鳴島立雄

定年も過ぎ長年勤めた会社を辞め、悠々自適なこの頃。歳を取ると、やたらと時間が過ぎていく、いわゆる、光陰矢の如し。 なので、なんとか時間を工面して、過去、現在、そしてこれからのことを徒然に書いていきたい。小説やイラスト、動画なんかの趣味も創造していけたらなお良い。

鳴島立雄

定年も過ぎ長年勤めた会社を辞め、悠々自適なこの頃。歳を取ると、やたらと時間が過ぎていく、いわゆる、光陰矢の如し。 なので、なんとか時間を工面して、過去、現在、そしてこれからのことを徒然に書いていきたい。小説やイラスト、動画なんかの趣味も創造していけたらなお良い。

マガジン

  • オリジナル小説

    過去に趣味で書いていたオリジナルの拙作を修正してお届けします。 ストーリーは全くのオリジナルのつもりですが、同じような話を読んだと言う方は、それが確認できるサイトや書名をお知らせいただけると幸いです。 作者は差別意識を持っていないつもりですが、差別的と感じる記述がありましたら、お知らせ下さい。 結末だけ有料にするかも…。結末まで読みたいという読者がおられれば、私としては本望です。

  • 短歌を詠めるかな

    十年以上も前に、短歌を読むことに興味を持った。大河ドラマ「光る君へ」を見ていて、その興味が再び湧き上がってきた。木下龍也さんを知って、私も心の機微を言葉で表したいと触発された。 ゆるゆると詠んでいきたい。

  • 徒然に雑記

    読書では、いわゆる文学は苦手だ。昔は、赤川次郎や森博嗣をよく読んでいた。そして、東野圭吾の伏線の素晴らしさに感服した。 読書感想や日々の想いなどを徒然に記していく。

  • 潜伏キリシタン関連世界遺産&五島列島

    生まれ故郷である五島列島。 隠れキリシタンの子孫としてキリシタン関連の世界遺産。 それらを紹介していきます。

最近の記事

難航している書きかけの長編を年内中に仕上げたい。 なので、そちらにしばらく注力します。 投稿は多分できませんが、皆様の作品は読み続け申し上げます。

    • 【掌編小説】巨大ショッピングセンター(1252字)

       西塔の家からほど遠くないところに、郊外型の巨大ショッピングセンターが誕生した。かつてないほどの規模のショッピングセンターであった。西塔も行ってみようと思ったが、開店当初はものすごい混みようで、簡単に駐車場に入ることもできなかったらしい。   新開店してからしばらく過ぎた頃、西塔は家族共々そのショッピングセンターへ出かけることにした。早い時間帯に行ったが、それでもかなり駐車場への車の列は長かった。早い時間帯と言っても、そのショッピングセンターは24時間営業だ。  駐車専用の棟

      • 【掌編小説】始発電車(1332字)

         西塔は都心の小さなアパートから郊外の家に引っ越した。西塔の会社は都心にあるが、都心の近くではそんな広い敷地の家を買うことはできない。だから西塔は、始発に近いぐらいの電車に乗ると会社の定時に間に合う郊外に、念願だった広い庭のある一軒家を構えたのだ。  土日に引っ越しを終わって、新居から初めて出勤する月曜日。西塔は朝早く起き、何とか始発電車に乗り込むことができた。 「結構辛いなあ。まあ、そのうち慣れるだろう。」  電車に2時間も揺られなければならない。西塔は引っ越しの疲れと慣

        • 【掌編小説】怒れる女(1492字)

           その女は、鬱憤を晴らすようにずっと話していた。 「幼い頃にね、母の再婚相手に、ずっと虐待されていたのよ。だから、ちょっと、その男の食事に古い農薬を盛ったわけ。殺そうとかそういうのじゃなくて、ちょっと仕返しって言うか、自分の身を守るためよ。まあ、幼子の防衛本能みたいなものよ。だいいち、その農薬を食事に入れるとどうなるとか、それが悪いこととか、そういうことはわかってないわけでしょう。」 「小学校の頃にはね、生意気だからっていじめの対象になったのよ。いじめられたのよ。それを首

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        • オリジナル小説
          36本
        • 短歌を詠めるかな
          15本
        • 徒然に雑記
          2本
        • 潜伏キリシタン関連世界遺産&五島列島
          3本

