引き戸を隔てて。#呪いの臭み#毎週ショートショートnote
廊下を間に引き戸と引き戸で隔てている部屋と部屋。ボクはこちらで暮らし、母はあちらで過ごしている。父は僕と母を罵倒して苦しめてきた人。その父はもういない。
今は安心して過ごしている僕と母。
ネットの世界には友達も居る、働こうと思えば働ける、少しは仕事もしているが、実家を出るほどのお金はない。あの時退学しなければよかったのか、給付金だったはずの奨学金を返済しろと催促がきて親が払ってくれている。親に苦労をかけたい訳じゃない、ただ仕事が無いだけ。
病に倒れた夫の看病と子どもに辛く当たるのをなだめる役目も疲れたところ夫もいなくなった。家計をやり繰りする苦労から解放され朝寝坊も出来る幸せな毎日。
冬を越して春を迎えるころ、家の臭いが気になり出した。
僕と母は取りあえず大量の芳香剤を購入してその場を凌ぐ。
ミイラのような父から呪いの臭みが漂いはじめた春のこと。誰にも気付かれてはいけない、僕と母は父の年金で暮らしているから。
最後までお読みいただきありがとうございました。
時々ニュースでも取り上げられている8050問題・7040問題がわたしの頭に浮かび、今回のお題と掛け合わせてショートショートとしてみました。
極寒の地域と想定し、真冬をこたつで過ごしたら、室内は°Cだったのだろうか?腐敗は免れたのだろうか?本当にミイラみたいになるのだろうか?などなどと考えながら書いてみましたが、調べるところまでは出来ませんでした…すみません。
父の年金の年金は、我が家のように『障がい者年金』と解釈していただいてもいいですし、または晩婚・かなりの歳の差夫婦で、夫は年金受給者と解釈していただいてもいいかと思います。
色々と解説付きですみません(汗)
不完全ですが、ちょっと怖い読み物として読んでいただけたらと思います。
ありがとうございました。
今回もたらはかに 様 の企画に参加させていただきました。
皆様との交流の場をつくって下さりありがとうございます。