大人のコメディ ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋 (2019年製作の映画)
Hailey Welch(22)は今(2024/07)アメリカで大流行しているバイラルスターである。
動画のオリジナルはYouTubeやTikTokによくあるバズるのを目的としたNSFWな街頭インタビュー。質問は「ベッドで男性を夢中にさせる行動は何ですか?」だった。Welchは差し出されたマイクを一物に見立てるような格好をしつつ、南部訛りで「『Hawk Tuah』して、あれを唾でベトベトにすんのよ!分かる?」と快活に答え、その独特な回答と仕草と可憐な外観で動画は鬼のごとくバズった。
動画は何百万回も再生され、彼女は一夜にして有名人となり、Hawk Tuah Girlとあだ名が付けられた。教師職に就いていたWelchは解雇されたが、インスタやtiktokを開設すると一日でフォロワーが10万人を超えた。その後Welchは商魂たくましくバイラルに乗じた金儲けをはじめ、ラジオやライブコンサートに出演する他、テネシー州の地元企業と提携し「HawkTuah2024」の帽子、Tシャツなどを販売している。
未だにあっちの大らかさに驚くことがある。
Hawk Tuahはどう訳すのか解らないが、22歳のHailey Welchは「ベッドで男性を夢中にさせる行動は何ですか?」の問いに対して、口淫のときペニスにつばを吐きかけて潤滑させる──と笑いながら回答したわけである。その淫らさに反して、Hailey Welchにはそれをやるようには見えないあどけなさと底抜けの明るさがあった。
日本ならばエロは秘匿され、闇と緘黙のなかにある──というような情緒があるのに対して、あっちでは白昼と哄笑のなかに、それがまかりとおる。違う文化とはいえど、未だにそれが驚きをもたらす。という話。
たとえばよく知られているThere's Something About Mary(1998、メリーに首ったけ)。
KingsmanThe Secret Service(2014)でスウェーデン王女役のHanna Alströmがタロンエガートンに世界を救ったらassholeでやらせると言ったのも衝撃だった。コメディの中に、ひけらかしの意図なくhardcore表現が出てくることに意表を衝かれた。
余談だが基本的に日本映画は作り手の顕示欲なしでエロを表現することができない。日本映画のエロは必ず「ホラホラおまえらエロだぞ」という感じで顕れる。エロがさらりと顕現する日本映画は(まったく)ない。
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国務長官のシャーロット(セロン)は大統領選の出馬に際し、スケベなメディア王に脅迫され、フレッド(ローゲン)のビデオ公表か、森林伐採かの二択を迫られる。
フレッドのビデオとは、シャーロットをおかずに自慰したあげく、撃ち損じて自分の顔にかかってしまうという出回ったら二度と表を歩けなくなるようなみっともないビデオだったが、フレッドは愛のためにそれを晒すことを決意しCum Guyとあだ名をつけられながらも、めでたくファーストミスターとなる。
コメディとはいえ尖鋭なエロを提供してくるのが面白かった。
また、ここのセロンは撮影時おそらく43歳辺りだがキャリア中いちばんぐらいに綺麗だった気がする。とくにスウェーデンの民族衣装を着たフレッドを見て、爆笑するシーンがあるが、水吹いて破顔笑いしても完全に綺麗だった。また秘書マギー役のJune Diane Raphaelも艶っぽくてよかった。
完全にふざけ倒すところがある一方で、長官職内幕などしっかりお金をかけて精密に作られている。おふざけと映画のクオリティが別動しており、はっちゃけつつも、洗練された楽しい大人のコメディだった。
imdb6.8、RottenTomatoes82%と74%