SNSで晒し・・誹謗中傷される被害にあったら・・・・? ~その2
|どうしたらいいの?・・・相談先や具体的な対策はについて
SNSで晒し(さらし)や誹謗中傷の被害を受けたら・・・・?
ということで「その1」で誹謗中傷と相談先について書きました。
今回は「その2」として具体的な対応策等について書きますね。
💫 親告罪には「時効」がある!
No1で「できる速やかに警察に相談したほうがよい」と書いたがその理由のひとつに「時効」がある。
名誉毀損罪や侮辱罪などは「親告罪」
これは、被害を受けた人が捜査機関に告訴(犯罪を申告し処罰を求める手続き)をする必要があるのだ。
申告罪は「犯罪があることを知った日から6ヶ月以内」に告訴しないと
犯罪の捜査や処罰ができない。
つまり名誉を傷つけられた、または侮辱されていることを知った日から6ヶ月以内に警察等に申告(届出)することが必要なのだ。
💫 公訴時効
また、もう一つ、犯罪には「公訴時効(こうそじこう)」というのがあるのだ。
これは、犯罪行為が終了した時から一定期間(名誉毀損罪、侮辱罪は3年)を経過すると、捜査機関が捜査しても、検察官が起訴し刑事裁判で処罰を求めることができないという制度(刑事訴訟法第250条)だ。
これらのことから名誉毀損罪や侮辱罪に該当しそうな誹謗中傷事案があった場合には、速やかに警察等捜査機関に相談し、捜査を進めてもらうことが必要なのだ。
|具体的な対応策
具体的には次のような対応をとることになる。
①刑事告発(告訴)
・相手方が判明している場合には、記事削除や謝罪を求める。
・相手方不明の場合にはプロバイダー等に対する記事削除ための手続きをとる。
②民事裁判(差し止め請求や損害賠償請求)を起こす。
などがある。
①刑事告発(告訴)
時効に注意しながら警察や検察に相談し、刑事事件として被害届を出す。
加害者(情報発信者・書き込みをした人)がわからなくても被害届は出せるのだ。
②あげられた記事の削除
ネット空間において一旦掲載されたものは無限に拡散することになるので、広がったものの全てを削除するのは困難である。
時間とともに記事の内容はどんどん拡散し多くの人の目に触れることになるので、できるだけ速やかに必要な手続きをとり削除依頼を行うべきである。
☆SNSの誹謗中傷投稿の削除はかなり厳しい
一旦 SNS にあげられた記事などの削除についてはスムースにはいかない。
また削除依頼への対応は SMS 接続事業者(プロバイダーなど)によって変わる傾向にある。
掲載した相手方に削除してもらうのが一番早いのだが…。
相手方が不明である、もしくは削除要求に応じてくれない場合などには、SNS の接続事業者等に削除を申請することになる。
削除申請を受けたプロバイダー側の削除の判断は、警察への届出等の状況や書き込みの内容等を検討した上でというのが一般的。
過去の例だとプロバイダーが削除に応じない、海外のサーバー経由しており情報の流れが複雑で投稿者まで遡れないということがあった。
また、発信者情報の開示を求めるための法律的な手続きは専門性を有するので、個人ではなかなか難しい。
弁護士等を依頼し必要な措置を講じることになるので、相応の経費が発生する。最終的にその経費は誹謗中傷等の記事を書いた相手方に損害賠償請求することになるが、回収が困難な例も多い。
③損害賠償請求を行う(民事裁判を含む)
誹謗中傷や晒し、肖像権の侵害などにより、人格権を害されたり名誉を傷つけられた場合には、民法第719条の規定に基づき損害を賠償してもらうことができる。
具体的には、名誉毀損等で受けた損害、記事削除に要した経費、裁判費用などが請求できる。
しかし記事を掲載した相手方が、請求に応じ、いわゆる「示談」で解消できればよいが、これに応じない場合は損害賠償請求のための民事裁判を行うことが必要になる。
☆ 当事者間の示談交渉はやっぱり厳しい
SSNS投稿による誹謗中傷の対象(被害者)になることもあれば、自分が意図せずに人の名誉を傷つけたり、肖像権等を侵害し、いわゆる加害者になる可能性もあるが・・・。どちらのケースでも、相手方と直接交渉し、解決することはかなり難しい。
○損害賠償請求にも時効がある
ところで、損害賠償請求を行う場合にも「時効がある」。
民法では、権利を行使しないまま一定期間を経ると以後その権利を行使できなくなってしまうのだ。そのことを「消滅時効」という。
一般的な不法行為による損害賠償請求の消滅時効は、
損害及び加害者を知ったときから3年間
なので、時効までに損害賠償請求を行う必要があるのだ。
この場合の請求行為は裁判手続きだけではなく、直接相手方に請求するという行為でもよい・・が、後日の紛議を防止するためにも文書を交わしておくことが望ましい。
いったん請求したものの支払われないまま一定期間を経過(放置)すると再び時効が成立し、請求しても支払いを受けることができないことがあるので注意が必要。
|改正プロバイダー責任制限法のポイント
インターネット上の誹謗中傷等を内容とする投稿、人権侵害等が問題となり、被害者救済を図るために、発信者情報(投稿者情報)の開示を迅速に行うことができるよう「プロバイダー責任制限法(正式名称:特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が改正された。
※2021年に改正、2022年10月1日施行。
被害者が損害賠償請求などを行うためには、投稿した人物を特定する必要があり、従来は2度の裁判手続を経ていたが、今回の改正により1回の裁判手続(非訟手続)で、
「発信者情報開示命令」「提供命令」「消去禁止命令」の請求
ができるようになった。
また、開示請求の範囲の見直しも行われ、ログイン時のIPアドレスについても開示請求が可能となり発信者を特定しやすくなった。
|おわりに
迷惑な記事や中傷記事をあげられたことに気がついたら、「時効」に配意し速やかに対応することが必要。
未成年者の場合には単独で損害賠償請求などの手続きがとれないことが多いので、まずは被害の実態をご両親など保護者の方と話し合って、警察などへ相談することがよい。
SNSは楽しく、正しくモラルをもって利用しましょうね