
スーパーなどの電子マネーは便利だけど・・・?
スーパーなどの電子マネー、いわゆるプリペイドカード式のものがある。
若干割引購入ができること、ポイントが付くことなどで、けっこう人気があるようだ。
確かにメリットもあるが・・、チャージしておかないとすぐに使い切ってしまったり、不足して決済時にあわてることがある。
そのようなことから、私は、スーパーのプリペイドカード式の電子マネーは使用していない。
しかし交通系のプリペイドカード式のものは使用する。こちらは電車の乗り換え時などには利便性が良いからだ。
さて、先日プリペイドカードを発行しているスーパーが閉店してしまいご近所さんが不平を漏らしていた。
同じスーパーの別の店舗では使用することができるのだが、若干遠方なので行かないという。
こんな時どうしたらよいのか調べてみたのだが・・・・。
|電子マネーとは
電子マネーとは、現金の代わりに使える電子データ化されたお金のことをいい、事業者により工夫を凝らしたさまざまな名称を付けて発行されている。
電子マネーには支払方法が「プリペイド型(前払い)」「ポストペイ型(後払い)」「デビット型(即時払)」の3種類ある。
〇 プリペイド型(前払い)は、事前にチャージした金額を利用するため、使い過ぎを防止することができる。
交通系ICカードなどが主にこのタイプに該当する。
〇 ポストペイ型(後払い)は、クレジットカードと同様に商品やサービスを利用した後に、まとめて支払う方法。
〇 デビット型(即時払い)は、利用した金額が即座に口座から引き落とされるため、利用者の支払い能力に応じて無理なく利用できる。
|法的な位置づけ
法的には「前払式支払手段」といわれるもので、資金決済に関する法律(略して「資金決済法」ともいわれている。平成21年6月24日法律第59号)第3条1項が根拠となる。
この規定の条文が長く、わかりにくいので、引用表示はしないが、興味のある方は確認してみると良い。
この条文は要約すると「商品券やプリペイドカードなどの金券(電磁化された電子マネーを含む)による前払式支払手段で、カードにチャージしてある金額まではお金の代わりに使用できる。前払によって支払いをすませているという決済手段。
したがって、利用者は、プリペイドカードを介して電子的なデータのやり取りを行い、現金(貨幣や紙幣)と同じように、モノを買ったりサービスを受けたりすることができるのだ。
|電子マネーを発行していた店(発行者) が閉店したら
電子マネーを発行していた店が閉店(倒産など)した場合には、電子マネーの残高はどうなるのかというと・・・。
結構シビアだ。
資金決済法では、電子マネーの発行者は基準日における未使用残高(基準日は毎年3月31日及び9月30日におけるもの。)が1000万円を超える場合には、その2分の1以上の金額を供託しなければならないことになっている(発行保証金の供託、同法14条1項)。
これは、発行者が前払式支払手段の発行を続けられなくなった場合も払い戻しが可能となるように定められた、消費者保護のための規制なのある。
もともと、前払式支払手段の払い戻しは、発行業務を廃止した場合の払い戻しを保証する制度であり、発行業務を廃止した場合以外は払い戻しが認められないのだ。
|発行保証金の供託対象外
上記のように発行事業者の電子マネーの未使用残高が1000万円を超えていれば、少なくともその2 分の1は発行保証金によって払い戻しが保証されることになるのだが・・・。
もし、未使用残高が1000万円以下の場合、発行保証金を供託する義務がないのだ。
そのため、消費者がチャージした分の残金は、その消費者が発行者に預けた金、別な言い方をすると「前払い金として預けた」金、もしくは「貸した」金ということになり、発行事業者(店)に対して返済を請求することになるのだ。
また、先の発行保証金の対象となっている場合でも法律上は2分の1は保証金の供託分から返還でき得るのだが、不足分については、発行店に対して返済を請求をしなければならない。
ちょっと面倒なことになるし、残金額がどのくらいあるのかによっても返還請求のメリットがあるのかという問題もあるので、泣き寝入りしてしまうことも多いようだ。
|電子マネーとクレジットカードの違いとは?
電子マネーとクレジットカードにはいくつか異なる点がある。
電子マネーには、スマホアプリやカードにチャージしたお金を使用する「プリペイド型」や、使用した金額を後払いする「ポストペイ型」といわれるものなどがあることは最初に記載した。
クレジットカードは、後払いシステムで、一旦クレジットカード会社が代行して支払いを済ませ、ユーザーは後日にまとめて支払うので、電子マネーでいう「ポストペイ型」のようなものになる。
また、電子マネーを利用する際には審査の必要はないが、クレジットカードを利用する場合は審査を受ける必要があり、一定の要件を満たさないと審査が通らないのだ。
つまり、電子マネーは会員登録や身分確認を済ませるだけで誰でもすぐに利用できる。
|貯まったポイントは
店を利用したことで貯まるポイントなのだがその性格はというと・・・。
どうやら二種類あるようだ。
このポイントは、プリペイドカードと一体となって管理されて、電子マネーと同様に前払式支払手段としてあつかわれる場合と、電子マネーとは別に管理されてポイントは買い物に対して店が客に与える景品の一種という考え方もあるのだ。
つまり、ポイントが景品という位置づけになると、景品競争で事業者間の競争が不公正にならないように、景品表示法により一定の制約がなされることになる。
ポイントの位置づけや価値については、その店の発行規約を確認する必要があるのだ。
すなわち、前払式支払手段として加算されるのか、景品としてのポイントなのか、また景品の場合には請求権などの消費者保護手段を決めているかを確認しておくと良いかも。
|おわりに
スーパーなどのプリペイドカード方式の前払式支払手段の場合には、倒産などで事業主・発行者が発行をやめてしまうと、弁済されない場合もあるということだ。
倒産や閉店などはあまりないとは思うが、他の店舗まで行くことが困難な場合には、残念ながら放棄ということも考える必要があるのかもしれない。
いずれにしても規約等を確認しておくことが大事である。