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本の感想 「芙蓉千里」 須賀しのぶ

須賀しのぶの「荒野に白百合にありて」の幕末の会津の運命に翻弄される男女の話と「また、桜の国で」の昭和はじめのポーランドで戦争回避に奔走する男の話がおもしろかったので、読んでみました。

ひどい生活の中でも、自分のもっている才能をしてモテてる主人公がいるお話ってファンタジー感があり。

ハルピンで、ロシア人、中国人、日本人が混在して暮らしていた時代があったの?
戦争の匂いって?
見ていて涙が溢れてくる舞ってどんなもの?

ということが、気になりました。

いろんな文化を取り込んでいく強さも頼もしかったですし、そのころに中国にいる日本人男性がどうしてそこにいるのか、を想像するのもおもしろかったです。

明治のおわり頃の話。親に捨てられて、自ら女郎になるために女郎売りについていった辻芸人の少女フミと、貧乏なために売られてきた少女タエの物語。新潟から船にのり、ウラジオストク、そして鉄路、ハルピンへ。日本人街もある街なのに、中国人街の女郎屋「酔芙蓉(ちょいふーろん)」に売られてきます。女郎になりたいフミは容姿から女郎になることを女将さんから否定され、女郎になりたくないタエは女郎になる以外の選択肢はありません。

辻芸人だったフミは、タエが歌が上手なことに気づき、女郎でなく、「芸妓(げいぎ)」として生きていく道があるのではないかと、タエを励まし、裏で稽古をします。二人は舞をお客様の前で披露する機会を得て、好評を得ますが…

成功していく彼女たちが綺麗になっていく様も素敵で、まだ戦争にも巻き込まれていないで話が終わったので、意外(他に読んだ2つの作品は戦争に突っ込んでいく話だったので)だったのですが、まだまだ続きがあるのですね。(この本だけで厚さ3cm) 次は「北の舞姫」。このままで終わる訳なし、でしょうか…。


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