つらい思いをしてまでいくところではないのだから‥
逃げよう‥その場所から
離れようそこから
探そう自分の居場所を‥
路瑠は小学6年生で転校した先で早々に「いじめ」にあいました。
初日にクラスメイトから
「背が低い〜、小学3年生みたい」とからかわれたので、
こちらも親しみをこめて
「そうなのわたし〜あなたも背が低いのね同じだね。」と返答したのが
生意気だったらしく‥。
「転校生で生意気な子が来たぞ」と噂は広がり‥いきなり一人ぼっちになりました。
翌日からリーダー格のしのぶが見張りも兼ねて
路瑠の家まで迎えに来るので一緒に登校しました。
しのぶは明るくてガハガハと肩エクボをつくって笑う元気な女の子
背も高くて体格もいい。
笑顔から一変して怒ると口調が強く雄叫びのように怒鳴るから
しのぶとケンカはしたくない、みんな泣きそうになる
しのぶが誰かをからかえばみんなも合わせて調子にのる。
ムードメーカーと言えば聞こえはいいが、そんなのはまっぴらごめん。
しのぶは以前にも『いじめて』登校拒否した友達がいるから
『転校生の路瑠も不登校になって先生に知られたら大変』と思い
毎朝、毎朝、迎えに来るのです。
しのぶと1番の子分のともこが先頭を歩きめぐみはその後を‥
さらにその後を路瑠は歩いて登校します。
母には「おはようございます。」と笑顔で挨拶するのに
登校中の通学路では慎重な顔をして黙々と歩く4人組。
「早く帰りたい‥。」
学校に着く前からすでに帰りたい思いでいっぱい。
帰りたいけれど‥家には母が居る。
「仲良しの友達が出来てよかったね」と安心している母に
心配をかけたくなかった‥
家族がやっと再スタートしたばかりだったから‥。
仕方なく路瑠は重たい身体を引き摺って登校する毎日‥。
「今からグループを作ってもらいます。」
「グループで課題を新聞にして下さい」‥先生の残酷な声。
先生は路瑠の状況も分からず、グループつくりが学習課題なのか
若い男の先生はどんどん授業を進めていく。
路瑠は学校で無視されていたのでグループをつくる学習はとても辛い
巧みに距離をとられ無言の表情で嫌がられ‥みんな違う意味で天才だよ。
もっと色々あったけど
正直その時間をどう過ごしていたか思いだせないのは‥
記憶に蓋をしているから‥。
それでもなんとか学校での生活を過ごせたのは
別な居場所を持っていたから。
路瑠は、学校が終わると直ぐに『さよなら』と駆け出し、
電車とバスを乗り継いで塾に通う。
塾には以前の小学校の友達がいて
勉強は二の次で、
ワイワイとみんなではしゃぐのがなによりも楽しかった。
授業前にじゃれあって遊ぶから本当はご近所迷惑だったのではと
後になってから心配になった。
あの塾の友達は今でも仲良し。
塾の先生は白髪のおじいちゃん先生で
優しく、丁寧に、時には厳しく勉強を教えてくれます。
「これが出来たらお土産だ!!」と
文房具のプレゼントまで用意してくれて、
みんなが貰えるように出来るまで何度もチャレンジさせてくれました。
路瑠も小型の電動鉛筆削りをいただいて
母に自慢して喜んだ思い出があります。
塾に通わせてくれた父には今でも感謝しかない。
学校の同級生は、ほとんどが市立中学校に行くと知り
路瑠はこれ以上『いじめ』が続くのか?と思うと
中学校へ進学することがとても辛く‥
仕事から帰ってきた父に涙ながらに「中学を受験させて下さい」と
懇願し「路瑠は、市立中でいい」と言う父に願いつづけ、
そこまで言う路瑠の姿に父が折れて中学受験することになりました。
路瑠は学校から逃げていたのかもしれない
でもそれでよかった。
学校は辛い思いをしてまで行くところではないのだから‥
辛かったら逃げよう 路瑠も逃げた
離れようそこから‥ 学校だけが全てじゃない
探そう自分の居場所を 子どもだけでは無理があるから大人も一緒に
君は守られる‥ 守りたいあなたを
その先で輝く‥あなたの存在が素晴らしいから‥。
第8話 ↓ ちょこっとコラム ↓
その十数年後
路瑠の息子も学校に行くのが辛くなりました。
学校に仲の良い友達がいなかったのです。
子どもの父親が42歳の若さで病に倒れて中途障害者、
学校から帰るといつも家に居た母は
突然家族を支えるためフルタイムで働く毎日‥。
突然の家庭変化、戸惑う子ども達‥死にそうな父親
心も揺れて現状に涙する毎日‥。
親が子どものフォローをしてあげることが出来ず悩んでいた時に
学校以外の居場所つくろうと
息子に塾に通うことを提案しました。
唐突のように思えますが、
学校以外にも友達をくつることが出来ることを
教えたかったのです。
塾の先生にも家庭の状況を相談して温かく迎えて下さいました。
息子はスポーツは得意ではなかったこともあり
たまたま塾に決めましたが、
子どもが興味を示したことを選ぶのが良いと思います。
水泳・野球・サッカー・ダンスなどなど
どんなことでもチャレンジして楽しい時間が自信につながること
得意なことが出来ると子どもはどんどん輝き出すことを‥。
そして
親子で煮詰まってしまった関係を違った視点で
サポートしてくださる方々もいらっしゃいます。
息子が通った塾はおばあちゃん先生が一人で営む個人塾
勉強以上に
「仲間を大切にすること」
「すぐに諦めないこと」
「身体が不自由な父親を動かそうとしないで自分が率先して動くこと」
などなどを‥
先生が教えて下さったことは生きて行く上でとても大切なことでした。
辛かったら逃げよう
離れようそこから
探そう自分の居場所を
君は守られる‥その先で輝く‥。