『劇場版忍たま』雑感・おっさん(35)から見た雑渡昆奈門(ざっと・こんなもん)さんの魅力

忍たまガチ勢の妹に誘われて、初めて見ることになったアニメ・忍たま乱太郎の劇場映画。

忍たまは小学校中学年くらいまでは、妹とともに見ていた覚えがあるし、妹が買っていた原作も、全巻ではないが、初めのほうの5巻くらいまでは読んでいた覚えがあった(妹があまりに読み古してボロボロになったので、最初のほうの単行本はすでに処分してしまったようだが……)。

深夜アニメは今でも結構見ているが、「35歳のおっさん」になった今、「忍たま」のノリを楽しめるのかな~と、一抹の不安を抱きつつ近くのイオンシネマに。

メンタル疾患の妹の要望通り、平日午前中の比較的空いている時間帯に映画館へ。

若い女性が多いな~、ていうか、おっさん鑑賞者はマジで俺一人やん……と、ちょっぴり肩身の狭い思いを抱きつつ。

原作は以下にアップロードした小説版らしく、妹はもちろん履修済み
私は読んでいなかったし、妹からのネタバレもカタクナに拒んで、さあどうだろう、と映画の世界に心を委ねたのであった。。。

復刻版 小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師 阪口 和久 小説 / 尼子 騒兵衛 原作・イラスト

結果!!

……いやー、驚きましたね(恍惚)
これは、ふつうに傑作なのでは?
おっさんでもふつうに楽しめたし、「いや、所詮子ども向けの忍たまでしょ……?」とか思って控えているひとは、ふつうに見に行ったほうがいいと思う。

いや、ほんとうに、うん。
めっちゃ見どころ多いのよ。

妹は推しの五年生のキャラ(久々知兵助くん、だそうです)の登場シーンを中心に血眼で見ていたらしいが、私がもっとも心に残ったのは、ストーリーの中心からは反れるのだが、二人の上司と部下の忍者の関係性についてだ。以下、ネタバレを含むので、お気を付けください。






はい、っちゅーわけで。
以下のおふたりである。

画像上が上司にあたる「雑渡昆奈門(ざっと・こんなもん)」さん。コワモテかつ凄腕の忍者らしく、風格まで備えていらっしゃいますな。

画像下が部下にあたる「諸泉尊奈門(もろいずみ・そんなもん)」さん。ちょっとあどけなさが残る、血気盛んな若い忍者ですわね。

忍たまのキャラってめっちゃネーミング・センスあるよね、地名をうまく取り入れたりとかね。

雑渡昆奈門さん(CV森久保祥太郎)


諸泉尊奈門さん(CV代永翼)

小学生の頃は見ていたとはいえ、25年くらいブランクあったんで、このふたりは全く記憶になく(当時はまだアニメに登場していなかったかもだが)、初見といっていい感じ。タソガレドキ城の忍軍に所属し、ざっとさんが「組頭」と呼ばれ、諸泉さんが配下の若手の忍者の模様。

劇場版冒頭での「最強の軍師」との果し合いシーンを見る限り、諸泉さんもそこそこ腕が立つ忍者であろうとは類推できる。

だがしかし。

この諸泉さん、腕は立つが、頭がちょっと……弱いというか、察しが悪い
何というか、俺みたいだなあ(共感性羞恥)と、見ていて心が揺さぶられてしまいました。

事情があって、「忍術学園一年は組」の11人の生徒たちに「忍法の授業」を行うことになったお二人。

当初はざっとさんが「殺気」を活用しながら、は組のしっちゃかめっちゃかな子どもたちをコントロールしつつも、徐々に教師の役割を諸泉さんに任せていく。んで、「怖い上司」のざっとさんからの「質問攻め」に戦々恐々しながらも、何とか、授業を進めようと頑張る諸泉さん。その様子を見て、諸泉さんも大変だねぇ、と同情を禁じ得ない子どもたち。

あっ……いいな、これ。

めっちゃいいなって思いましたこのシーン。

子どもの頃は教えられるばかりでも、まあ、やっていけるんですけど。

「大人」になったら、今度は自分で教えられないといけなくなる。

自分で「問い」を立てて、どう「状況を解釈」し、「最適解」を導いていけるか。それは忍者の世界では直線的に「生死」に直結する。

テストで点を取れるからといって、それが即、教え方も上手くなるというわけではない。
諸泉さんも、実践的な能力はある程度備わっていても、それを支える下知識を、きちんと頭の中で整理して、言葉で伝えられるようにならないと、大人の忍者として、もう一皮むけることはできないだろう。
そういう世の中の厳しさを経験的に熟知しているからこそ、ざっとさんは容赦なく、諸泉さんを鍛えてあげている。諸泉さんも、今後成長していけば、ざっとさんの「厳しさ」こそが、むしろ「やさしさ」だったのだ、ということに気づくんだろうなあ……。そんなふうに、彼の行く末に思いを馳せてしまった。

とはいえ。

諸泉さんの空気の読めなさって、成長して治るようなタイプじゃない「特性」レベルのような気がしないでもない。

ざっとさんが、「考えるのはお前のほうだ」と諸泉さんにゲンコツくらわすシーンがある。まあ、傍から見たらゲンコツやむなしな失態ではあるのだが、社会人になっても、ああいう空気を読めない失言を息をするように漏らしちゃう人間っているのよね。

俺とかね!!(血の涙)

ざっとさんの愛のムチの意味が、いつか諸泉さんの心に伝わる日が来ますように(切なる願い)

一方のざっとさん、映画終盤での戦闘シーン、カッコよすぎたわね……。
おっさんやけど惚れた!

仕事ができる。

硬派だけども、忍たまの子たちのポンコツぶりに、ほろりと笑みをこぼすような優しさも兼ね備えている。

そして、義理も重んじながら、利害関係が絡んで来たら、容赦なく合理的な行動に出る抜け目なさ。

ピクシブ百科事典でhttps://dic.pixiv.net/a/%E9%9B%91%E6%B8%A1%E6%98%86%E5%A5%88%E9%96%80#h3_0

ざっとさんの項目を読んでみました。
来歴が分かると、なおさら魅力に感じ入っちゃうなあ。

ほかに、六年生を中心とした上級生組の活躍も、初見のキャラばかりだったんですが、それぞれ絶妙にキャラ立ちしてて、丁々発止なやり取りも見ていて飽きなかったです。

あれだけ大勢のキャラクターを動かしながら、誰も埋没させないでストーリーを収束させているのはお見事。

もういっぺん、観に行こうと、妹と話していたところです。

(了)



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