お得商法(定期購入商法)に注意!
最近話題になっている詐欺的な商法
「おトクにお試しだけ」のつもりが「定期購入」になっていたという事例が増えているようだ。
|甘言に注意
WEB販売サイトなどで「1回目90%OFF」「初回実質0円(送料のみ)」などと、通常価格よりすご~く安価で購入できるように広告しているものがある。しかしよくよく見てみるとその価格は定期購入が条件となっている場合が多いというものなのだ。注意しないと大変なことになるのだ。
「定期購入が条件である」ということは、商品案内や注意書きをじっくりと読んでいかないと見落とすこともあるような表示や表現をしている事業者もいる。
国民生活センター等には、特に健康食品、化粧品、飲料の通信販売に関する相談が全国的に寄せられているという。
|特定商取引法
このような商法に関係する法律が「特定商取引に関する法律」だ。
この法律は、訪問販売等、業者と消費者の間における紛争が生じやすい類型の取引(特定商取引)について、勧誘行為や広告内容の規制等紛争を回避するための規制およびクーリング・オフ制度等、特別の契約解除権等を設けることによって、取引の公正性と消費者被害の防止を図ることを目的としている。
2022年6月に「詐欺的な定期購入商法」の規制が強化(施行)された。
その際の改正点は、
〇 販売業者等は、取引における基本的な事項を最終確認画面等で明確に表示することの義務付け。
〇 販売業者等の誤認させるような表示等により、誤認して申込みをした消費者は、申込みの意思表示を取り消すことができる。
ということが盛り込まれたのだ。
|消費生活センター等への相談事例
全国の消費生活センター等には多くの相談が寄せられているようだがその中の代表的な事例として国民生活センターが公表しているものの一部を示すと以下のとおり。
|消費者へのアドバイス(Web通販中心)
Webサイトでの通販の場合には特に以下の点に注意するよう関係機関が呼びかけている。
〇 低価格を強調する広告の場合は、注文する前に販売サイトや「最終確認画面」の表示をよく確認すること。
必ず「最終確認画面」で、定期購入が条件となっていないか、2回目以降の分量や代金などの販売条件、解約条件等を確認すること。
改正特定商取引法では、販売業者等は、販売サイトの「最終確認画面」において、顧客が「注文確定」の直前段階で、分量、販売価格・対価、支払の時期・方法、引渡・提供時期、申込期間(期限のある場合)、申込みの撤回、解除に関することなどの契約の申込みの内容を簡単に最終確認できるように表示しなければならない(義務)のだ。
〇 申し込み意思表示の取り消し
販売業者等がこれらの契約の申込みの内容について、表示しなかったり、不実の表示や消費者を誤認させるような表示を行った場合、これにより誤認して申込みをした消費者は、申込みの意思表示を取り消すことができる。
しかし一方で、そのような内容が「最終確認画面」で表示されているにもかかわらず確認することなく購入申し込みをした場合には取り消しが困難になることもあるのでしっかり確認することが必要だ。
|「最終確認画面」でのチェック事項
◎ 注文確定前
・定期購入が条件では?
「初回特別価格」「○カ月コース」「定期コース」などと表示されている場合は、特によく確認することが必要だ。
キーワードは「初回」、「…コース」。
・(定期購入が条件になっている場合、)継続期間や購入回数が決められていないか?
「○回をお受け取り後に解約できます」、「○回のお受け取りが条件になっています」などと表示されている場合は契約条項や内容をよく確認することが重要だ。
・支払いの総額はいくら?
各回の分量と2回目以降の代金をチェックすること。初回の分量や代金と2回目以降が異なるケースがある。したがってトータルでの量や支払額(総額)を積算してみることも必要。
・解約の際の連絡手段の確認?
解約手段が電話やメッセージアプリに限定されている場合は、電話がつながらない、メッセージアプリの操作がうまくいかず連絡がつかなくなることも想定しておくべきだ。
・「解約・返品できる場合の条件」等を確認
特に、「次回商品発送の○日前までに連絡をすれば解約できる」など解約の申出に期限がある場合には、申出の期限、解約時の違約金などの支払いの有無、解約金額が必要であればその内容(「解約は可能だが、全額を支払うこと」という場合もあった)など解約条件の詳細を確認すること。
・利用規約の内容を確認
利用規約の内容をよく確認すること。利用規約が表示されても長文であったり細かい文字で読みにくいことからスルーして
利用規約に同意
のチェック入れやボタンを押してしまうのは危険。
・「最終確認画面」をスクリーンショットで保存する
契約を取り消す際の証拠にもなり得るので、最終確認画面をスクリーンショットで保存したり、パソコンの場合には画面のハードコピー操作や印刷機能等を使用してPDF等に印刷・保管しておくこと。
※印刷手順(参考)
当該画面上でマウスの右クリック → プルダウンメニューの「印刷」をクリック → 印刷設定画面の「送信先」を「PDFに保存」にする → ページ下段の「保存」をクリック・・・・・、適宜、ホルダー等を指定して保存する。
※OS等による違いがある。
◎ 未成年者の場合の注意事項
特に以下の点にも要注意!
未成年者であることを偽らない、親権者等の同意を得ているように装わないことが重要だ。つまり「うそ」はダメ!
未成年者が相手を誤信させる目的で、成年者であると伝えたり、法定代理人の同意を得ていないにもかかわらず同意を得ているなどとうそをついたりすること(詐術)により相手を信用させて契約した場合には原則として取り消しはできなくなるのだ。
したがって
◍ 販売サイトに「法定代理人の同意を得ている」のチェック欄がある場合に、同意を得てからチェックを入れる~勝手に「同意を得ている」にチェックしない。
◍ 年齢や生年月日を成人と偽らず、正確に入力して申込む
未成年者は契約できないシステムを採用しているサイトもある。
また法定代理人が目的を定めて処分を許した財産をその目的のために使う行為や、自由な処分を許された財産を使う行為などは法定代理人の同意は不要
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20240131_1_lf.pdf
|ヤバいと思ったら
ヤバイと思ったら、ためらわず取引を中止することが肝要。
しかしもし契約をしてしまい、第1回目の商品が届いてしまった場合などには各地の消費生活センターに相談してみよう。
※ 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号。
|おわりに
お得商法という言葉がよいのかどうか疑問もあるが、Webショップなどで商品を探していたりすると、「お得」「お買い得」「割安」「激安」・・・なんとも消費者の購買意欲を高めるような表現が多くみられる。
しかし前記のように「定期購入」「定期お届け」という大きな落とし穴があることも事実だ。
賢い消費者であるためにも、しっかりと一つ一つを確認しながら取引をしたいものだ。
参照:国民生活センターHP及び公表資料
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20240131_1.pdf