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令和5年中の道路交通法違反取締り状況等について
警察庁から、「令和5年中の道路交通法違反取締り状況等について」が公表されたのでその内容について紹介する。
|取締り件数
警察庁がとりまとめ公表した統計資料「道路交通法違反の取締り状況」によると、令和5年(2023年)中の
・交通違反の検挙件数は547万6654件
・前年と比較すると約66万5千件減少
となっている。
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これは1日当たりに換算すると、全国では約1万5,000件も交通違反で検挙されている計算だ。
全国とはいえすごい数ですね。
この数字は、いわゆる「赤切符」、「青切符」、「白切符(点数切符)」と放置違反金納付件数を含める全道路交通法違反の検挙件数ということになる。
|どのような違反検挙が多いのか?
○ 最多の検挙件数は?
検挙件数が1番多かった交通違反は「一時不停止」で1,267万7,094件、全体の23.1%を占めている。
また、前年(R4年)と比較すると19万9千件余り、対前年比にすると13.6%減少している。
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※一時停止は、停止線の直前で一旦停止、安全確認、交差道路の通行を妨げないという義務がある。
良く取締りがしやすいなどといわれることがあるが、交通事故の発生原因(法令違反)として多い違反であることも事実だ。
※ 停止線よりはみ出さないようにして一旦停止して安全確認をしながら
走行ることが肝要ですね。
○ 次いで(2番目)
2番目に検挙件数が多かったのが「最高速度違反」で、88万8,500件、全体の16.2%を占めている。
最高速度違反の検挙総数を前年中と比較すると約4万4千件減少、減少率は4.7%であった。
速度違反の内訳を「50km/h以上」、「30km/h以上50km/h未満」、「25km/h以上30km/h未満」、「20km/h以上25km/h未満」、「15km/h以上20km/h未満」、「15km/h未満」の6種類に分類される。
そのなかで最も多かったのが「20km/h以上25km/h未満」の速度超過で検挙件数は29万2,723件、次いで「15km/h以上20km/h未満」が27万7,769件であった。
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※近年では生活道路といわれる30Km/h規制や40km/h規制などでの取締り回数が多いというので、運転者は注意が必要だ。
速度計の誤差を勘案し、15km/h以上超過した速度が取締り対象になっていると思われる。
学校などの周辺は30km/h規制になっているところが多い。そこで15km/h以上速度超過するということは、少なくとも45km/h以上の速度が出ているということになる。
子細な超過速度データーは判明しないが、生活道路や通学路での速度取締り活動などは交通安全上大切な活動であると認識している。
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○ 放置駐車違反納付命令件数も多い
検挙件数が3番目に多いのが「放置違反金納付命令件数」である。
納付命令件数は64万6,973件、11.8%を占める。
この放置違反金納付命令とは、放置駐車違反として「放置車両確認標章」(黄色いステッカー)が貼られたにもかかわらず、運転者が警察に出頭せず、かつ放置違反金も納付しない場合に都道府県公安委員会から納付命令が出されるだ。
また、上記の違反の他に検挙件数が多かったのは
・「通行禁止違反」の61万6,174件で全体の11.3%
・「信号無視」の42万8,565件で全体の7.8%
・「座席ベルト装着義務違反」が31万4,727件で全体の5.7%
・「横断歩行者等妨害等違反」が31万2,250件で全体の5.7%
・「携帯電話使用等違反」が21万4,458件で全体の3.9%
となっていた。
○ 対前年比で増加した違反種別
全体の検挙件数が対前比で10.8%減少している中で、増加している違反種別もある。
・「無免許運転」が1万7,599件、対前年比5.0%増加
・「飲酒運転」が2万1,467件、8.3%の増加、特に「酒酔い運転」が642件で14.2%増加
・絶対数は少ないものの、「徐行違反」が7.6%増加、「消音器不備違反」が15.5%増加、「騒音運転違反」が5.9%増加などとなっている。
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※ 飲酒運転による悲惨な交通事故防止が叫ばれている中、酒酔い運転等が増加していることは由々しき事態と認識。
また、無免許運転が5%増加したが、特定小型原動機付自転車や電動アシスト自転車ということで使用した車両が、それぞれの性能等の基準を逸脱した製品であったため「無免許運転」として検挙されたものも含むほか、運転免許の効力が停止中(いわゆる「免停中」)の運転が含まれると思うが、それにしても無免許運転がこれ程多いことも由々しきことである。
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|危険運転致死傷罪の適用状況
危険運転致死傷罪等の適用件数をみると、全体としては増加傾向にある。
特に法第2条、第3条のいずれにおいても「アルコールの影響」によるものが対前年比で増加している状況にある。
言い換えると、危険運転致死傷罪の適用対象となるような飲酒運転に起因する交通事故が増加傾向にあるということだ。
|暴走族等
暴走族はグループ数、人員ともに増加しており、い集回数や参加人員、台数も増加している。
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その影響かもしれないが、「騒音運転」等の道路交通法違反の検挙人数も増加している。
|終わりに
概ね以上のとおりで、大幅に検挙件数は減少したものの、結果的には警察庁の指定する取締り重点違反といわれている交通事故に直結する違反や危険迷惑性の高い違反の検挙が多いといえよう。
ドライバーとしては、ルールを再認識し、一層ルールを遵守することが大切である。
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