州民請求「交通シフト・ヘッセン」署名提出までの道のり #2
#1 にて未到達だった5月1日の署名活動の話です。オッフェンバッハを出発し、マイン川沿いをゆるゆると漕いだ我々5名は14時過ぎに旧オペラ座前に到着。コースとなる車道はこの一日がかりのイベントのため閉鎖されるが、それがしやすいのはやはり閉店法によって店が閉まっている日曜日/祝日である。メイン会場となる旧オペラ座前には主にスポーツ自転車関連のブースが陣取り、久々に見るイベントを訪れる人混みがそこにあった。VCDドイツ交通クラブ(交通系環境団体)のヘッセン州支部のインスタ投稿を頼りに、ブースまで自転車を押した。
「交通シフト・ヘッセン」は州民請求に向けて活動する市民イニシアチブ(市民の寄せ集まり)で法人化した団体ではない。この日のブースはサポート団体のひとつであるADFCドイツ自転車クラブのフランクフルト支部が出展者という格好になっていた。午前中から署名集めをしていた面々に合流、おおよそADFCかVCD関係者でありほぼ顔見知りである。大規模な自転車デモなど、これまでに何度も同じヴィジョンのために動き同じ時を共有してきたネットワークの輪の中は心地がいい。
到着と再会した人との会話を一通り楽しんだ私は、署名集めに集中する前にコーヒーを買いに行くことにした。余談だが極度のコーヒー飲みではなく、緑茶や紅茶も好きな茶飲みである。フード・ドリンクのブースもあるが、マイカップとカード払いが確実な200m離れたスタバを目指す短い道中で、面識のある顔とイベントを訪れる人々とは異なる空気を醸し出す数名を発見。そうだ、この日は月の最初の日曜日=フランクフルトのクリティカルマスの日だった。14時に旧オペラ座に集合して、共に走る人を彼/彼女らはまだ待っているのだとすぐに理解。フランクフルトのクリティカルマスは第一日曜日の14時のファミリー向けとその次の金曜日19時という謎の月二本立てである。旧オペラ座前のいつもの木の下ではなく広場の随分違ったところに追いやられ、ひとつの集団を形成できる16人を目指す姿はなんとオーセンティックだろう。今日はあっちで署名集めるよと断りとインフォの声をかけてブースに戻った。
ちなみに先週の土曜日にはオッフェンバッハのマーケットで署名集めをしたので2週末連続の出動である。その時もカーゴバイクをスタンドにし、バックオフィス的な趣で私はそこにいた。州民請求というのは州議会選挙の投票権を持つ人=3ヶ月以上ヘッセン州にメインの居住地がある18歳以上のドイツ国籍による署名が公式に有効である。私の場合は既に署名はしたがドイツ国籍者でないので最終的にはカウントされない。それはヘッセン州に住むおよそ6百万人のうち1百万人も同様である。ただ有効でない署名を三度もして活動に参加し続けると卑屈になってくるもので、有効な署名ができる人々に声をかけるのが億劫になってしまったのだ。この日もバックオフィス的な衣を羽織って"自らと対話する"という自分的テーマがあったのだが、予想を反して私はじめじめしなかった。#3 へと続きます。
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