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Founder Mode(創業者モード)の危険性

起業家・スタートアップ界隈でY Combinatorのポール・グレアムによるポスト「Founder Mode」が話題です。

ものすごく示唆的でMBAではまだ科学されてないような真実が含まれてる可能性が高く、要注目の考え方だと思います。

ただこのアプローチは大きな危険性を孕んでおり、安易にこれを信じた起業家が出てくると大事故になる可能性が高いので、あえて警鐘を発したいと思う。

Founder Mode(創業者モード)とは?

Founder Modeは簡単にいうと創業者が会社が大きくなったとしても現場介入してハンズオンすべきで、マネジメントラインによる権限委譲や、レポートラインは守るべしというマネジメントのセオリーを無視した方が結果が出るというもの。

詳しくは元ポストを読んでいただくのが一番ですが、英語で長文なのでいくつかわかりやすいXのポストをご紹介します。

※全文を翻訳してるポストもありましたが、権利関係が不明だったのでここではご紹介しません。DeepLChatGPTなどで簡単に翻訳できるので、原文を読んでいただくと細かなニュアンスも理解しやすいかと思います。

Founder Modeの危険性

スケールフェーズに入って「現場に直接口出ししないでください」と言われてフラストレーションを抱えてる起業家にとっては、「やっぱそうだよな!」「我が意を得たり」みたいな感覚があるかもしれない。(この気持ち、私もよくわかります)

一方、権限委譲を進めてほしい幹部陣からするとFounder Modeを印籠に嬉々として現場介入しようとする創業者に「マジかよ、やめてくれよ」「アナタはブライアンチェスキーじゃないでしょ」という悲鳴が聞こえてきそう。

ポールグレアムによる原文では「the conventional wisdom about how to run larger companies is mistaken」と書いてあり、従来の大企業(larger company)における運営の知識は間違っている、と書いてます。

ここでいう大企業のサイズがどれくらいかはわかりませんが、同記事の例として2,000人の会社(2000 person company)、という表現があるのでその規模を想定してるのかもしれません。

スタートアップでよくあるスケールフェーズで創業者が権限委譲できない問題は、ほとんどの場合で50-150人ぐらいの規模。PMFが見えて大きく調達して組織拡大をはじめる、1-10のフェーズであって、2,000人規模のフェーズとはまた企業としての成熟度も組織課題も全く違うのではと思います。

なので、安易にFounder Modeで現場に介入し続けることをやり続けると、権限委譲というスケールに必ず必要な組織機能のケイパビリティを会社内で育てきれず、致命的な組織崩壊やUnhappyな創業者の退出につながってしまうのではと危惧しています。スティーブ・ジョブズも、一度追い出されてますしね。

Founder Modeをどう用いるべきか

Founder ModeとManager Modeの比較は、組織構造でいう職能別組織事業部制組織のどちらがよいのかという議論とよく似ているように思います。どちらもプロコンがあって、フェーズや状況によって有効性が違い、切り替えたり戻したりしますよね。

なので、どちらのモードが有効なのかを見極めながら、振り子のように切り替えていけばよいのではと思っています。いまは平時なのか、戦時なのか、というのも判断軸になりそう。

元記事の文脈は、数百人、数千人規模の会社において「大企業化」していくと出てくるオーナーシップ欠如や熱量の低下、ディテールの甘さなどに対する解決策として用いる、一つの「劇薬」なのではと思います。

いずれにせよこの記事を発端に様々な知見が出てくると思うので、楽しみに議論を注目しています。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
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