「渡良瀬橋」森高千里さんのライブ
本日森高千里さんのライブを観に行きました。彼女のステージを目の前にして、彼女の歌を聞いていたら、過去の自分の思い出が鮮明によみがえり、不思議な感覚に包まれました。大学を卒業した1986年、彼女がデビューしたのが1987年。社会に出てからの苦難、そして再出発。その全てが森高さんの音楽とともにあったことに気づきました。
大学を卒業し、就職した会社での仕事に胸を躍らせながら、がむしゃらに頑張っていました。ようやく仕事にも慣れた頃、そんな時にたまたま聴いたのが、森高千里さんの「NEW SEASON」という曲。テレビで歌う彼女の姿が、自分の新しい生活と重なり、なんとなく自分に希望を与えてくれたのを今でも覚えています。
1990年に転職し、職場での評価が少しずつ上がり始めたころ、直属の上司からの執拗なパワハラが始まりました。「お前は本当に使えない奴だ」と怒鳴られる日々。心が折れそうになりながら車を運転していたある日、ラジオから流れてきたのが「私がオバさんになっても」でした。他にも槇原敬之さんの「どんなときも」や大事マンブラザーズバンドの「 それが大事」などに励まされましたが、森高千里さんの軽やかなメロディーに思わず笑みがこぼれました。「私もいつか、こんな風に軽やかに生きたい」心からそう願った記憶は、今でも鮮明に覚えています。
その後会社の配慮で転勤し、皆さんの協力もあり大きな成果を上げることができました。その実績を認められヘッドハンティングされて保険会社に転職。立て続けに大きな賞を取って有頂天になっていた直後、人生最大の挫折が訪れました。お世話になっている先輩に勧められて始めた投資で詐欺に遭い、すべての財産を失い、多額の借金を背負うことになったのでした。絶望の中、泣きそうになりながらふと耳にしたのが森高さんの「渡良瀬橋」でした。その歌詞が何故か私の心にフィットして、再び前を向く勇気を与えてくれたのでした。
それから7年後の2000年にやっとのことで借金を完済し、新しい人生を築き始めたころ、森高さんが家庭を重視するために一時的に活動を自粛するというニュースが耳に入りました。その時に何度も繰り返し聴いたのが「風に吹かれて」でした。彼女の歌が人生の節目に立つ私を励まし、再出発の道を示してくれました。
そして今日、ライブ会場で再び彼女の歌を聴き、「渡良瀬橋」のメロディーが流れた瞬間、私は過去へ引き戻されました。苦しかった日々を思い出しながらも、何とかそれを乗り越えて来られたことを考えると感慨深いものがあり、胸にこみあげるものがありました。アンコールで再び登場した森高さんがファンの声援を聞いて涙を流していました、私も思わずジンときました。最後の歌声が聞こえた時、過去の後悔もたくさんあるとはいえ、これからも前を向いて進もうと強く決意しました。明日からまた新しい未来へと進みます。