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褒章について

褒章の受章者が公表されました。ところで褒章ってなにか知ってますか?
ちょっとだけ解説しますね。過去にその事務を担当していたことがあるので・・。


|褒章

褒章は、天皇が授与する栄典のひとつ。栄典には他に叙勲などもある。

|根拠法令

その根拠となるのは、明治14年12月に制定された「褒章条例」(太政官布告)である。なんとも古い条例(太政官布告)なるものがその根拠となり息づいているのだ。

|褒章条例の改正

近年では平成14年に一部改正になっている。
改正内容は
 「自ラ進デ社会ニ奉仕スル活動ニ従事シ徳行顕著ナル者ニ賜フモノトス」
ということで、簡単に言うと
 社会福祉分野やボランティア活動などで顕著な実績のある個人等
に授与することとされた(平成14年8月12日政令第278号)。
いわゆる「ボランティア褒章」という位置づけになったのだ。
なお、改正前は
 孝子順孫節婦義僕ノ類ニシテ德行卓絶ナル者衆民ノ模範タルヘキ者
となっており、いわゆる親への忠義などがその対象であり、旧家長制時代の名残ある規定であり憲法14条に違反する疑いや実質的には半世紀にわたり対象がなかったこなどから改正されたものである。

|春秋褒章の種類

褒章は、明治14年12月の「褒章条例」公布当時は、紅綬褒章、緑綬褒章、藍綬褒章が制定されたのが始まり。
以降大正7年に紺綬褒章、昭和30年に黄綬褒章、紫綬褒章が制定され、現在に至っている。
すなわち「紅綬褒章、緑綬褒章、黄綬褒章、紫綬褒章、藍綬褒章」の5種類がある。

その対象となるのは
①紅綬褒章:自己の危難を顧みず人命の救助に尽力した方を対象とする
②緑綬褒章:ボランティア活動に従事し顕著な実績を挙げた方を対象とする
③黄綬褒章:農業、商業、工業等の業務に精励し他の模範となるような技術や事績を有する方を対象とする
④紫綬褒章:科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方を対象とする
⑤藍綬褒章:会社経営、各種団体での活動等を通じて、産業の振興、社会福祉の増進等に優れた業績を挙げた方又は国や地方公共団体から依頼されて行われる公共の事務(保護司、民生・児童委員、調停委員等の事務)に尽力した方を対象とする
である。

資料:内閣府サイト参照

|褒章授与の時期
春は4月29日に、秋は11月3日に、春秋叙勲と同日付けで授与されることになる。

|紺綬褒章

春秋褒章以外の褒章として「紺綬褒章」がある。
これは公益のために私財(個人は500万円以上、団体は1,000万円以上)を寄附した者を対象とする褒章で、事績の生じた都度、各府省等の推薦に基づきを審査し授与する。

国、地方公共団体又は公益団体(公益を目的とし、法人格を有し、公益の増進に著しく寄与する事業を行う団体であって、当該団体に関係の深い府省等の申請に基づき賞勲局が認定した団体)に対する寄附が授与の対象となる。

※地方公共団体等への寄附について、寄附者が当該寄附に対する返礼品(記念品の類を除く)を受領した場合は、紺綬褒章の対象とならない。

紺綬褒章「公益団体」として認定する団体一覧(最新)(PDF形式:387KB)➡https://www8.cao.go.jp/shokun/kouekidantai.pdf

|遺族追賞

褒章条例により表彰されるべき者が死亡した場合には、その遺族に杯又は褒状を授与することにより追賞している。

|褒章の審査等

褒章授与のための審査は、各府省庁からの申請に基づき内閣府賞勲局において審査を行い、閣議決定を経て授章となる。

|天皇の国事行為

叙勲や褒章の授与は天皇の国事行為である。

憲法
第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一~六 略
七 栄典を授与すること。

第十四条 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

そのため褒章の章記には国璽「大日本国璽」が中央に押印してあることに気づくでしょう。
この中央の押印が国璽といわれるもの。

天皇は象徴であることから自ら押印することはなく、内閣総理大臣(内閣府職員)をして押印することになる。
これは内閣の助言に基づく行為であるからである。
章記では「日本国天皇は・・・・に・・・授与する」としか記載されていないが、叙勲の勲章の場合では「日本国天皇は・・・・皇居において璽を押させる」というようになっており、天皇の命により璽「大日本国璽」という印が押してあることになるが、褒章も天皇の命も同様であるとされていることがわかる。

|おわりに

褒章については概ね以上のとおりである。
授章者の皆さんおめでとうございます
いろいろな分野があるが、いずれにしても褒章を受ける人達はそれなりに立派な業績等を成し遂げたと思う。

若い人達で授章している人(オリンピック等)も結構いますが、今後とも誤りの無い道を進んで欲しいですね。
褒章受章者の人は顕彰されるにあたいる人であるので、自分の専門の分野だけではなくいわゆる人格についても顕彰されるにあたいする人であって欲しいです。
後ほど叙勲についても書きます。

参考資料;
内閣府賞勲局サイト: