最近発生している特殊詐欺事件
相変わらず特殊詐欺事件が発生しているようだ。今年になって新たな手口の被害が報道されている。ちょっと新たらしい手口が出てきているので気をつけて欲しい。
|「監督庁」かたる電話
「犯罪で裁判になる」と告げられた女性、1億8670万円を手渡してしまった。
➤ 岐阜県で発生した事件
県警の発表によると
2024年1月頃、女性(80歳代)宅の固定電話に「監督庁」の職員を名乗る男から「会社の情報を教えませんでしたか。これは犯罪で裁判になる。
刑事裁判でなく民事裁判を進めるにはお金が必要」などと言われた。
その後、11月下旬までに男や被害会社の役員を名乗る男に「和解金がいる。弁護士費用を渡さないといけない」などと言われ、監督庁の職員の部下を名乗る男に複数回にわたって、現金約1億8670万円を手渡し、だまし取られた。
|警官をかたる電話
警察官をかたる電話で「身の潔白を証明してほしい」そのために金塊の購入を指示し、購入した金塊を玄関付近に置かせる手口が相次いでいるという。
➤ 岩手県で発生した事件
県警の発表によると
警察官などになりすました人物から
「事件で口座が悪用されている。共犯として逮捕される可能性があり、身の潔白を証明してほしい」
などと電話があり、金塊の購入を指示された。
購入後には、金塊を紙袋などに入れて自宅玄関付近に置くよう指示され、そのまま持って行かれるという。
新たな手口とみられ、「金塊の購入を指示する電話は詐欺」と県警が注意を呼びかけている。
|県警の電話番号と一致する番号を使う
県警をかたる電話で「キャッシュカードを他人に渡した疑いがある」といわれ金員を要求された際に、犯人がかけた電話番号が県警の電話と一致していたので信用してしまった事案
➤ 岡山県警を名乗る事件
2024年7月、東京都内の女性(30歳代)のスマートフォンに電話をかけてきた男は、「あなたにはキャッシュカードを他人に渡した疑いがかけられている」と切り出し、「容疑を晴らすには保釈保証金を支払う必要がある」と金員を要求された。
女性はそう聞いて詐欺を疑ったのだが「電話番号が実在するか確かめて」と言われ、検索したところ犯人がかけてきた電話番号の末尾が「0110」で岡山県警本部の番号と一致したため、本物の警察官と信じてしまった。
その結果、女性は男の指示に従い、3回にわたって計約1900万円を振り込んだ。
その後、男から「スマホの初期化」を指示されておかしいと思い、警視庁に相談したという。
男の電話番号は、米国からの発信を示す「+1」から始まっていた。
|ウィルス感染表示後に「ネットバンキング情報の流出した」
PC画面の「ウィルス感染」表示に従い電話をしたら、「ネットバンキング情報が流出したので預金を指定の別口座に移して」という。これにしたがって250万円を振り込んだ。
➤ ウィルス感染(トロイの木馬)名下の事件
1月4日大阪府に住む50代の女性が宿毛市に帰省中、実家のノートパソコンでインターネットを利用していたところ画面上に「開く」というタブが表示された。
クリックすると「トロイの木馬に感染しました」という文字と「+1」から始まる電話番号が表示され、警告音が鳴り始めた。女性が電話をかけると、片言の日本語を話す外国人の男が出て、遠隔操作で警告音を止めた。
その後、別の外国人の男が電話に出て「ネットバンキングの情報が流出している可能性がある」などと言われ、預金を一時的に指定の口座に移動するよう指示された。
女性は指示に従いネットバンキングで250万円を振り込んだ。振り込んだ後、電話で男に「詐欺ですよ警察へ行ってください」とあざ笑うように言われ、最寄りの署へ相談し、事件が発覚した。
|電話番号を改ざん手法「スプーフィング」に注意
事例にあったような警察署と同じような電話番号を表示する手法を「スプーフィング」という。
これは、日本語に直すと「なりすまし」を意味する。
このように実際とは異なる発信番号を表示させる手法を用いた特殊詐欺は2000年代前半、静岡県、岡山県、大阪府などで確認されていたという。
詐欺グループは、発信者が着信画面に番号を表示させる信号情報を改ざんしていたことから、2005年「電気通信事業者協会」が発信側の信号情報に不審点がある場合、着信画面に「非通知」と表示させるなどの対策をすすめた。
その結果、被害は一時収束したが、2023年ころから同様の詐欺事案が発生しているという。
〇 2023年5月には佐賀県の女性(70歳代)が、北海道の警察署の番号からの電話で200万円を要求される事件が発生。
〇 2024年3月には福岡県の男性(20歳代)が高知県警本部の番号から電話を受け、逮捕を免れる「保釈保証金」の名目で約800万円をだまし取られる事件
があったという。
|その他注意すべき手口
警察庁では、新たな手口として以下注意喚起している。
〇 「定額減税制度」に関連した不審電話及びショートメッセージ等に注意!
所得税の定額減税が実施されているが、この制度に関連して、国税庁・税務署等をかたった定額減税に関する不審な電話やショートメッセージなどにより、銀行の口座情報を聞き出そうとする事例や、還付手続の名目でATMを操作させるなどして振込みを行わせる手口による被害が発生
〇 戸籍の振り仮名制度を悪用した詐欺に注意!
戸籍法の改正で戸籍に振り仮名を付けることになり、通知された振り仮名が誤っている場合には、正しい振り仮名を令和8年5月25日までに届出する必要がある。
今後、新設された戸籍の振り仮名制度を悪用し、法務省や市区町村の職員を騙った者等による詐欺の発生が懸念される。
〇 国際電話番号による特殊詐欺が急増中!
前記の事例にもあったように、特殊詐欺において国際電話番号の犯行利用が急増している。
なお、国際電話に関しては、国際電話会社において、海外との発着信を停止するサービスを提供している。その受付窓口である「国際電話不取扱受付センター」に対して電話利用契約の利用休止の申込みを行えば、無償で固定電話・ひかり電話を対象に国際電話番号からの発着信を休止することができる対策を行っている。
〇 「後期高齢者医療制度改正」に関する詐欺に注意
後期高齢者で窓口負担割合見直しの対象となる方で、高額療養費の口座が登録されていない方には、自治体等から高額療養費の口座登録のため申請書が郵送(登録済みの方を除く)されている。
この制度に関して、厚労省や自治体職員を名乗り、訪問や電話で口座情報の登録やキャッシュカード・通帳などを預かる、ATMを操作させるなどの詐欺事案が発生している。
不審な電話等を受けた際は、最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」等への相談を呼びかけている。
|おわりに
最近報道されている特殊詐欺事件の一部を示したが、いろいろな手法を用いて騙すので要注意。
「スプーフィング」という手法で、警察署などの電話番号を通話相手の端末に表示させ、警察官からの電話と信じ込ませて現金を要求する詐欺電話が各地で起きている。
留守番電話にしておいて直接電話に出ない。
もし電話に出ても、お金に関する電話は、まず「詐欺」と思うことだ。
定額減税や給付金をかたった不審な電話、ショートメッセージやメールにご注意ください!