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本箱に寝そべっている三角形の琥珀色のコロン瓶

 瓶が丸いと寝かして置くと転がることがある。なにしろ丸いからね。四角ならその点問題がない。しかし四角い瓶は立ってこそ瓶の感じがする。ちなみにサントリーウィスキーの角を寝かすと、いかにも飲み終わった体になる。ところが、この三角形の瓶は寝かして置いてもあたかも最初からそう置かれるもののように見える。これはまぁ、一種の瓶徳とも言えそうだ。

 この三角形の瓶は長らく本箱の縁で寝そべっている。中身は「琥珀色のコロン」である。南仏の小都市の庶民的な店で、店主お勧めで入手したもの。自分の好みをさて置いて、店主の見立てで何かを買うという体験も楽しいと僕は思っている。
 このときのお目当てはメンズオーデコロン。僕は香りものが好きで普段も決まりのコロンを使っている。その他、気分転換用に何本かあるうちの1本にするための注文だった。
 店主が出してきたのが、見るからに昔ながらのといった風情のラベルの付いたメンズオーデコロンだった。まず、瓶の形が目を惹いた、三角形の瓶は見かけないから。それに香りを確かめるために持ってきた瓶の蓋を取るときに「パチン!」と音が出る。
 しっかり蓋が閉まる仕掛けだったりするわけではなく、ともかく「パチン!」と鳴るのである。店主の身振りでは一種の遊び心らしいのだか、なにしろ言葉が通じているわけではないので、多分の話だ(笑)。
 
 古典的なラベルと三角形の瓶の形状、そして「パチン!」。香りも個性があっていい感じなので買ってきた。 中味が残り少ない今、ラベルで読めるのは「琥珀色のコロン」で、商品名は不明となってしまった。コロンにはアルコールが含まれているので使っているうち被って印刷が消えていったのだ。
 それでも蓋を開ける度に「パチン!」と鳴る。僕はこの瓶以外にこのような仕掛けの瓶を知らないが、フランス男にはコロンを振り掛けて「さぁ、出かけるぞ!」という掛け声のように聞こえるのだろうか。 

※タイトル画像はMarukimaruの自作ですが「しちゃうおじさん」プロデュースの「みんフォトプロジェクト」経由で自由にお使いいただけます。背景色のバリエーションも揃っています。その他にもMarukimaru作品が「みんフォトプロジェクト」にギャラリー展示されいます。



 
 


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