『時間内でお願いしますね』いるんだよね困ったお客は…。#毎週ショートショートnote
珈琲は漆黒の黒、一口ゴクリと味わう。
「う〜苦い」
伏せた目を開くと、白浜に裸足を濡らして立っている。痩せていて自信たっぷりだった頃のわたしだった。仕事が出来ても出来なくても若さでやりくりした社会人。プライベートもフラれるなんて思ったこともなかった。夜遅くまで続く会話、日付が変わるまで過ごしたデート。
あぁ、毎日が楽しかった。
元彼と来たことのある海岸「ちょっと入ってくるね」と海に入ると急に底が深くなり、静かに溺れるわたしを助けてくれたあなた。
あぁ、この人のこと好きだった。
不意にわたしは肩を叩かれる。振り向くと先程入ったカフェの店員さん。
「ちょうど4分33秒です。お客さん帰りましょう」
「えぇっ、嫌です」
「この先は自己責任ですからね」と言い残された。
物語の続きは、わたしが彼に抱きついたところから。
「たまに居るんだよね」
よいしょっと二人がかりで抱えられ地下へ運ばれていく。
「今がよっぽど辛いんだね。笑いながら泣いているよ」
(410文字)
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今回もたらはかに 様 の企画に参加させていただきました。
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