アフガニスタンの防災力の向上を目指して|アフガニスタンの人々が主体の災害対策とは?
こんにちは🙂イガラシゴーです🐧
本日は支援事業開始から3年目となったアフガニスタンのバーミヤン県における防災力向上事業の最近の状況を報告いたします。
長年にわたる紛争やテロに伴う政情不安などのイメージが強いアフガニスタンですが、地震や洪水、干ばつ、冷害など多くの災害が発生し、自然災害のリスクも非常に高い国なのです。特に、近年顕著になってきた気候変動による降雨パターンの変化に伴い、水害や干ばつなど水に関する災害リスクも高まっています。
こうした災害リスクが高い急斜面や深い谷などが多い山岳部に位置するバーミヤン県で、CWS Japanとその現地パートナーは、地域の人びとが主体となった災害対応力向上や災害リスク軽減に取り組んできました。
↓↓↓↓↓事業背景は、前回の報告をご参照ください。↓↓↓↓↓
災害対策を地域主体で
2022年11月から2023年9月までは、ジャパン・プラットフォームの助成金を受けたバーミヤン県における支援事業の第2フェーズでした。この間に地域の364人(男性264人、女性100人)が直接的に災害リスク軽減活動に参加しました。
加えて、災害時の脆弱性が特に高い国内避難民*や帰還民*など、510世帯(3,560人)を対象に食料の確保を目的とした支援も実施しました。
災害リスクを正しく把握し、対策をする
地域が主体となった災害対策では、まず初めに自分たちが住んでいる地域にどのような災害リスクがあるかを話しあい、このリスクを軽減させるための計画を立てました。
日本では各自治体が災害ハザードマップを作成しており、多くの人がその存在を知っています。災害リスクを正しく理解するために災害ハザードマップの読み方も学びました。
具体的な災害リスクが特定されると、どこにどのような仕組みを作ると災害リスクが軽減できるか明確になります。そこで地域の人びとの技術と資源で持続可能な対策を取りました。
まず、鉄線で籠を作り、その中に石を詰めました。こうしてできた蛇籠を、洪水や鉄砲水のリスクが高い河川にそって積み防護壁を設置しました。なお、蛇籠作りは社会的活動への制限が多いアフガニスタンの女性でも家庭内で取り組むことができるので、比較的容易に参加することができました。
継続が重要な地域の防災対応力。引き続き地域の人々に寄り添った支援に取り組みます
バーミヤン県には、同様に災害リスクに面した脆弱な地域がまだ多くあります。鉄線や石などは現地でも容易に入手可能な資材です。これらを用いてどこにどのような対策を講じるかということが、地域に知識と経験として根付いていけば、地域の防災対応力も持続的に維持されることが期待されます。
現在もバーミヤン県内の14村で同様の支援活動を実施しています。まず、日本の防災の専門家に衛星写真から村周囲の地形を判読し、地滑りや土石流、落石などのリスクが特に高いと思われる場所を特定します。
しかしここから先は、現地の人が特定された場所に足を運び、実際の土砂の流出の有無や、土壌の色合い、落ちた石の広がり具合、崖の様子などを実際に目視で確認する必要があります。
具体的リスクがどこにあるのかを特定した上で、各村の人びとが中心となって、防災計画作成や蛇籠を用いた防護壁の建設などの対策を今後も実施していく予定です。
本支援事業はジャパン・プラットフォームによる助成金と皆様からの温かいご支援によって可能になっています。CWS Japanは、これからも地域の人びとが中心となった支援を継続してまいります。引き続きの応援をよろしくお願いいたします。
(文:プログラム・マネージャー 五十嵐豪)