相続放棄と生命保険
先日、身近な人が亡くなった。相続などの手続きがあり戸籍抄本などの書類の準備などをしたがやはり当家はいろいろ大変だ。
その上相続放棄しようとすると・・、一層疑義のあることばかりだ。
今回はそのなかでも「生命保険」に特化してよみときます
|相続放棄のリスク
相続放棄の手続きについては、以前にもその概要を書いたことがあるので参考にしていただければ幸いである。
時間と金、そして相続を放棄してもすぐに売却のできる不動産を所有している人は良いが、農地,しかも水田、そして20tも30tもあるような大きな庭石がいくつもあるような坪庭などがあると・・・、相続放棄財産管理人が管理できれば良いが、万が一処分できないと、その後の土地,建物を更地にして国庫帰属を期待するか、一旦相続しての善意無過失での不動産管理を行っていくことになる。
特に相続放棄する場合には、生命保険なども容易く受け取ってしまうと相続財産とみなされることがあるし、その後に相続を放棄をしようとしてもできないことがあるなど、当事者にとっては不安とリスクが高まるのだ。
|相続放棄
相続放棄は、負の財産(借金や連帯保証などのマイナス的要素のある財産)はもちろんだが、プラスの財産をも含めて一切の相続財産の相続を放棄・拒否することである。
|生命保険は要注意
生命保険や傷害保険に加入している人もいるだろう。
相続放棄しようとする場合に生命保険金は受け取れるのかという問題があるのだ。
結論は、生命保険(死亡保険金)は、契約の仕方によっては、相続放棄をしても受け取れることができるのだ。
その際には、生命保険金が相続すべき財産(相続財産)ではなく、受取人固有の財産であるとみなされることが必要なのだ。
|相続財産に含まれない場合とは
生命保険金が相続財産に含まれないというためには、生命保険の契約内容(約款)を見直してみる必要がある。
生命保険の契約は、「保険契約者、被保険者、受取人」の三人が必要であり、その三者は同一人でもよく、また三者が別々の人でもよいのだ。
例えば、この生命保険証券(契約書)をみて、契約者、被保険者欄が被相続人(死者)であった場合に、受取人欄に載されている人が法定相続人であった場合に、相続放棄しても生命保険金は受け取れることになるのだ。
つまり
〇 受取人欄に受取人として相続放棄する人の氏名が記載されている場合には、受取人として指定されているので、相続財産ではなく固有の財産であるとみなされ保険金を受け取れる。
〇 一方、受取人欄に「被相続人(死者)」の氏名が記載してある場合には、他の遺産同様相続財産なるので、相続放棄する人は受け取れない。
〇 受取人欄に、特定の者の名前の記載がなく「,空欄」の場合には、生命保険保険証券などに記載の「約款」を確認してみることが必要であり、一般的な約款では、「法定相続人が受取人」になることが多いく、その場合には保険金を受け取ることができる(各相続人が均等に保険金を受け取ることになる)。
ということである。
|保険契約上誰が受取人になっているかがポイント
上記のように生命保険金の受取人に「誰が」指定されているかという点が重要なポイントなのだ。
したがって、相続放棄した者が生命保険金を受け取ることができるかどうかは、契約上誰が保険金を受け取ることになっているかによって判断されるということになる。
契約上の保険金受取人が誰なのかを保険証券で確認してみよう。
|被相続人が自ら保険金を受け取る契約の場合
亡くなった被相続人が、自ら保険金受取人となる契約になっている場合の死亡保険金は相続財産(遺産)になるため、他の遺産と同様に法定相続人等によって原則として均等に分け合うことになるので、相続放棄した人も保険金の一部(他に法定相続人がいなければ全額)を受け取ることができることになる。
|おわりに
生命保険の相続に関してはまだまだ書きたいことはあるが、分量の関係もあり今回はここまでにします。
生命保険金を受け取る際には、指定された受取人が受け取った生命保険金は「みなし相続財産」として、相続放棄をした場合であっても相続税の対象となり得るのでそのあたりについては次回に記載します。
実際に相続放棄する、放棄しようとする場合には上記参考にして、専門家に相談することをお勧めします。