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新卒の入社式でも、ファムファタールは譲らなかった

2021年3月31日。大学院の臨床心理研究科を修了したわたしは、そのまますぐに入社式へと旅立った。

配属は関西に決まっていたけれど、入社式は都内の本社で行われるということで、新幹線のチケットも、ホテルも手配してくれた。これが、会社のお金で良い思いをする、というやつなんですね!

予約しておいてくれたホテルもとてもきれいで、満足でした。弊社、ありがとう♡


ただ、たとえ新卒採用だろうと、わたしにはファムファタールとして譲れない点がいくつかありました。

①パンプスのヒールは7cm以上
②ニーハイストッキングにガーターベルトを合わせること
③通勤バッグは赤

特に①と③は、大好きな映像作品、「ストロベリーナイト」の影響。
それに、シンプルなスプリングコートなんて持っていなかったので、昔好きだった人から借りたままの、メンズサイズでだぼだぼのミリタリー系ロングコートを着ていった。

たとえ入社初日から怒られたとしても、これだけは貫きたかった。ここで入社取り消しになるなら、それもまた面白いし。

意外にもお咎めなしだったので、結局最後までこのスタイルで働いていた。仕事に真摯でありさえすれば、許される会社だったのだ。
就職活動も真面目にしないで、ほぼ一択でこの会社に決めたけれど、間違っていなかったみたい。
冬はバーバリーの真っ赤なコートを着ていたけれど、それにも何も言われなかった。

つまんないリクルートスーツだって、スカートにガーターベルトを隠していることを思えば内心ほくそ笑みながら余裕でいられる。ほんの少しヒールの高いパンプスは、背筋を伸ばして、大きな歩幅でわたしを運んでくれる。パンプスに隠した爪先には、蝶のタトゥーと真っ赤なペディキュア。シャツの下にはセクシーなランジェリーを仕込んで。
ばっと見は真面目な会社員に見えても、可愛くてセクシーなギミックを仕込めば、強気で、余裕で、笑っていられるの。

これから就職していくあなたも、見えないところでたくさん遊んで、社会人として求められる「普通」のふりをしながら、テンションの上がる魔法を隠して、「ほんとのわたしは特別魅力的なんだから♡社会人のコスプレをしているだけなのよ?」
って、乗り切ってね。



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