁償費事務取扱要綱の制定について-警視庁

交番で借りたお金は明確に期限などがあるわけではありませんが、公的機関から借りているお金ですので、なるべく早く返済するのが得策です。

|おわりに

財布を盗難被害に遭った場合などに交番等の警察施設でお金を借りることにができることについて記載しました。

万が一の場合、本当にどうしようもなくなったら、交番等の警察官に相談してみると良いでしょう。
ただし記載のように金額の上限等が決まっていますし遊興費に充当するような金額は借りられませんので注意しましょう。

<資料>
○ 公衆接遇弁償費事務取扱要綱の制定についてhttps://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/johokoukai_portal/kunrei/kunrei_chiiki.files/012.pdf


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