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横断歩行者等妨害

道交法上は「横断歩道は、歩行者優先」であり、横断歩道を通過しようとする時には、運転者には横断歩道手前での減速義務や停止義務があるのだ。


|交通事故の発生状況

横断歩道で歩行者が犠牲となる交通事故が後を絶たない。
横断歩道以外の場所を横断している歩行者や、斜め横断、走行する自動車等の直前直後の横断など法令に違反する歩行者が犠牲になる事故も多く発生している。

警察庁の発表によると、平成30年から令和4年までの過去5年間で、自動車と歩行者が衝突した交通死亡事故は4,678件、その約7割の3,295件は歩行者が横断中の事故なのだ。

交通安全のため、運転者も歩行者も交通ルールを学び、確実に守ることが必要である。

また、横断中の事故のうち、約7割の2,150件が横断歩道以外の場所を横断している時に発生している状況にあり、その中の約7割は、走行中の自動車の直前直後を横断したりするなどの歩行者側にも法令違反があったという。

車両等の運転者は、信号機のない横断歩道を横断中または横断しようとしている歩行者を認めたときは、必ず横断歩道の手前で一時停止し、歩行者に進路を譲ることが必須なのだ。
なお、「車両等」と規定されているので、当然自転車も含まれ車道を走行中の自転車も横断歩行者等を保護する義務がるので違反しなように注意が必要だ。

|横断歩道付近等における交通ルール

● 横断歩道等に接近する場合の減速

車両等は、横断歩道等に接近する場合、その横断歩道等の直前(停止線の直前)で停止できるような速度で進行しなければならない。

除外:横断歩道等を通過する際に、その進路の前方を横断しようとする歩行者等がいないことが明らかな場合を除く。

● 横断歩行者等がいる場合の一時停止等

車両等は、その進路の前方の横断歩道等を横断し、または横断しようとする歩行者等があるときは、その横断歩道等の前で一時停止し、かつ、その歩行者等の通行を妨げないようにしなければならない。

● 側方通過前の一時停止  

車両等は、横断歩道等またはその手前の直前で停止している車両等がある場合、その停止している車両等の側方を通過して、その前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない。

除外:信号機のある横断歩道等の場合で、その信号が歩行者や自転車の横断を禁止している場合を除く。

● 横断歩道等の手前での追抜き禁止

車両等は、横断歩道等およびその手前の側端から前に30メートル以内の道路においては、前方を進行している他の車両等(軽車両を除く)の側方を通過してその前方に出てはならない。

除外:信号機のある横断歩道等の場合で、その信号が歩行者や自転車の横断を禁止している場合を除く。

● 罰則等

・横断歩道等における歩行者等の優先
 罰 則 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金等
 反則金 大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、原付車6千円
 基礎点数 2点

・横断歩道のない交差点における歩行者の優先
 罰 則 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
 反則金 大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、原付車6千円
 基礎点数 2点

|取締り状況

横断歩行者等妨害等違反の取締り件数は、令和5年中は約31万件で、令和元年の約1.4倍となっている。

|おわりに

最も重要なのは横断歩道ありの標識やダイヤマークの路面標示等及び横断歩道をいち早く認識して、適切に速度を調整しながら歩行者の有無を確認することだ。
そして歩行者がいるときは一時停止することだ。
そのためには余裕のある運転をすることが必要なのだ。

<参考条文>

○ 道路交通法の条文

(横断歩道等における歩行者等の優先)

第三十八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない。
3 車両等は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路の部分においては、第三十条第三号の規定に該当する場合のほか、その前方を進行している他の車両等(特定小型原動機付自転車等を除く。)の側方を通過してその前方に出てはならない。

(横断歩道のない交差点における歩行者の優先)
第三十八条の二 車両等は、交差点又はその直近で横断歩道の設けられていない場所において歩行者が道路を横断しているときは、その歩行者の通行を妨げてはならない。

(横断の方法)
第十二条 歩行者等は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の付近においては、その横断歩道によつて道路を横断しなければならない。
2 歩行者等は、交差点において道路標識等により斜めに道路を横断することができることとされている場合を除き、斜めに道路を横断してはならない。

(横断の禁止の場所)

第十三条 歩行者等は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。
2 歩行者等は、道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分においては、道路を横断してはならない。

○ 罰則等
・横断歩道等における歩行者等の優先
 罰 則 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金等
 反則金 大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、原付車6千円
 基礎点数 2点

・横断歩道のない交差点における歩行者の優先
 罰 則 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
 反則金 大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、原付車6千円
 基礎点数 2点


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