        記事

          【掌編小説】加速薬 (1802字)

           オレは東涼大学薬学部の学生だ。夜中にこっそり、実験室で新薬の調合をしている。動物の神経伝達速度を速める薬だ。サイボーグ009というかなり古い漫画で見たことがある加速装置を生身の人間で実現する薬だ。名付けて言うなら加速薬だ。  多分、これで完成したはずだ。ラットで試してみる。そのラットは、ケージの中につるされたリングの中をものすごい勢いで走り始めた。成功だ。いろいろ調べてみると、5倍程度の速度となるようだ。  オレはこの薬を公表するつもりはない。新薬や新規のテクノロジーという

          【掌編小説】加速薬 (1802字)

          【短歌】くねくねとさまようように海にいるあなたのせいで僕はためらう

          くねくねとさまようように海にいるあなたのせいで僕はためらう 2024年の台風10号。私の周辺に関しては物的被害は何もなかったのですが、いろいろ悩まされた。  少し遠出の用事があったのですが、その5日ほど前の予報では、当初予定していた日がまさに直撃の日でした。で、2日後にしようと決めたのですが、予定の日が近づくにつれて台風がドンドンと西へ迷走していきました。  結局、当初の予定通りの日程で遠出をしました。雨の被害も何もなく、そこそこ暑い1日でした。 台風や大雨、強風の被害に遭

          【短歌】くねくねとさまようように海にいるあなたのせいで僕はためらう

          【掌編小説】運命の人(1138字)

           杜山はある朝、小指に赤い糸が結ばれていることに気づいた。ほどいて取ろうとしても取ることができない。だからと言って、杜山の行動の邪魔になるわけでもない。糸の先は玄関の方へ伸びていた。扉のところまで来ると、その扉を突き抜けるように外へつながっている。宙に浮いた状態、かと言って、ずっと真っ直ぐなわけでもなく、杜山が歩ける方向に曲がっている。折り返しの階段であれば、その進路に沿って糸も曲がっている。 (ははーん、もしかすると、これが運命の人と結ばれているという赤い糸か。)  杜山は

          【掌編小説】運命の人(1138字)

          【短歌】ノロノロと追い越し車線も横ならび行くに行けないトラックフォーメーション

          ノロノロと追い越し車線も横ならび行くに行けないトラックフォーメーション 新東名高速の三車線区間は、制限速度が120km/hとなっている。二車線区間よりも走りやすく、120km/h制限で快適に走ることができる。大型トラックの数も非常に多い。  しかし、トラックの数が増えてくるにつれて、第一走行車線を遅いトラックが走り、それよりも少しだけ速いトラックが第二走行車線を走る。すると、それらを追い抜こうとして、それらよりも少しだけ速いトラックが追い越し車線を占めるようになる。(これを私

          【短歌】ノロノロと追い越し車線も横ならび行くに行けないトラックフォーメーション

          【2021年星新一賞落選作】オレはタケルの軍師 (9845字)

           バイトで疲れ切って家に帰る道すがら、オレは不意に声をかけられた。 「そこのあなた、ゲームはお好きですか?」  突然のことにオレは腰を抜かしそうになった。オレはかなりの小心者なのだ。声の方に視線をやると、そこには黒縁のメガネをかけたダークスーツに身を包んだ男が立っていた。何かの街頭アンケートだろうか、それとも新手の客引きか。その割には口調も営業トークにはほど遠い感じだし、顔は愛想笑いもない事務的な表情だ。 「えぇまあ。」  オレがおずおずと曖昧な返事をすると、 「今、新しいゲ

          【2021年星新一賞落選作】オレはタケルの軍師 (9845字)

          【短歌】渋滞はファスナー合流推しなのに押しが弱くて入れてくれない

          渋滞はファスナー合流推しなのに 押しが弱くて入れてくれない 諸事情があって、仕事ではないが高速道路をよく利用する。高速道路でよく遭遇するのが渋滞。  人それぞれに、渋滞での合流時のマナーが違うようで…困ることやイライラすることがある。  前にも書いたように、渋滞時の合流は、ファスナー合流が推奨されている。けれど、自分の前には決して車を入れまい、と前車との間をガチガチに詰める輩がいる。そんな時には、少しの強気を見せないと合流させてもらえない。  渋滞の中を長々と運転してきて、前

