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映画感想(4)【ラストマイル】

MIU404とアンナチュラルと地続きのラストマイルを見てきた。
それぞれのメインキャラも登場するので前述ドラマのファン必見の映画と言えるだろう。多分メインキャラ以外も登場してたと思うんだけど、私はそれぞれ遠い昔に1回ずつしか見てないからイマイチ覚えていない。

個人的には満島ひかりさんがそんなに好きではなかった。
幸が薄そうなところが見ていて不安になるというか心配になるというか、そういう役どころが多い(という勝手な印象)こともあってあんまり手放しに安心して見ていられないから得意ではなかった。演技力がすごい俳優さんであるのは重々承知しているが。
今作では最初こそ「あ〜あ〜また巻き込まれ系の、」などと思ったが、心配することは何もなかった。なんなら迫り来る窮地をすべからく自力で乗り越えていた。見ていて安心できる強い女だった。強い満島ひかりさんは好きだ。

以下好きだったシーンを書き出していくのでネタバレ注意です。


◯エレナと五十嵐のオンライン通話
五十嵐の皮肉であろう「優秀なんですね」に対して「まあ、はい」っていうところ好きだったし、最後に「優秀な人もいたもんですねぇ?」って回収するところがめちゃくちゃ良かった。その後の表情、エレナが弱い立場にいる人たちのために怒ってくれてたことが感じられてめっちゃ良かった。
エレナと五十嵐のやりとりはことごとくエレナが1枚上手なところが大変よい。顔が良くてスカしてる男が出し抜かれる場面はなんだか気分がスカッとしてしまいますね。

◯MIU404の二人が登場するシーン
メインBGMのMIU404、あのケルト調(?)の音楽が、二人が画面に映る前から流れてくる。「来るじゃ〜〜〜ん!!!」ってテンションが上がる。
二人が出てくるだけでなんか解決しそうな気分になる。最強。
桔梗さんは相変わらず美しかった。
伊吹の「野生の勘」がドラマの時よりすんなり受け入れられてて、あのドラマからの時間経過を感じられるのもなんだか良いですね。キモかったけど。

◯羊急便の八木さんがめっちゃ怒るシーン
役員に電話口でブチギレてたら実は相手が社長だったシーン。
やっちま、った…、みたいな顔した後にもうヤケクソで「伝言の手間が省けたァ!!」ってガチャ切りするところとても良かった。
正直この映画内で1番頑張ってたの八木さんじゃない?
ラストシーン、嫁子供に連絡!みたいなところ、とても安心しました。

◯孔くんがハッキングするシーン
めっちゃかっこ良かった〜〜〜
やったぜ!怪しい動きしてたエレナの動向が露呈したぜ!!と思いつつなんか悔しそうな孔くんの表情が胸にクるぜ〜〜と思っていたら次のシーンに入る。目まぐるしい。

◯ハッキング後の爆弾処理シーン
め〜〜〜〜っちゃドキドキしたし爆発物処理班の人が入ってきた時の満島ひかりの演技がすんごい。もうこっちまで涙出てしまったし呼吸も浅くなってしまうくらいすんごい緊張感だった。孔くんはちょっと邪魔だった。爆発のリスク上げないでもろて。

◯山﨑のロッカーのシーン
ロッカーに鍵が差し込めない山﨑はもうメンタルがダメになってるのが一目瞭然の目をしてた。
ほんで、ロッカーに書かれた数字が、とても苦しかった。
山﨑はどうしたらベルトコンベアを止められるかなって思ってて、あ、自分が乗れば止まるやって気付いてそのまま実行しちゃったんだろうな。ただただベルトコンベアを止めたかったんだ。
そういえば最初の爆発は凄まじいもので、被害者も炭化するほどの火災が起こっていたけれど、以降の爆発は負傷程度で済んでいた。なんなら配達員の倅は爆発を間近で受けたのに怪我してなかった。なんでだろうと思ってたんだけど、そもそも犯人は死人を出すほどの威力に設定していなかったということが最後の最後にわかる。結局犯人もベルトコンベアを止めたかっただけなのかもしれない。
もし死人を出してデリファスに巨額の損害賠償を背負わせたいならそれこそメディカル便を狙い撃ちすれば良かったはずだと思う。どうなんだろう、流通のそういう責任問題とか全然わからないから想像でしかないけど。

◯佐野さんの倅
元々洗濯機作ってた佐野さんの倅、自社商品に誇りを持ってることがすごくわかるシーンがいくつもあって、ああ、こんな人の元で働けたら幸せなのかもなぁって思った。
苛烈する価格競争の中ではどんなに良いものを作っても負けてしまうのかと思うと悲しくもなった。
流通業者の賃金が買い叩かれてるところとかHINOMOTOが価格競争の波で押し潰されるところとかから、価格が安いとはどういうことかっていうのが見えてくるなぁと感じた。安いってことはきっと誰かの犠牲の上に成り立ってる。それを知らずに/考えずに享受することは大人である我々にとっては罪なことなんだろう。
サスペンスとしてめちゃくちゃ見応えがあるけど、同時に現代社会のどうしようもない構図を見せつけられてなんだかずっと頭に残ってしまう映画だな。

◯米津玄師の主題歌
まーーーーたこのひとは………主題歌やらせちゃうとこの人の右に出る人いなくないですか?並ぶ人はもちろんいるけど……
頭から終わりまでひたすらに優しくて良いですね。

どこかでなくしたものを探しに行こうか どこにもなくっても
どこにもなかったねと また笑ってくれよ

「がらくた」.米津玄師

ってところが1番好き。
歌詞の解釈って己の欲望が如実に出ると思ってるんだけど、多分私は「赦されたい、許容されたい」って気持ちが強いんだろうなと思った。

◯孔くんのロッカーシーン
最後に孔くんがロッカーの前で立ち尽くしているシーンは不安を煽った。
みんながなんとなく大団円というか、ハッピーエンドというか、そういう終わり方(五十嵐は除く)をしている中で一人だけなんだか不穏な終わり方だった孔くん。
絶え間なく動くベルトコンベアは一時停止したものの、また再び動き出し、その責任者は孔くんになってしまった。
限界を迎えてベルトコンベアを止めようとした山﨑、どんな窮地に立とうとも絶対にベルトコンベアを止めなかったが最終的にレーンから外されてしまったエレナ。
果たして孔くんはどの道を選び取るんだろうか。
少しだけ不安を残していくところがズルくて上手いなぁと思う次第。


とても見応えのある映画でした。
またこのチームの作品をみたいなと思うようなストーリー展開と魅力的なキャラ作り。楽しかったです。
その反面、苦しいくもなった。いつから人は楽しく仕事ができなくなってしまうんだろうな。きっと本人とか会社だけの問題じゃない。消費者とか社会の仕組みとかも関わってくる問題なんだと思う。できるだけ多くの人が誇りを持って、やりがいを感じられる働き方ができれば良いのにな。

この作品とは関係ないんだけど【夏目アラタの結婚】が気になっている。
漫画は途中までしか読んでないけど結構面白かったし、何より監督がSPECの人だと聞いて「面白くないわけなくない!?」の気分。
調べたら漫画は完結してるらしいから急いで漫画読んじゃおうかな。

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