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「示談」は?

今回は示談について書くことにします。
示談はいろんな場面で必要になることがありますね?
でも気をつけにといけないこともあるんですね。


|示談とは

法律的には民法上の和解契約に該当する行為といわれています。そのためいったん示談が成立すると、相応の理由がない限りは覆すことが難しくなります。
例えば、トラブルがあったとき、そのトラブルの解決について、お互いに話し合い双方合意のうえで「こういう解決をしましょう」という約束をして、トラブルを終わらせるのが示談です。
裁判外で相手方と問題解決のために協議をすることができ、その行為を「示談交渉」といいます。

|示談の効果

示談は、トラブルを早期かつ円満に解決できる点でメリットがあるといわれていますが、その一方で、いったん示談してしますと、原則として訴訟によって裁判所の判断を受ける機会を失うので、示談の条件が適切かどうかは事前に十分検討しなければなりません。

|示談の交渉の最終形は示談金

通常は、交通事故や近隣迷惑などのトラブルは最終的な示談交渉により、示談金が確定します。
つまりトラブルに対する迷惑料であったり、治療費や損害の復旧に要する費用等が、双方合意の上で示談金というかたちで決まります。

この場合、実際の損害額を基準として決めるのことを原則としています。
ただし、早期に示談を成立させることを重視して、被害者側が実際の損害額よりも低い金額で妥協するケースもよくあるのです。

示談を行う際には、まず示談交渉というかたちで当事者間で条件を話し合います。意ができたら示談書を締結し、その内容に従って示談金を精算します。

示談書には示談金額のほか、加害者側の被害者側に対する謝罪や、紛争の蒸し返しを防止するための清算条項などを定めるのが一般的です。

示談に応じるかどうかは、客観的な損害額を踏まえつつ、相手方の提示額が合理的かどうかを判断して決めます。

|示談は民法上の「和解」

示談は、法律トラブルの当事者同士で話し合い、金銭の精算などの解決内容を合意する手続きです。

民法では、「和解」について以下の条文が定められており、当事者が互いに譲歩をして争いをやめることを約束するものであるため、まさに民法上の和解に該当します。

民法
(和解)
第695条 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。

|示談が行われるケース

示談が行われるケースとしては、以下の例が挙げられます。

➤  交通事故
交通事故の損害賠償は、事故の状況により加害者及び被害者の過失程度により責任度合いが決まってきます(過失相殺)。
加害者の被害者に対する損害賠償について、示談により解決することがあります。

交通事故の場合は、まずは強制保険から支出され、その不足分について、加害者が任意保険に加入している場合には、任意保険会社と被害者の間で示談交渉が進められ示談金が決定します。

➤ 刑事事件
被疑者・被告人(加害者)による被害弁償として、被害者との間で示談を行うことがあります。
示談が成立して被害弁償が行われると、刑事事件の起訴・不起訴や量刑の判断において、有利な事情として考慮されるため、被疑者・被告人側から積極的に示談が提案される傾向にあります。

➤  契約違反(債務不履行)
契約に関して、いずれかの当事者が債務不履行を起こした場合に、相手方が被った損害の賠償や契約の解除、損害などについて示談交渉し補償・弁済金額などを決めることがあります。

➤  近隣トラブル
越境・騒音・悪臭・物品の損壊などの近隣トラブルについて、住民同士の間で示談が行われることがあります。

上記のように様々なトラブルの解決手段の一つとして示談交渉⇒示談という形がとられます。

|示談のメリット・デメリット

示談のメリットは、トラブルを早期かつ円満に解決できる点です。
その一方で、訴訟によって裁判所の判断を受ける機会を失うことになるので、示談の条件が適切かどうかを事前に十分に検討することが大事なのです。

➤ 示談のメリット
示談の成立により紛争が終了することになります。
示談が成立した場合には、その内容が「示談書」というかたちで双方の当事者が文書を作成します。

示談書には清算条項(=紛争をやめることを約束する条項)が定められ、その条件を履行することをもってトラブルが解消したことになるので、その後に訴訟などへ発展することもありません。
当事者にとっては、示談によって早期に紛争を解決できることは、精神的な面を含め大きなメリットになるのです。

また、示談は当事者の合意によって成立するため、紛争解決の結果が許容範囲内に収まる点もメリットといえます。

➤ 示談のデメリット
示談書を締結すると、その紛争について訴訟を提起することはできなくなります。
すなわち、裁判所による客観的な判断を受ける機会を失うということです。

相手方が提示する不相当な示談条件を受け入れてしまうと、客観的に相当な解決内容よりも不利益な結果を受けることになってしまいます。
作成した示談書は、錯誤・詐欺・強迫があった場合などを除いて、取り消すことは認められません。

トラブルについて示談をする際には、示談の内容が適切であるかどうかを、あらかじめ慎重に検討しましょう。

|示談金額の決め方

示談金額は、実際の損害額を基準として決めるのが原則です。
ただし、早期に示談を成立させることを重視して、被害者側が実際の損害額よりも低い金額で妥協するケースもよくあります。

➤ 実際の損害額を基準とするのが原則
示談金額は原則として、被害者が実際に受けた損害額を基準に決めるのが適切と考えられるものの、現実には被害者としては、被害者の実損害額に近い水準で落ち着くケースが多いです。

被害者側にも何らかの過失がある場合は、過失相殺(民法418条・722条2項)の考え方を反映して示談金額を調整することになるから示談金が実損害減額よりも低くなることが多いです。

例えば、過失相殺の場合の損害賠償を例に示すと、

被害者の実損害額:1000万円
過失割合:被害者2割・加害者8割(2:8)

上記の場合は、実損害額の8割に当たる800万円を基準に示談金額を定めます。

|早期妥結のために割り引く

加害者側が責任の有無や損害額などについて争う場合は、実損害額を基準として示談金額を提示しても、加害者側がすんなり支払いに応じる可能性は低い。
この場合、早期に紛争を解決することを重視して、両者が協議することになるが、被害者側がやむなく加害者側に歩み寄って請求額を下げることがあります。

加害者側もある程度歩み寄った結果、双方が実損害額よりも低い金額で示談が成立するケースもよく見られます。
最終的な示談金額は、実損害額を基準としつつも、当事者の交渉によって適宜調整されることになるのです。

|示談の手順・流れ

トラブルについて示談を行う際の大まかな流れは、以下のとおりです。

① 示談交渉を行う
② 示談書(和解合意書)を締結する
③ 示談金の精算を行う

➤ 示談交渉を行う
まずは、トラブルの当事者同士で示談交渉を行うことになる。
示談交渉の主眼は最終的な示談金額を決めることです。
もちろんが、それ以外の付随的な示談条件(謝罪や清算条項など)についても適宜交渉します。

各当事者はそれぞれの立場で、相手方に対して提示する示談金額を検討することになります。
客観的・法的な責任内容を基準に提示額を決めることになるのですが、実際には各当事者の思いによって、被害者側は高めの金額を、加害者側は低めの金額を提示するケースが大半です。

示談交渉をまとめるためには、当事者双方それぞれが歩み寄ることが必要不可欠となります。
示談交渉に当たっては、自らの主張の合理性を主張しつつも、相手方の主張にも耳を傾けて、示談金等について多少なりとも譲歩することを検討し、示談に持ち込みます。

|示談書(和解合意書)を締結する

示談金額を含む条件の交渉がまとまったら、その内容をまとめた示談書(和解合意書)をいう形で締結した内容のを見えるかを図ります。
示談書は当事者の数と同数の原本を作成し、各当事者が保管しましょう。

|示談金の精算
示談書の締結が完了したら、その内容にしたがって示談金の精算を行うことになり、これが完了すると通常はこれで全てが完了したことになります。

示談書に支払期限が定められているときは、その期限までに精算を行わなければなりません。
支払期限の定めがなければ、債権者が債務者に対して催告(請求書の送付など)を行い、相当の期間内に精算します。

示談金の支払いが遅れた場合は、遅れた期間に応じた遅延損害金が発生する(民法419条)ことになります。

また先に示談が成立した場合には「判断を受ける機会を失う」と先に記載しましたが、もし相手方が示談書に基づく支払いに応じない場合には、トラブルによる損害賠償とは異なり、一旦和解した内容についての契約不履行という観点で、強制執行等を申し立てることができます。

|まとめ

以上記載しましたように、「示談」という法律上の和解によりトラブルが解消したことになるわけですが、示談する際のには、それぞれの立場や損害の内容などついてしっかりと把握し交渉していくことが大切です。

とはいえ、トラブルをできるだけ少なくするような社会生活を送ることも重要ですね。





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