          【短歌】渋滞はファスナー合流推しなのに押しが弱くて入れてくれない

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[10/10](8789字/総約8万字)

          (十九)  祭りの翌日、朱莉は百川でもう少しやることがあるということで、倫也と実音は二人で名古屋に戻ることになった。  名古屋駅から栄に出て、そこから私鉄に乗り換える。実音の家の最寄り駅は、倫也の家の最寄り駅より一つ手前になる。家まで送っていくと倫也は提案したが、まだ明るいから大丈夫と実音は言う。そんなんじゃないんだけどな、少しでも長く一緒にいたいのに……と倫也は内心不満に思った。  その日の夜のニュースで、猫田が逮捕されたことが伝えられた。土地売買の斡旋の贈収賄に対する根

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[10/10](8789字/総約8万字)

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[9/10](8527字/総約8万字)

          (十七) 「なんでいちばんいい時に跳ぶんだよ!」  倫也は地団駄を踏んだ。百川神社の祭りの最中、それも実音と二人で祭りを思い切り満喫していたところだった。すでに夕方近くであったので、今日はもう跳ばないだろうと安心もしていた。  最低なタイミングでトモナリの世界線に跳んできたことで、倫也の頭の中は憤懣やるかたない思いで埋め尽くされてしまった。トモナリの病室に入って毎度おなじみの挨拶をすることも面倒に感じて、倫也は階段に向かった。  いつもと違う時間帯。エレベーター前のスペース

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[9/10](8527字/総約8万字)

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[8/10](7130字/総約8万字)

          (十五)  倫也は実音に詳細を話したが、一雄や勇雄、百川の人たちには何も話すことができなかった。ハタケガワに指図している男にどうやって出会ったのか、いつ出会ったのか、知っていたならなぜ早く言わなかったのか。今回は写真や動画がないから、あの男のことを説明できる材料がない。世界線を跳んだから、とは説明できるわけがない。唯一の手がかりは、今夜、廃校で破壊行為をするはずのハタケガワだけだ。ハタケガワを捕まえ、ハタケガワを問い詰めて、あの男の正体を白状させるしかなかった。  祭りの

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[8/10](7130字/総約8万字)

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[7/10](6676字/総約8万字)

          (十三)  祭りは楽しい。祭りと言われて勇雄がイメージするのは、小さい頃から慣れ親しんだ百川の祭りだった。一雄が住む中萱集落だけではなく近隣の集落でも神輿が練り歩き、百川神社に奉納される夏の例大祭だ。それは勇雄にとっての原風景だった。全国に名前を轟かせるほどに大きな祭りではない。京都の祇園祭に比べれば、いや比べようもないほど小さな、おらが町のお祭りだ。しかしそれだけに、旧百川村に住む人にとって愛着が深い祭りとなっている。厳かな神事に心が洗われるだけではなく、住民が日常を忘れ

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[7/10](6676字/総約8万字)

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[6/10](7332字/総約8万字)

          (十一)  実音はいくつかの不安を抱えていた。最も大きな不安は倫也のことだ。倫也が何の前触れもなくもう一つの世界線へ突然跳んで行ってしまうのではないか、といつも気が気でない。そしてもしかすると、実音の目の前から消えてしまったまま二度と戻ってこないのではないか。そんな不安を払拭し、自分を鼓舞するためにも、実音は懸命に明るく振る舞おうと心に決めていた。  飛高の街に行くのに、倫也は自転車で行くことを主張した。しかし、飛高の街を歩くのに大汗かいたスポーツウェアのままで嫌だ、と実音

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[6/10](7332字/総約8万字)

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[5/10](8844字/総約8万字)

          (九)  朱莉は実音とともに歩いて集会所に向かった。実音は足を引きずるようにしている。 「朱莉さん、ゆっくりでお願いします。」  昨日、頑張りすぎたのだろう。いつもと違う運動をすれば違う筋肉を使うから、筋肉痛になるのは当然だ。昨晩は疲労困憊で、実音は早々と寝てしまった。向こう見ずを絵に描いたような女子高生に付き合うのは骨が折れる。朱莉とは三歳しか違わないのに、高校生は高校生というだけでとても若いように思われる。しかし、体中が筋肉痛に襲われるほど、疲労困憊になるほど、なぜそん

          【連載小説】あの時、僕は二人になった[5/10](8844字/総約8万字)