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【イベント開催報告】企業とNGOの連携方法とは 〜防災力向上支援の事例から〜(2023年9月20日)

こんにちは🌞ファンドレイジング&サポーターエクスペリエンス担当の南原です。
9月20日に「防災プロジェクトにおける企業とNGOの連携方法」をテーマにしたオンラインイベントを企画・開催しました!ともに防災力向上プロジェクトを推進いただいている国土防災技術株式会社の眞弓氏・中村氏にも登壇いただき、企業・NGO両方の視点からお話をいただきました。
わたし自身も全体のモデレーターとしても参加させていただいたので、当日の様子やお話をピックアップしてお伝えさせていただきます。

▼イベント概要はこちら

なおYouTubeでアーカイブ動画の配信を行なっていますので、ぜひご覧ください。



テーマは「企業・NGOのパートナーシップの実現」

CWS Japanでは国土防災技術株式会社とともに数多くの防災力向上プロジェクトを実施してまいりました。包括的な防災支援を行うためには、ハード面、ソフト面、両方のアプローチが重要になります。

企業が得意とするハード面、NGOが得意とするソフト面を掛け合わせた連携を実現するために必要なことは何か?連携でどんな効果が生まれるのか?について、ざっくばらんにお話しいただきました。

CWS Japanと国土防災技術株式会社のパートナーシップの歩み

前半はCWS Japan事務局長の小美野より、両者のパートナーシップのあゆみが共有されました。

最初は防災をテーマにした市民社会ネットワークの場でお互いの存在、取り組みを知り、お互いに課題を共有し合う中でパートナーシップが生まれました。©CWS Japan

業種を超えたパートナーシップに向けた10の確認ポイント

©CWS Japan

続けて小美野から、業種を超えたパートナーシップを実現するにあたって、「理解醸成フェーズ」、「課題深掘りフェーズ」、「ソリューションフェーズ」からなる3つのフェーズごとに重要なポイントが示されました。

まず「理解醸成フェーズ」では、課題への共感、根本理由の探究、探究のためにリソースを投入する文化があるかという点が押さえられていることが重要になります。次に「課題深掘りフェーズ」では根本原因への共感、それを正面に向き合えるかどうか、そして「ソリューションフェーズ」では、お互いの組織の出口戦略の整合性があるかどうか、が重要であると述べられました。

CWS Japanと国土防災技術株式会社の両者の7年間の歩みのなかでも、こういったポイントを押さえられていることが、結果として良い「連携」を生み出している、とのこと。特に重要視されていたのが「課題への理解」。パートナーシップを模索する際に、単に誰と組むと一番メリットがあるかという視点ではなく、どういった課題意識をお互いに持っているか、という点の見極めが必須である、ということが分かりました。

事例で語る企業・NGOの連携のあり方

イベント時の様子©CWS Japan

ここからは眞弓氏、中村氏をお招きし、両者で進める事例を取り上げながら、連携のあり方について語っていただきました。

お二人のご経歴

「ソフト面を考慮した防災支援の実現」と「企業としての実績づくり」が連携のきっかけだった(国土防災技術さま)

パートナーシップを組んだ当時は、国の防災支援の方針において「ソフト面」への配慮や取り組みの重要性が謳われ始めたタイミングでした。
また眞弓氏個人にとっても、今まで目を向けてきた防災技術(ハード面)だけでは、防災が成り立たず、人(ソフト面)に目を向けることの重要性を感じていた矢先に、CWS Japanと出会ったこともあり、自然と課題感をシェアしながらパートナーシップの実現を目指すことができた、とのことでした。

中村氏からは、企業として実績を積む必要性が認識されていた点もお話しいただきました。当時、海外事業部を立ち上げたものの、プロジェクトを受注する上で、海外での実績が多くないという点に社内全体で課題を感じていたこともあり、パートナーシップの話が挙がった際は、実績の観点から貴重な機会と捉える経営層も多く、スムーズに体制構築に進めたそうです。

「防災の裏にあるサイエンスが現場に伝わることが非常に大きなメリット(CWS Japan)

一方、小美野からは、国土防災技術社のサイエンスによる裏付けがあることで、現地のコミュニティーの方々が「なぜこれが起きるのか?」「どうやったら身を守れるのか?」に思いをめぐらせ、実際に行動に移せている点が大きなメリットであると語られました。

雨量計の事例

ベトナムで子どもたちが雨量計で計測している様子。©CWS

ベトナムの雨量計の事例では、大雨による洪水が多発する流域にて、シンプルな雨量計を用いることで、洪水の発生予測ができるようになりました。

元々は、「前日から雨が降っているから、雨量が多く、危ないかもしれない」という主観に基づいたリスク評価を行っていたこのコミュニティーでも、「これくらいの雨量なので、危ないかもしれない」という判断を行えるようになったそうです。雨量を測る行為自体が自然とのコミュニケーションになっている事例ですね。

丁張りの事例

木材と釘があればできる簡便な技術。©CWS

次に挙げられたのが丁張りの事例です。
木材を組み合わせただけなのですが、これによって地割れ・地滑りの発生リスクが読み取れます。実際に地滑りが多発している地域にこちらを導入したところ、近隣住民が定期的にモニタリングをし、未然に地滑りの兆候を把握した結果、避難行動に成功した、というエピソードも紹介されました。今では丁張りの活用がこの地域では普通のことになっているようです。

小美野からは、「人はサイエンスを理解することで、自信を持つことができ、対応ができるようになる。防災の文脈では現地の方々がサイエンスを理解することが非常に重要である」ということが改めて共有されました。

プロジェクトの型に縛られることなく、課題を起点に互いの長所を活かしたパートナーシップ/仲間づくりを

最後に登壇の皆さまからメッセージをいただきました。

イベント時の様子©CWS Japan

眞弓氏から

今、コンサルとして行う防災プロジェクトは、ゴールや進め方が決まっている案件が多い。それは誰がやっても一定の成果を出せるという利点でもある。一方で、ゴールはなく、ずっとその地域、自然と向き合い続けるという視点で取り組む防災があってもいいと思う。そういう事業に身を置くと常に課題にさらされると同時に、それを解決する喜びを得ることができる。そんな仕事の仕方は楽しい、ということをお伝えしたい。

中村氏から

技術者にとって「市民参画」はとても大事です。山(自然)とだけ会話をするのではなく、そこにいる人の目線を理解し、開発の意味や豊かさの意味を考えることが重要です。そのためには(NGOなど市民社会とを結びつけてくれる存在との)連携が重要だと思います。

小美野から

連携において、課題を解決する意識がとても重要。プロジェクトという「タスク」をやろう、ではなく、課題を解決しよう、という点で足並みがそろえられると、仲間になれる時が来ます。

終わりに

実際のプロジェクトを進められている国土防災技術社のお二人からのお話、とにかく興味深く聞き入っていました。支援が根付くために「サイエンス」を理解してもらう重要性、それを可能にするパートナーシップの意義を感じた機会となりました。ぜひ録画動画もお気軽にご覧いただけますと幸いです。

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(文:ファンドレイジング&サポーターエクスペリエンス担当 南原隆之介)


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