令和5年度使用者による障害者虐待の状況等について
厚生労働省から「使用者による障害者虐待の状況等」が公表されました。
「通報・届出・虐待が認められた障害者数・事業所数は増加、虐待種別では「経済的虐待」が引き続き最多」という状況にあるようです。
|調査の趣旨
「使用者による障害者虐待の状況等」は、障害者虐待防止法第28条「厚生労働大臣は、毎年度、使用者による障害者虐待の状況、使用者による障害者虐待があった場合に採った措置その他厚生労働省令で定める事項を公表するものとする。」に基づき、都道府県労働局(以下「労働局」という。)が把握した使用者による障害者虐待の状況等を取りまとめたもの。
|今回の報告のポイント
報告の内容要点としては以下のとおり。
| 取りまとめ期間
通報・届出:
令和5年4月1日から令和6年3月31日までに通報・届出があったもの
対応結果:
令和5年4月1日から令和6年3月31日までに対応が完了したもの
|取りまとめ方法
都道府県からの報告
障害者虐待防止法第24条に基づき、都道府県から労働局に報告があったもの。
労働局などへの相談
直接、労働局、労働基準監督署または公共職業安定所に、被虐待者、家族、同僚などから、使用者による障害者虐待に該当するおそれがある旨の情報提供や相談があったもの。
その他労働局などの発見
上記以外の場合で、労働基準監督署による臨検監督や公共職業安定所による事業所訪問などにおいて、使用者による障害者虐待に該当するおそれのある事例を把握したもの。
|虐待の定義
|通報・届出のあった事業所数(把握の端緒別)
(1)事業者数
通報・届出のあった事業所数は、1,512事業所であり、前年度と比べ22.9%増加している。下図のとおり、近年では最多の状況にある。
また、把握の端緒については、積み上げ棒グラフのとおりである。
(2)障害者数
通報・届出の対象となった障害者数は、1,854人であり、前年度と比べ29.4%増加し、近年では最多である。
(3)虐待種別・障害種別障害者数(通報・届出の対象となった障害者)
下表は、通報・届出の対象となった虐待種別・障害種別の障害者数を計上したものである。
|虐待が認められた事業所数・障害者数
(1)事業所数
虐待が認められた事業所数は、447事業所であり、前年度と比べ4.0%増加している。
把握の端緒別については積み上げ棒グラフのとおりである。
(2)障害者数
虐待が認められた障害者数は、761人であり、前年度と比べ16.0%増加している。
(3)認められた虐待の種別
認められた虐待の種別では、経済的虐待が659人(80.6%)で最多。
(4)障害者虐待を行った使用者の内訳
障害者虐待を行った使用者の内訳は下図のとおりであり、事業主が82.3%で最多であり、ついで上司(11.8%)となっている。
(5)虐待に対して労働局が講じた措置
虐待に対して労働局が講じた措置としては、労働基準関係法令に基づく指導等が743件 (85.7%)であり、その他は下図のとおりである。
(6)虐待が認められた事業所の業種
虐待が認められた事業所の業種別については下図のとおりであるが、医療、福祉関係が119事業所(26.6%)で最多、次いで製造業93件(20.8%、卸売業・小売業47件(10.5%)である。
|おわりに
以上報告書の概要を記載しました。
詳細は厚生労働省のホームページで確認してください。事例なども紹介されています。
いずれにしても昨年度は増加していることから、関係機関等の積極的な取組を期待したいですね。