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木下龍也「文字メンタリー -あなたにしみこむ31音-」

たまたま見ていたNHK、日曜夜。
「文字メンタリー -あなたにしみこむ31音-」初回放送日:2022年8月1日
https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024090120395?e-param=QWLQK7N2GG
この20分番組を見て、木下龍也さんに魅了されてしまった。


番組説明
歌人・木下龍也さんが行っている「あなたのための短歌1首」。依頼者からお題をもらって短歌を詠み、直筆の手紙で届ける。心を震わす31音は、いかにして生まれるのか?
木下龍也さんは、いま注目を集める新進気鋭の歌人。依頼者とのやりとりはメールだけ。直接、会うことはしない。つづられた文字から珠玉の31音をつむぎだし、さまざまな悩みを抱えた依頼者にとって、大切なお守りともいうべき短歌を届け続けている。人生に悩むあなたに贈る、新感覚短歌ドキュメンタリー。

https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024090120395?e-param=QWLQK7N2GG

その番組の最初に出てきたのが以下の歌。

依頼者:長い間、片想いしていた相手がいます。もう前に進もうと決めました。背中を押してくれる短歌をください。
「ふりむけば君しかいない夜のバスだから私はここで降りるね」
ものすごく、心を揺り動かされてしまった。

10年以上も前に、私も片手間に短歌を書いたことがある。書いたときはよくできた短歌じゃん、と悦に入っていたけれど、木下龍也を知ったあとにそれを改めて見直してみると、当然ながらその差に愕然とする。
もちろん、その道を究めた歌人とド素人を比較すること自体が大いなる間違いであり、僭越であり、傲慢である。
私が詠んだ短歌は、詠まれた背景を知らなくても、詠んでいる内容がわかる素直な短歌。見たままの情景をそのまま記しているだけの短歌になっていた。
心情を詠う場合には、悲しいとか、嬉しいとか、寂しいとか、をそのままストレートに言葉で表してしまっていた。
自分の短歌が薄っぺらで奥深さがないことよ!

早速、本屋に足を運び、木下龍也さんの歌集を探した。
たった一冊、やっと見つけたのが、「オールアラウンドユー」。
歌が詠まれた背景の説明がないため、感性が鈍い私には、何を詠っているのかわからない短歌もあるのだが…

皮肉、滑稽、政治への懸念、無生物を擬人化したその心情、死に対する畏怖と反抗。よく見る何気ない風景を、歌に詠むことによって生き生きとした情景に変えている。
この感性の鋭さには、敬服するしかない。

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鳴島立雄
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