自動車運送事業者への行政処分が強化_10/1~
トラック運転者等の飲酒事故が絶えない状況を踏まえ自動車運送事業者に対する行政処分が前倒しで強化されることになった。
|概要
国土交通省は2024年10月1日から自動車運送事業者に対する行政処分の基準を改正し、トラック、バス、タクシーなどの酒酔い・酒気帯び運転の行政処分基準を強化するほか、トラックについては、勤務時間等告示の遵守違反・点呼の未実施の場合の処分量定を引き上げる
|自動車運送事業者の行政処分
国土交通省では、自動車運送事業者の適正化を図るため、自動車運送事業者の法令違反に対する点数制度を導入しており、たとえば旅客自動車運送事業の場合、バスやタクシーの事業者が道路運送法等の法令違反を犯した場合、法令の規定により自動車の使用停止を命じることになる。
その使用停止の日数10日車までごとに1点とし、処分日前3年間の累積違反点数が50点を超えることとなるときは、当該違反行為を行った営業所の事業停止処分を、80点を超えることとなるとき又はその他の悪質な法令違反があったときは、事業許可の取消処分を行っている(参照:国交省のポータルサイト「自動車総合安全情報」)。
|行政処分の計算方法
その処分日車数(停止日数×停止車両数)10日車までごとに1点とし、原則として累積期間3年間で計算される。
累積違反点数が20点超となった場合は公表の対象にもなる。
➤ 事業の停止処分となる場合
○ 1回の行政処分で270日車以上を受けた営業所(ただし、運輸局内の累積違反点数が30点超の場合は180日車以上)
○ 運輸局内の累積違反点数が50点超となった場合、その運輸局内の全営業所が対象
➤ 事業の許可取消処分となる場合
○ (地域に関係なく)2年間に事業停止処分を4回受分けた場合
○ 運輸局内の累積違反点数が80点超となった場合
|行政処分を厳罰化の前倒し
国交省は2024年9月19日付けで、バス、タクシー貨物などの運送事業者に対する行政処分等の基準の改定を行うことを通知した。
当初、処分基準の改正は2025年1月施行の予定でパブリックコメントを実施したところ、早期施行の要望等が多かったことなどから、施行日を前倒しして2024年10月1日から基準の運用を行うこととしたものである。
|罰則の強化の内容
➤ 酒酔い・酒気帯び運転の行政処分(トラック、バス、タクシー)
飲酒運転による交通事故や違反が後を絶たないことから、トラック、バス、タクシーが対象となる酒酔い・酒気帯び運転の行政処分基準は、新たに「指導監督義務違反」についての量定が定められた。
新基準では、酒酔い・酒気帯び運行が行われた場合、飲酒が身体に与える影響、飲酒運転、酒気帯び運転の禁止に関わる指導が未実施の場合は、初違反で100日車、再違反で200日車の処分が課されることになった。
また、酒酔い・酒気帯び運行が行われた場合で、運行前の点呼を実施していなかった場合の「点呼の実施違反」の量定も新たに設定され、初違反で100日車、再違反で200日車の処分となった。
このように飲酒運転に関わる運行管理等の徹底とその責任の厳罰化を図るような内容となっている。
➤ 勤務時間等告示の遵守違反(トラック)
貨物自動車運送事業については「勤務時間等告示の順守違反」の量定が引き上げられた。
従来の未順守計16件での上限をやめ、未順守計6件以上の場合、初違反で未順守1件あたり2日車、再違反で未順守1件あたり4日車に引き上げられた。
➤ 点呼の未実施(トラック)
貨物自動車運送事業(トラック)の「点呼の未実施」でも、従来の未実施50件以上の上限をやめ、未順守20件以上の場合、初違反で未順守1件あたり1日車、再違反で未順守1件あたり2日車へと引き上げられた。
|おわりに
以上のように国土交通省が、トラック、バス等の自動車運送事業者に関わる行政処分を強化することにした。
このことで真に飲酒運転等が防止できれば良いのだが、点呼実施し出発した後や昼食時にビールを飲むなど飲酒をする運転者も少なくないので、運送事業者の平素の指導教育等だけで、飲酒運転が減少するかには若干疑問もある。
つまり運転者の資質の問題や健康上の問題(アル中など)もあるので、運送事業者のみならず社会全体で安全対策を考え講じていくことが必要ではないでしょうか。
<参考>
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03punishment/data/transmittal_r114.pdf
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03punishment/data/transmittal_k107.pdf
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